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最新研究論文の紹介
2013年3月28日 更新
Hiroshi Yamamoto, Kazuhisa Maeda, Yoshitaka Uji, Hiroshi Tsuchihashi, Tsuyoshi Mori, Tomoharu Shimizu, Yoshihiro Endo, Aya Kadota, Katsuyuki Miura, Yusuke Koga, Toshinori Ito, Tohru Tani
Association between reduction of plasma adiponectin levels and risk of bacterial infection after gastric cancer surgery
PLOSone 2013;8(3):e56129. Doi: 10. 1371/journal pone.0056129. Epub 2013 Mar 8   PMID: 23520452

胃癌術後におけるアディポネクチンの低下と術後感染リスクの関連
 胃癌をはじめとする腹部外科手術の様々な疾患に対して術式が標準化・定型化される昨今、術後の合併症を規定する因子は、手術の困難性を反映する手術時間や出血量もさることながら、患者因子が大きく寄与することがわかってきた。具体的な危険因子としては、肥満と糖尿病をはじめとするメタボリックシンドロームの合併が挙げられる。メタボリックシンドロームのマスター分子と言われているアディポネクチン(APN)は、肥満患者で低下し、抗糖尿病・抗高血圧・抗動脈硬化作用の他に抗炎症作用をもつことが知られている。これまで我々は、周術期血中APNの測定意義について検討し、腹部外科手術前後で血中APN値が低下し、その前後比は術後感染症を予測するマーカーになることを報告した(肥満研究2008)。
 今回胃癌待機手術患者を対象に、APN術前後比(術後1日目のAPN / 術前のAPN)を含め術後感染症に寄与する因子について検討した。術後感染症の有無で群間比較したところ、有意差を認めた因子は、年齢・ASA・DMの既往・手術時間・出血量・手術術式・CRP・術前血中APN値およびAPN術前後比であった。多変量回帰分析では、DMの既往と血中ADN術前後比が術後感染症に寄与していた。ROC曲線から、術前後血中APN比は術後感染症発生予測において、感度・特異度とも高い傾向にあり、術後1日目のCRP・手術時間・出血量よりも有意に優れていた。
 術前後血中APN比が胃癌手術術後感染の有無を予測する上で重要な因子であり、手術時間・出血量・術後1日目のCRPよりも有用であることが示された。現在RCTが進行中の胃癌術後(胃全摘術)の抗菌剤の予防投与においても、術前後ADN ratioは菌培養の結果がまだ得られない術後1日目に術後感染症を予測でき、抗菌剤使用の継続を判断する上で有用な指標となり得る可能性がある。

文責  外科学講座  山本 寛
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