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公開講座
2011年9月12日 更新
Kaida S,Horacio C, Kumagai M, Kishimura A, Terada Y, Sekino M, Aoki I, Nishiyama N, Tani T, Kataoka K.
Visible-drug delivery by supra-molecular nanocarriers directing to single-platformed diagnosis and therapy of pancreatic tumor model.
Cancer Research 70(18);7031-41.2010   PMID: 20685894

単一プラットフォーム上に診断薬と治療薬を搭載した超分子ナノキャリアによる可視化ドラッグデリバリーの、膵癌モデルを用いた評価
【要旨】
 癌治療での治療薬や診断薬を癌特異的に送達することのできるドラッグデリバリーシステム(DDS) において、抗癌剤とMRI造影剤の両方を同時に内包した高分子ミセルを作成することで、目に見える薬剤(visible-DDS)を開発し、癌治療の新しい概念を確立した。

【方法】
 DACHPt(活性型oxaliplatin)内包高分子ミセルをモデルとし、作成段階でMRI造影剤のGd-DTPAを結合させ、DACHPt/Gd-DTPA内包高分子ミセルを作成した。担癌マウス(大腸癌(C26)皮下移植モデルおよびヒト膵臓癌(BxPC3)同所(膵内)移植モデル)を作成し、MRI造影効果と抗腫瘍効果を確認した。蛍光X線解析法でPt原子およびGd原子の腫瘍内存在を確認した。

【結果および考察】
 DACHPt/Gd-DTPA内包高分子ミセルはEnhenced Permeability and Retention (EPR)効果を利用して腫瘍内に選択的に送達できるサイズで、血中滞留性も長く、薬剤徐放出性も確認された。MRI造影剤の造影能力の指標である「緩和能」がフリーのGd-DTPA(3.4 mM-1S-1)に比べて20倍もの高い値(80.7 mM-1S-1)を示した。in vitro試験での制癌作用の評価では、ミセルは同濃度のoxaliplatinと比べ遜色ない制癌作用を有した。マウス大腸癌細胞皮下移植モデルおよびヒト膵癌同所移植モデルにおいて、MRIによる著明かつ持続的な腫瘍造影効果を示し、control群およびoxaliplatin投与群に比べ、有意に腫瘍の成長を抑制した。SPring8での蛍光X線解析では、腫瘍内にPtおよびGdが選択的に取り込まれており、両薬剤のco-localizeが証明された。

【結論】
 DACHPt/Gd-DTPA内包ミセルは、腫瘍に選択的に治療薬と診断薬を送達する「目に見えるDDS」という新しい概念を打ち立て、次世代の癌治療薬として臨床応用が期待されるナノデバイスである。

文責 滋賀医科大学外科学講座 貝田 佐知子
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