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公開講座
2011年9月12日 更新
Miki D, Kubo M, Takahashi A, Yoon KA, Kim J, Lee GK, Zo Jl, Lee JS, Hosono N, Morizono T, Tsunoda T, Kamatani N, Chayama K, Takahashi T, Inazawa J, Nakamura Y, Daigo Y*..
Variation in TP63 is associated with lung adenocarcinoma susceptibility in Japanese and Korean populations. **,***
Nature Genetics 2010;42:893-6.   PMID: 20871597

肺がんの発症に関連する遺伝子を同定
−肺がん発症に2つのがん関連遺伝子(TERTTP63)が関係することを解明−
(*Corresponding author、**オーダーメイド医療実現化プロジェクト(滋賀医大病院を含む12医療機関)試料を用いた研究、***2011年度日本癌学会奨励賞受賞研究)

 肺がんは世界的に、がんの死亡の原因として最も頻度が高く、その発生率は東アジアおよび欧米諸国で増加している。我々は、日本人と韓国人の肺腺がん患者2,098人と一般集団11,048人のサンプルを用いて高速大量タイピングシステムによりゲノムワイド関連解析を行い、肺腺がんの発症に関わる2つの遺伝子座位としてTERT遺伝子(rs2736100, combined P = 2.91 × 10-11)およびTP63(p63)遺伝子(rs10937405, combined P = 7.26 × 10-12)を同定した。TERT遺伝子のリスク多型を持つ人では、1.27倍、TP63遺伝子のリスク多型を持つ人では、1.31倍、肺腺がんのリスクが高くなっており、さらに、2つのリスク多型を同時に持つ場合の肺腺がんのリスクは4.26倍であった。TERT遺伝子から作られる蛋白質は、染色体末端(テロメア)の反復配列を伸ばす酵素であり、がん細胞などで活性化して細胞の不死化に関与する。一方、TP63遺伝子は、がん抑制遺伝子TP53(p53)と構造的に類似した蛋白質をコードする遺伝子で、そのがん抑制遺伝子としての機能が示されている。これらの結果は、がん抑制遺伝子TP63とがん細胞の生存にもかかわるTERTの遺伝子多型が肺腺がんの発症に強く関与することを示唆しており、肺がんの発症機構の解明のみならず、今後、肺腺がんの治療法や発症リスク診断法の開発に貢献するものと期待される。

文責  総合がん治療学講座・腫瘍内科  醍醐 弥太郎
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