東近江がん診療セミナー

 

第39回東近江がん診療セミナー

令和2年2月6日(木)18:00〜 


 『第39回東近江がん診療セミナー』は、ヴォーリズ記念病院の緩和ケア認定看護師さんをお招きして、終末期を迎えた患者さんの看護について講演をして頂いた後、当院の事例について症例検討を行いました。
 『病院での終末期看護と看取りについて』の演題で講演頂いたのは、ヴォーリズ記念病院緩和ケア認定看護師の谷川弘子さん。講演では、ホスピス病棟を持つヴォーリズ記念病院の入院から在宅復帰への支援、再入院から看取りまでの看護の内容について説明いただいた後、ACPの重要性や患者さんご本人やご家族に対する声かけやケアの心構えをお話いただきました。結びの言葉は特に印象に残りましたので、ご本人のご了解を得てご紹介させていただきます。
”患者の死に臨んでは、その前後には色々な処置や手続きが集中して行われる。手際よく行動することは大切だが、決して事務的、機械的にならないように気をつけたい。死は一人の「人」の人生の終わりであり、その時に患者の人生の集大成をみることもできる。看取りの場面は1つとして同じものはない。私たちは裏方としてその人らしい最期が演出できるよう、また、家族が「この病院で最期を迎えることが出来て本当に良かった」そう感じていただけるケアを提供し続けていくことが重要である”(「病院での終末期看護と看取りについて」谷川弘子さんスライド資料より)
 後半は当院の終末期のがん患者さんの看護について、入院から看取りまでの経過について症例検討を行いました。痛みを取ってほしいとおっしゃる患者さんの苦痛を軽減するという看護目標に対し、アロマテラピーを取り入れた足浴、手浴、上下肢マッサージを実践。このケアに同意をいただくことをきっかけにご家族の思いを聞き取ることにも一役買い、後悔の少ない看取りができた症例発表でした。

 3月のがんセミナーは、3月5日(木)18:30〜 八日市ロイヤルホテルにて、「第4回地域を支える滋賀がん診療勉強会」と合同で開催します。

坂野泌尿器科医長

総合司会

谷川弘子先生

特別講演

早川直子師長

特別講演座長

正司 円看護師

症例発表

 伊藤明彦先生

症例発表座長

第38回東近江がん診療セミナー

令和元年12月5日(木)18:00〜 


 『第38回東近江がん診療セミナー』は、「危険な飲酒をみつけよう〜電子カルテでテンプレートを作成してみました〜」の講演と、症例発表「がん疾患をもった患者の大腿骨折後のリハビリテーション」の2本立てで行いました。
 最初の講演は、研修医の石田先生が7月に久里浜医療センターで受けた『アルコール依存症臨床医等研修』の内容をフィードバックする形で発表して頂きました。石田先生は、アルコール依存症とまではいかないが、がんをはじめとするいろんな病気のリスクファクターとなる危険な飲酒を早い段階で見つけ、「AUDIT(アルコール使用障害スクリーニング)」によって自覚を持ってもらう取り組みを院内で始めており、現在は10名ほどの患者さんと関わりを続けているという。本人に危険飲酒の自覚がないところをどうアプローチしていくのか、最初の声かけの仕方や継続して関わっていく方法、そこで見えてきた課題や今後の方向性(夢)なども熱く語って頂きました。
 後半は、がん疾患と平行して大腿骨折をした患者さんのリハビリテーションについての症例発表がありました。生活の自立と化学療法の再開を希望する患者さんに対し、本格的なリハビリが開始されるまでの期間の過ごし方について、看護師としてできるベッドサイドでできるリハビリの提唱や疼痛・栄養管理などが発表されました。その後の質疑では、リハビリの必要な入院患者さんをどうつなげていくか、病棟とリハの連携についても確認されました。

 1月のがんセミナーはお休み、次回は2月5日(木)18:00〜 講演「病院での終末期看護と看取りについて」と、症例発表「がん患者とその家族への関わりについて」で開催します。

目片英治副院長

総合司会

石田正平先生

演題1発表

伊藤明彦先生

演題1座長

山脇七海看護師

症例発表

 菊池克久先生

症例発表座長

第37回東近江がん診療セミナー

令和元年10月3日(木)18:00〜 


 『第37回東近江がん診療セミナー』は、「AYAがん患者の特徴と支援」の講演と、症例発表「咽頭がん患者の在宅へ向けた関わり」の2本立てで行いました。
 特別講演は、滋賀医科大学医学部附属病院がん看護専門看護師の木村由梨先生より、AYA世代(思春期・若年成人)のがん患者さんについてお話頂きました。この世代はがん患者さん自体が極めて少なく、希少がんが多く原発部位も多岐にわたる、また人生のライフイベントと重なる時期であることから社会的、精神的支援が得られにくいのが特徴。希少がんであるがゆえに、医療者側もこれまでの知恵を活かしたり、経験値を積んでいくことが難しく、本人の得たい情報が得られない、または引き出しにくいという問題があり、AYA世代の世代別の悩みや欲しい情報の研究スライドを提示しながら、どのように患者さんを支援すべきか、アプローチの仕方をお話いただきました。またこの世代特有の妊孕性温存について、医療者側の情報提供のあり方についても触れられました。
 後半は、咽頭がん患者さんの在宅支援への関わりについて症例発表がありました。病状について経過説明がある中で、手術前の自分と後の自分を、本人と家族がどう受け取るかによって在宅への支援のあり方が変わってくる症例で、揺れ動く思いに寄り添いながらも、患者さんの不安を一つずつ解決していくことが在宅への支援につながることを確認しました。

 11月のがんセミナーはお休み、次回は12月5日(木)18:00〜 演題1『危険な飲酒をみつけよう〜電子カルテでテンプレートを作成してみました〜」と、演題2「がん疾患をもった患者の大腿骨折後のリハビリテーション」で開催します。

木村由梨先生

特別講演

西村先生・宮地師長

特別講演座長

池田助産師

症例発表

 星耳鼻咽喉科医長

症例発表座長

第36回東近江がん診療セミナー

令和元年9月5日(木)18:00〜 


 『第36回東近江がん診療セミナー』は、「緩和ケアと医療用麻薬の基礎知識」の講演と、症例発表「肺がん患者へのがん性疼痛に対する関わり」の2本立てで行いました。
 特別講演は、国立病院機構兵庫中央病院副薬剤部長の古川順章先生に緩和ケア・がんの痛みについて・WHO鎮痛薬使用の5原則・オピオイドの特徴・オピオイドの副作用と対策・オピオイドスイッチングの6項目についてお話頂きました。おさらい的な内容からあらためて知る知識まで、薬剤師の目線から見た医療用麻薬のいろはは、医療者として知っておくべきことばかりで、明日からの診療に大いに役立ちました。また知識だけでなく、患者さんによって違う痛みの表現を正しく把握する問いかけの仕方など、経験による知恵も伝授いただきました。
 後半は、肺がん入院患者さんの外泊支援への取り組みについて症例発表がありました。家に帰りたい患者さんと連れて帰ってあげたい家族さんの思いに対し、自己管理ができるよう薬を変更したり、在宅療養へ向けた環境を整えるなどしているうちに、患者さんの病状が悪化。どうすれば、患者さんの思いを実現することができたか、症例を振り返りながら、反省をこめて検討会を行いました。

 次回のがんセミナーは、10月3日(木)18:00〜 特別講演『AYAがん患者の特徴と支援』と、症例検討『喉頭がん患者の在宅へ向けた関わり』について取り上げます。

古川副薬剤部長

特別講演

庄野副薬剤部長

特別講演座長

端看護師

症例発表

 大内呼吸器外科医長

症例発表座長

第35回東近江がん診療セミナー

令和元年7月4日(木)18:00〜 


 『第35回東近江がん診療セミナー』は、「抗がん剤による曝露予防」の講演と、症例発表「全身に多発リンパ節腫脹を認め診断に苦慮した進行大腸癌の一例(ポスター演題より一部変更)」の2本立てで行いました。
 特別講演は、東近江総合医療センター副薬剤部長の庄野裕志先生より、我々医療従事者が抗がん剤を取り扱う上でのリスクと、曝露対策についてお話頂きました。抗がん剤は患者さんに適切に投与することでの効果が高い反面、取り扱う医療従事者の健康にも影響を及ぼす薬剤であるということを再認識してもらおうと、曝露が起こりうる場面や経路、予防の重要性、万が一の曝露対策まで、順を追って説明頂きました。後半には、国立病院機構共同臨床研究の「抗がん剤曝露実態調査」から得た結果を参照しながら、モニタリング・教育・清掃が重要であることを示して頂きました。
 第2部では、消化器内科医師の大槻晋士先生が、あるがん患者さんの主訴からその時点、時点での考察を加えて、確定診断に至るまでの過程を辿っていく、これまでのがんセミナーとは趣向を変えた症例発表を行いました。内科、外科を含めたさまざまな診療科の先生も参加するセミナーであるがゆえ、他の診療科からみた疑問や意見が飛び交う有意義な症例発表であったと感じました。

 次回のがんセミナーは、9月5日(木)18:00〜 特別講演『とっても簡単!緩和ケアと医療用麻薬の基礎知識』と、症例検討『肺がん患者へのがん性疼痛に対する関わり』について取り上げます。

目片副院長

総合司会

庄野副薬剤部長

特別講演

川瀬看護師長

特別講演座長

大槻晋士先生

症例発表

 和田 広先生

症例発表座長

第34回東近江がん診療セミナー

令和元年6月6日(水)18:00〜 


 『第34回東近江がん診療セミナー』は、EGFR阻害薬をテーマに、特別講演と症例検討を行いました。
 特別講演は『EGFR阻害薬による皮膚症状と治療について』の演題で、当院の皮膚科医長の鵜飼佳子先生よりお話頂きました。EGFR阻害薬の総論と、それによるざ瘡様皮疹、爪囲炎、乾燥、角化・亀裂などの様々な皮膚障害とその治療についてお話いただく中で、発症した皮膚障害をコントロールしながら、いかにがん治療を継続していくべきか、また、重症の皮膚障害が生じた患者さんは苦痛が強く、がんの治療継続のためには予防や適切な対応が重要だと締めくくられました。参加した看護師らからは、「薬の塗り方や指導方法について知ることができて良かった」「具体的な薬剤名、アルゴリズムが明記されており、わかりやすかった」との感想が寄せられました。
 症例検討では、松井薬剤師より『当院におけるEGFR阻害薬の使用状況』が報告され、外来化学療法室の平塚看護師からは『アービタックス投与患者に対する適切な軟膏使用についての取り組み』として、塗り薬を使うときのポイントをまとめた患者さん用のパンフレットを配布している例が紹介されました。このような工夫や知恵を他部署や他職種が知って、活用したいというきっかけとなるのも、このがんセミナー開催目的のひとつ。今後もそのような症例にスポットを当てて、紹介していけるようながんセミナーにしたいと思います。

 次回のがんセミナーは、7月4日(木)18:00〜 特別講演『抗がん剤による曝露予防』と、症例検討『大腸癌に全身リンパ節腫大を伴った症例の検討』について取り上げます。

坂野泌尿器科医長

総合司会

鵜飼皮膚科医長

特別講演

太田外科医長

症例検討座長

松井薬剤師

症例検討発表

 平塚看護師

症例検討発表

第33回東近江がん診療セミナー・第2回地域を支えるがん診療勉強会

令和元年5月22日(水)18:30〜 八日市ロイヤルホテル


 『第33回東近江がん診療セミナー』は、『第2回地域を支えるがん診療勉強会(共催:地域を支える滋賀がん診療研究会・中外製薬株式会社)』とのコラボ企画で開催いたしました。
 『地域を支えるがん診療勉強会』とは、がん診療に関する諸問題をがん診療に携わる医師、研究者及び医療従事者を中心として、多角的かつ自由に検討し、滋賀県のがんのチーム医療の発展に寄与するともに地域医療の向上を図ることを目的に、平成30年に設置されたもので、事務局を本学総合外科学講座に置いています。
 会では、長浜赤十字病院・日野記念病院・公立甲賀病院・東近江総合医療センターの医師、看護師、薬剤師、栄養士による発表があり、多職種が一堂に会する稀有なセミナーとして定着させていきたく、通常第1木曜に開催している『東近江がん診療セミナー』の拡大バージョンとして、今回は中外製薬様のご協力により実現しました。
 後半には、佐野病院 消化器がんセンター長の小高雅人先生による「BESTな大腸癌治療を目指して」の特別講演もあり、参加者総勢80人のにぎやかな会となりました。

 次回のがんセミナーは、6月6日(木)18:00〜 EGFR阻害薬 について取り上げます。

第32回東近江がん診療セミナー・第44回ひがしおうみ☆栄養塾

令和元年5月15日(水)17:30〜


 『第32回東近江がん診療セミナー』は、『第44回ひがしおうみ☆栄養塾』とのコラボ企画で開催いたしました。
 『ひがしおうみ☆栄養塾』は、毎月第3水曜に開催されている栄養管理のための勉強会で、今回はがんセミナーとの共同テーマとして、「がん患者の栄養管理」と題し、消化器内科の伊藤明彦先生による特別講演を行いました。
 前半部分は、がん患者さんの約半数が体重が減少することから、エネルギー必要量と投与量のバランスをいかに保っていくか、また栄養介入をすることで得られる治療効果の有意差など、総論的な内容を講義いただきました。後半部分は、〜患者さんからのメッセージ〜という副題からもわかるように、長年、管理栄養士としてNSTに携わってこられたがん患者さんの生の声を伊藤先生が代弁する形で届けられました。前半部分で触れた必要とされる栄養摂取量を充足しようとするあまり、忘れられがちな患者さん一人一人の思いにいかに寄り添うか、メッセージはそのどれもが我々医療者に投げかけられた課題であり、解決の糸口であり、励ましであり、今後の医療にどう生かしていくべきか、考えさせられる内容でありました。
 次回のがんセミナーは、5月22日(水)18:30〜『第2回地域を支えるがん診療勉強会』との合同企画で、八日市ロイヤルホテルにて開催します。(要参加費:医師1,000円、メディカルスタッフ500円)

目片副院長

総合司会

伊藤消化器内科医長

特別講演

 

会場の様子

第31回東近江がん診療セミナー

平成31年4月25日(木)18:00〜


 4年目となった『東近江がん診療セミナー』の初回は、院内・院外の医療従事者に当院でのがん診療における取り組みを知っていただく目的で、「外来化学療法室の紹介」「当院の緩和ケアチームの紹介」「禁煙に向けての行動変容」の3演題で、担当の看護師、医師から発表がありました。
 最初の発表は、平成31年3月20日に「滋賀県地域がん診療連携支援病院の整備に関する指針」が改正されたことに伴い、改正内容と共に当院の外来化学療法室での治療についての紹介がありました。外来化学療法室の利用は、術前・術後の補助化学療法のほかに、緩和目的で実施されている場合もあり、総件数は年々増加傾向にあります。化学療法の導入は入院時に実施されることが多く、その後外来に移行する際に患者さんの不安をいかに軽減していけるか、病棟と外来スタッフの連携や、情報共有の在り方や取り組みについて発信されました。

 2つ目の発表は当院の緩和ケアチームの活動紹介、3つ目の発表はあらゆるがんのリスクファクターとなる喫煙を禁煙へと導く行動変容と禁煙外来について、総合内科医師の田丸先生より発表がありました。禁煙の段階時期によって、一人で頑張らせない、失敗しても決して責めない、寄り添う姿勢、褒めるのアプローチの方法は、禁煙でなくても応用の効く内容であっただけに関心も高く、多くの質問が寄せられました。
 次回のがんセミナーは、5月15日(水)17:30〜『ひがしおうみ☆栄養塾』との合同企画で、がん患者さんの栄養管理について取り上げます。

尾崎外科診療部長

1部座長

平塚外来看護師

1部発表

坂野泌尿器科医長

2部座長

宮城緩和ケア認定看護師

2部発表

 大西循環器内科部長

3部座長

田丸総合内科医師

3部発表