大変暑かった夏もようやく終わり、ここ湖国にも秋の気配が少しずつ濃くなってまいりました。 本日ここに令和5年度秋季滋賀医科大学大学院医学系研究科入学宣誓式を挙行できることを心から嬉しく思います。

博士課程医学専攻に入学された14名の皆さん、修士課程看護学専攻に入学された2名の皆さん、ご入学おめでとうございます。なお、今回博士課程医学専攻に入学された14名のうち7名、修士課程看護学専攻に入学された2名のうち1名は外国からの留学生の方です。本学は皆さんを心から歓迎いたします。

皆さんはこれからの4年間、医学・看護学のそれぞれの分野で研究を行うことになります。最初は研究者としての素養と基本的な研究遂行能力を修得するためのトレーニングの期間ですが、科学者としての心構えと倫理観を身に付ける重要な時間でもあります。科学者として偽りなく研究を真摯に遂行することは当然のことなのですが、近年のIT技術の進歩と情報公開制度の発達に伴い、ほとんどの研究成果が誰の目にもオープンとなる環境になってきました。研究成果のオープン化はあるべき姿として喜ばしいことですが、現状では研究不正事案の告発が後を絶たない状況となっております。当たり前のことですが、研究を公正に遂行することの重要性を認識して取り組んでください。一方で、研究で培った物事に真摯に取り組む習慣は、今後の医療の実践においても極めて重要な基盤となり、皆さんの大きな財産となります。

さて、皆さんは大学院生としてどのような研究に取り組んでいくのか、志を高く持たれていることでしょう。あるいは、医師や看護師をはじめ社会人としての経験をもとに、研究テーマを温められているかもしれません。いずれにしてもこれからの皆さんの研究は、指導教員の指導を受けながらも世界で唯一無二のもの、皆さん自身のオリジナルな研究となります。また、滋賀医科大学では、多くの研究者が広い範囲で多くの基礎研究を行っています。指導教員と相談の上で新しい環境に飛び込んでみるのも、自分のキャリアを広げるのに役立つのではないかと思います。 皆さんの大学院での研究生活が実り多いものになることを願っております。

(以下、英語によるメッセージ)
 I am very pleased to welcome you as graduate students to Shiga University of Medical Science. I suppose you all have your own ideas of your research from your experiences as medical doctors or young scientists. I hope you keep strong motivation to pursue truth of science in your research, through deep thinking by yourself and in collaboration with your colleagues and teachers.

At the same time, you will learn basic methods to perform research properly. It is very important for all researchers to learn and understand research ethics to prevent research misconduct. Along with the development of information technology and information disclosure system, all research products are open to the public, and everybody can see your research products. As a result, unfortunately, we are faced with the fact that there are many research misconduct cases in the world as well as in this country. Therefore, you should perform your research properly and sincerely, according to research rules and ethics.

I encourage you to conduct research with your own originality, which should be only one in the world, and remember that good collaborations with your colleagues and teachers will make it possible. I also hope that you all enjoy your life in Japan by making new friendship at Shiga University of Medical Science.
(英語によるメッセージ、ここまで)

ところで、本学は来年の令和6年10月に開学50周年を迎えますが、このたび、その節目の年の令和6年4月から大学院医学系研究科看護学専攻に博士後期課程を設置することが、文部科学省により認可されました。看護学専攻博士後期課程では、地域医療をめぐる多様な健康課題の解決に向けた探求や実践ができる、看護学研究者や高度な看護人材の育成を目的としています。開学50周年と看護学専攻博士後期課程の設置をきっかけに、今後とも本学は、その理念である「地域に支えられ、地域に貢献し、世界に羽ばたく大学として、医学・看護学の発展と人類の健康増進に寄与すること」を目指して、よりいっそう飛躍してまいります。

本日の滋賀医科大学大学院医学系研究科へのご入学をお祝いし、皆さんの今後のご活躍を心から祈念して、お祝いの言葉といたします。

令和5年10月2日
国立大学法人滋賀医科大学長  上本 伸二