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最新研究論文の紹介
2017年1月17日 更新
Zankov DP, Shimizu A, Tanaka-Okamoto M, Miyoshi J, Ogita H.
Protective effects of intercalated disk protein afadin on chronic pressure overload-induced myocardial damage.

Sci Rep. 2017; 7: 39335. doi: 10.1038/srep39335. PMID: 28045017


心筋介在板に存在するタンパク質アファディンが慢性的な圧負荷による心筋障害を抑制

 

 超高齢化社会の日本において慢性心不全の患者数は年々増加している。慢性心不全は5年生存率が約50%しかない予後不良の病態である。慢性心不全の機序については不明な点も多く残されており、この病態の根本的な治療の難しさにつながっている。アファディンは多くの組織において、細胞どうしの接着部位に存在するタンパク質である。心筋でも心筋細胞どうしの接着部位である介在板にアファディンは存在する。介在板には他にも様々なタンパク質が存在し、そのいくつかについては心臓の働きに関連することが報告されている。しかし、心筋細胞のアファディンの作用については不明であった。

 まず、心筋細胞特異的アファディンノックアウトマウスを作製した。次に、大動脈弓部を狭窄する処置を行い、マウス心臓に過負荷をかけた。このようなマウスを8週間飼育すると、ノックアウトマウスでは、野生型のマウスと比較して、早期に心機能が低下し、心不全の状態となった。すなわち、アファディンが存在することで心不全を抑制していることが明らかになった。

 ノックアウトマウスで心不全となる原因について検討したところ、i)心臓内にマクロファージが多く侵入して炎症が生じ、ii)心筋細胞の一部が線維化し、さらに、iii)心筋細胞のアポトーシスが増加していた。また、アファディンは、心筋細胞においてトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)受容体と結合し、TGFβ受容体下流のシグナル分子(Akt、Smad、TAK)の作用を制御していた。アファディンはこれらのシグナル伝達制御系を介して、上記i)、ii)、iii)が生じることを阻害し、心不全になることを抑制していた。一方、アファディンノックアウトマウスでは、この制御系が破綻してしまうために心不全になっていた。


文責 生化学・分子生物学講座(分子病態生化学) 扇田 久和

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