渕上 孝裕 特任助教（医療人育成教育研究センター）

2007年3月　東京都立大学（現・首都大学東京）理学部生物学科 卒業。
2009年3月　首都大学東京大学院理工学研究科生命科学専攻 修士号取得
2013年3月　首都大学東京大学院理工学研究科生命科学専攻 博士（理学）取得
2013年4月より現職。

　これまで首都大学東京において、久永眞市教授の御指導の下、Reelinシグナルに関与する細胞内因子Dab1と相互作用する新規のタンパク質CIN85について、研究を行ってきました。
　Reelinは大脳皮質形成期において神経細胞の移動を調節する分泌型タンパク質であり、Dab1はReelinシグナルの細胞内伝達に働きます。一方、CIN85は増殖因子受容体の細胞内への取り込みにおいて、エンドサイトーシス関連因子の足場タンパク質として機能することが知られていましたが、神経細胞のような非増殖細胞での機能については僅かな例しか報告されていません。私は、神経細胞にReelinを添加した直後から、CIN85がDab1を介してReelinおよびReelin受容体 (ApoER2, VLDLR) と顕著に共局在を示すことを初めて見出しました。この結果は、CIN85がReelinシグナルに関与する新規のタンパク質であることを示唆しています。本研究の内容は、下記の Genes to Cells 誌に掲載されています。
　今後は、神経幹細胞の維持や神経細胞分化、神経組織の構築を制御する因子の機能解析を中心に研究を進めていきたいと考えています。

Selected publications

• Fuchigami T, Sato Y, Tomita Y, Takano T, Miyauchi SY, Tsuchiya Y, Saito T, Kubo K, Nakajima K, Fukuda M, Hattori M, Hisanaga S (2013) Dab1-mediated colocalization of multi-adaptor protein CIN85 with Reelin receptors, ApoER2 and VLDLR, in neurons. Genes Cells 18, 410-420
• Minegishi S, Asada A, Miyauchi S, Fuchigami T, Saito T, Hisanaga S. (2010) Membrane association facilitates degradation and cleavage of the cyclin-dependent kinase 5 activators p35 and p39. Biochemistry 49, 5482-5493
• Sato Y, Taoka M, Sugiyama N, Kubo K, Fuchigami T, Asada A, Saito T, Nakajima K, Isobe T, Hisanaga S. (2007) Regulation of the interaction of Disabled-1 with CIN85 by phosphorylation with Cyclin-dependent kinase 5. Genes Cells 12, 1315-1327