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最新研究論文の紹介
2014年3月3日 更新
Yugo Ishino, Yoshitaka Hayashi, Masae Naruse, Koichi Tomita, Makoto Sanbo, Takahiro Fuchigami, Ryoji Fujiki, Kenzo Hirose, Yayoi Toyooka, Toshihiko Fujimori, Kazuhiro Ikenaka, Seiji Hitoshi.
Bre1a, a histone H2B ubiquitin ligase, regulates the cell cycle and differentiation of neural precursor cells

The Journal of Neuroscience 2014 Feb 19; 34(8): 3067-3078. doi:10.1523/JNEUROSCI.3832-13.2014.  PMID: 24553946


神経幹細胞が保たれる仕組みの一端を解明
―神経幹細胞の維持に重要なBre1aの働きを初めて解明―
―脳腫瘍の治療技術の改良に期待―

 脳の再生医療の鍵を握るものとして注目される神経幹細胞は、脳のすべての神経細胞・グリア細胞の源であり、私たち成人の脳にもあって、記憶の形成や気分の安定に重要だと考えられています。神経幹細胞が、動物の一生に亙って自分自身を維持するためには、増殖と分化のバランスをうまく調節する必要があります。増殖とは、すなわち、細胞分裂(1個の細胞が分裂して2つの細胞になる過程を細胞周期と呼びます)の積み重ねであり、1回の細胞周期にかかる時間が重要になってきます。神経幹細胞では、胎児期に細胞周期がどんどん伸びていき、成人の脳では遂に非常にゆっくりとしか分裂しなくなると考えられています。この”非常にゆっくりとしか分裂しない”という性質は、さまざまなタイプの幹細胞において、遺伝子変異のリスクを減らす(すなわち腫瘍化を防ぐ)という意義があるのだろうと、推測されています。

 今回我々は、自然科学研究機構・生理学研究所の池中一裕教授らとの共同研究で、神経幹細胞の維持機構を詳しく解析しました。神経幹細胞の細胞周期と分化のバランスをとるためには、両方を調節している因子があるはずだと考え、Bre1aという遺伝子を同定しました。Bre1aは、細胞のDNAが巻き付いているヒストンと呼ばれるタンパク質の1つ、H2Bをユビキチン化する酵素です。我々は、Bre1aが神経幹細胞の分化と細胞周期を制御していることを、初めて発見しました。脳腫瘍の1つであるグリオーマでも、この分子メカニズムが働いていると推定され、グリオーマの治療技術の進歩にも期待できる研究成果です。

 本研究は文部科学省科学研究費補助金の補助を受けて行われました。また、三共生命科学研究振興財団(現・第一三共生命科学研究振興財団)およびアステラス病態代謝研究会からの研究助成金による支援を受けました。

文責 生理学講座 統合臓器生理学部門 等 誠司
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