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2024/02/16

児玉健二先生の論文 が Heart and Vessels 誌に掲載されました。

Difference in one-year late lumen loss between high- and low-dose paclitaxel-coated balloons for femoropopliteal disease.
DOI: 10.1007/s00380-024-02370-0

「要旨」
 パクリタキセルコーティングバルーン(PCB)を使用した経皮的下肢動脈形成術は従来のバルーン拡張術と比較し再狭窄率を有意に低下させることが示されてきました。PCBには塗布されたパクリタキセル濃度の違いでhigh-dose(3.0-3.5μg/mm2)とlow-dose(2.0μg/mm2)に分類され、両群を比較したメタアナリシス研究ではhigh-dose群で有意に再治療率が低いことが示される一方で、最近報告された両群を比較した前向き研究では両群に有意さは示されませんでした。本研究ではこれまで比較されたことがなかった治療後内膜増殖の程度を評価する指標であるlate lumen lossの観点で両群を直接比較しました。high-dose群にはIN.PAC Admiralを使用し、low-dose群にはLutonixを使用しました。本研究は小倉記念病院において2014年5月から2020年3月に施行されたPCBを使用した経皮的下肢動脈形成術のうち、1年後に下肢動脈造影でフォロ−を行った67病変(high-dose:45病変、low-dose:22病変)を対象として1年後のlate lumen lossを比較しました。low-dose群では透析、重症下肢虚血症例の割合が多い一方、high-dose群では、病変長が長い傾向にありました。late lumen lossはhigh-dose群で有意に低く、つまりはカテーテル治療後の内膜増殖をより有意に抑制していることが示唆されました。重度な動脈硬化を認める重症下肢虚血の患者群においても同様な傾向が認められました。またこれまでPCBを使用したカテーテル治療後においてむしろ血管径が拡大するlate lumen enlargementという現象が報告されていますが、high-dose群では全体の33%にこの現象を認める一方でlow-dose群では1例も認めませんでした。経皮的下肢動脈形成術における今後のPCB選択において本研究が参考になるものと期待しています。

 

 

2024/01/30

岡本寛樹先生のCase report が BMC Cardiovascular Disorders 誌に掲載されました。

The two therapeutic strategies of surgicalintervention and medical managementin a patient with enhanced-fbrinolytic typeof disseminated intravascular coagulationafter aortic replacement for Stanford type A aortic dissection with chronic heart and renalfailure.
 

「要旨」
 A型大動脈解離術後の人工血管周囲の血腫による線溶亢進型DICが原因でコントロールに難渋したCRT-D周囲の皮下血腫の治療に関する症例報告です。1回目の入院では、皮下血腫に対して複数回の外科的処置を行うも再発を繰り返すため、最終的に人工血管周囲の血腫に対する開胸止血術を行い、DICをコントロールすることに成功しました。しかしながら、その7か月に皮下血腫は再発してしまい、再入院となってしまいました。2回目の入院では、抗凝固薬と抗線溶薬の併用で治療を行い、DICをコントロールすることに成功しました。大動脈疾患による線溶亢進型DICの管理では、患者の状態にあわせて外科的治療と内科的治療をうまく組み合わせることが重要であると考えられました。

 

 

2024/01/24

最新版の心臓病手帳教材(A4・オレンジ)に誤りがございました。

 お手元にある資料が古い内容でしたら、こちらからダウンロードしてお使いください。
 【訂正箇所 教材/ P38. P39】 

  手帳の発送依頼はこちらからお願いします。依頼Form

 

2023/12/02

第5回 関西 YES CLUBにおいて 最優秀プレゼンターとして浅田紘平先生が選ばれました。

 

2023/11/29

岡本 寛樹 先生の論文がCirculation Journal 誌に掲載されました。

Discriminative Ability of Dynamic Chest Radiography to Identify Left Ventricular Dysfunction.

「要旨」
 最近本邦のコニカミノルタ社にてレントゲンの動画撮影システムが開発されました。この検査法では10-15秒程度で、胸部レントゲンを動画撮影することができ(胸部動的撮影:Dynamic chest radiography, DCR)、心臓や呼吸時の肺・横隔膜の動きを観察することができます。これまでDCRを用いて肺機能や肺循環にまつわる研究が行われてきましたが、心臓に関する研究はほとんど行われていませんでした。今回私達はDCR画像における心臓の左縁の動きに注目し、DCRで左室収縮能を予測できるのではないかという仮説を立てました。結果としては心臓左縁の画素値変化率を用いることで、まずまずの確率で左室収縮能が低下した患者を予測することができることがわかりました。DCRは短時間で心機能が評価できる撮影方法として今後健診などで活用されることが期待されます。

 

2023/11/24

畑 俊嘉 先生の症例報告論文:Case report がInternal Medicine誌に掲載されました。指導教員 加藤 浩一 先生

Persistent Left Superior Vena cava with the Absence of the Right Superior Vena Cava and Atrial Appendage: Complex Pacemaker Implantation in a Patient Presenting with a Rare Vascular Anomaly
DOI: 10.2169/internalmedicine.2391-23

「要旨」
 左上大静脈遺残(PLSVC)は比較的しばしば観察される解剖学的異常で、CT画像によって偶然発見されることが多い状態です。しかし、PLSVCに加えて右上大静脈欠損を示すことは非常に稀です。この特殊な状態は洞房機能不全を引き起こすことがあり、ペースメーカーの植え込みが必要となります。今回の報告は、心臓の発生過程からも興味深い意義ある報告です。


 

2023/11/08

WATCHMAN(左心耳閉鎖術・経カテーテルによる不整脈治療)を施行いたしました

滋賀医科大学医学部附属病院の循環器内科では、左心耳閉鎖システム『WATCHMANデバイス』を用いた新しいカテーテル治療を開始しました。 本治療は一定の基準を満たした施設での実施が認められており、滋賀県下初の手術症例(実施)となりました。(2023年11月現在)
非弁膜症性心房細動による血栓の形成に起因する心臓の左心房にある「左心耳」を閉鎖し脳卒中を予防する医療機器を用いて、非弁膜症性心房細動を罹患し長期間の抗凝固薬の服用ができない患者さんに対して1回限りのカテーテル手技で心房細動による脳卒中を予防するという新しい治療の選択肢となります。第1例目は講師 小澤 友哉 医師 とプロクターとして心臓病センター榊原病院 循環器内科 森川 喬生 先生にお越しいただき実施いたしました。

 

2023/11/03

滋賀県民公開講座『成人先天性心疾患~小児科から成人への移行~』

参加無料・事前登録なし、先着200名様までご入場いただけます。

場 所 滋賀医科大学 2階 会議室2
    ※駐車場は病院患者さん用をご使用いただけます。※駐車券を会場までお持ちください。
    ※セブンイレブン横の駐車場は使用できませんのでご注意ください。
時 間 10時30分-12時00分予定 (開場 10時00分)

 

2023/09/12

経カテーテル大動脈弁留置術「TAVI」の慢性透析患者への施術要件を満たす専門施設に認定されました。

当院では経カテーテル大動脈弁留置術「TAVI」の慢性透析患者への保険適応拡大に関し、定められた施設要件を満たす専門施設となりました。
現時点は滋賀県では唯一の施設となります。

 

2023/10/08

滋賀県民公開講座『がん治療で心臓や血管が悪くなる!?』

参加無料・事前登録なし、先着200名様までご入場いただけます。

場 所 ピアザ淡海 2階大会議室
    ※駐車場は使用できませんので、周辺の有料駐車場をご利用ください。
時 間 14時00分-16時00分予定 (開場 13時40分)

 

2023/10/01

心臓病手帳の内容を更新しました。発送依頼は医局まで詳細のご連絡をお願いいたします。

心臓病手帳発送のご依頼はGoogleフォームよりお願いいたします。

 

 

2023/08/25

肥後洋祐先生の論文がCirculation Journal誌に掲載されました

Epidemiology of Acute Aortic Dissection in a General Population of 1.4 Million People in Japan - Shiga Stroke and Heart Attack Registry
DOI: 10.1253/circj.CJ-22-0758

「要旨」
 急性大動脈解離は急性に発症し、命を脅かす動脈硬化性疾患の一つです。時に病院にたどり着く前に死亡する症例もあり、発症率を算出する上で急性大動脈解離により死亡症例も拾い上げることが重要です。死亡データを用いて、大動脈解離の発症率を算出した報告は、欧米からはいくつかの報告があり、その発症率は2.5–7.2/100,000人年でした。しかし、日本において急性大動脈解離の発症率を報告はわずかであり、また死亡データまで使用した報告はほとんどありません。本研究は、滋賀県脳卒中・循環器病登録研究 (Shiga Stroke and Heart Attack Registry)のデータを用いて、2014–2015のの急性大動脈解離の発症率を評価しました。その結果は、滋賀県人口から求めた粗発症率は14.3/100,000人年であり、また2015年日本人口および2013年ヨーロッパ人口で年齢調整した発症率はそれぞれ15.8/100,000人年および12.2/100,000人年で、いずれも欧米の報告より高い結果となりました。また本研究では、A型急性大動脈解離およびB型急性大動脈患者の違いを評価しており、A型急性大動脈解離はより高齢で女性の発症率が高く、B型急性大動脈解離はすべての年齢層で男性の発症率が高い結果となりました。これまでの報告では、急性大動脈解離はタイプによらず男性に多い疾患とされておりましたが、本研究においては、A型解離は女性に多いという特徴的な結果が得られました。


 

2023/08/09

肥後洋祐先生の論文がJ Atheroscler Thromb誌に掲載されました

Association of Anthropometric and CT-Based Obesity Indices with Subclinical Atherosclerosis
DOI: 10.5551/jat.64096

「要旨」
 冠動脈石灰化、大動脈石灰化、大動脈弁石灰化は心血管疾患発症リスクとして知られています。それぞれ、潜在性動脈硬化として発症機序に多くの共通点あることが知られています。一方で、それらの潜在性動脈硬化と心血管疾患リスクファクターと関連は均一でない可能性が示唆されています。本研究は、滋賀動脈硬化疫学研究:SESSA (Shiga Epidemiological Study of Subclinical Atherosclerosis)において、931名の男性のデータから、身体測定から得られる肥満の指標およびCTから得られる肥満の指標 (皮下脂肪および内臓脂肪)と冠動脈石灰化、大動脈石灰化、大動脈弁石灰化との関連を横断的に解析したものとなります。結果として、冠動脈石灰化は身体測定から得られる肥満の指標およびCTから得られる肥満の指標ともに関連がある一方で、大動脈石灰化はCTから得られる肥満の指標とのみ関連がありました。さらに大動脈弁石灰化はいずれの指標とも関連がありませんでした。これらの結果はそれぞれの石灰化に対する、肥満の指標の異なる影響を示唆しています。


 

2023/07/05

奥山雄介 先生の論文がJournal of Arrhythmia 誌に掲載されました

Association with the nonparoxysmal atrial fibrillation duration and outcome of ExTRa Mapping-guided rotor ablation.
DOI: 10.1002/joa3.12897

「要旨」
 カテーテルアブレーションによる肺静脈隔離術は心房細動の根治療法として確立されていますが、持続性心房細動や長期持続性心房細動など非発作性心房細動の患者さんでは同治療のみで根治を得られない方も少なくありません。過去の報告では、心房細動の持続期間が2年を超える患者さんでは、特に治療効果が低いとされてきました。本研究では、心房細動を持続させるメカニズムとして、心房細動の電気的信号が渦巻くように興奮する’rotor’に注目、本学医療情報部の芦原教授が開発したExTRa Mappingシステムを用いて、これまで困難であったカテーテル治療中の短時間かつ正確なrotorの検出・映像化を実現して治療標的とする方法の効果を検証しています。 非発作性心房細動の患者さん(平均持続期間31±37か月)73名について(平均年齢63±8歳)、平均36か月の観察期間において、心房細動の持続期間が5年以内の患者さんでは68.9%の方で心房細動の持続性を制御できました。また、この効果は、持続期間が5年以上の患者さんと比較して有意に高いことがわかり(68.9% vs. 23.1%, p<0.001)、従来よりも多くの患者さんに治療効果が得られるものと考えられます。


 

2023/07/04

福山 恵 先生の論文がCirculation Journal誌に掲載されました

Calmodulinopathy in Japanese Children - Their Cardiac Phenotypes Are Severe and Show Early Onset in Fetal Life and Infancy - .
DOI: 10.1253/circj.CJ-23-0195

「要旨」
 カルシウムシグナル伝達蛋白であるカルモジュリンは、リアノジン受容体蛋白やL型心筋カルシウムチャネルなどカルシウムイオンが関与する蛋白質の働きを調整しており、CALM1,2,3の3種類の遺伝子によりコードされています。カルモジュリン遺伝子変異によるカルモジュリンの機能異常が、QT延長症候群(LQT14-16)やカテコラミン誘発多発心室頻拍(CPVT)の原因となることが明らかとなりました。本研究は、日本国内の小児不整脈症例におけるカルモジュリノパチーの頻度、病型、治療ならびに予後について報告しています。
0₋12歳の有症状の小児195名を対象に遺伝子スクリーニングを行った結果、10名にカルモジュリン遺伝子変異が同定されました。年齢は中央値で5歳と若年で、いずれも重篤な表現型を呈していました。表現型はLQTSが5名、CPVTが3名、LQTSとCPVTの重複が2名でした。また、変異の内訳はCALM1-N98Sが2名、CALM2-E46K・N98Sが各2名、CALM2-D96V・D96G・D132G・E141Kが各1名でした。これらの変異は表現型と関連しており、以下の4つの群に分類されました。1) 致死的不整脈群(CALM1/2-N98S)、2) 致死的不整脈疑い群(CALM2-D96G/D132G)、3) 超重症群 (CALM2-D96V/E141K, いずれも0-1歳で死亡)、4) CPVT+精神発達遅滞群 (CALM2-E46K)。
治療はβ遮断薬が第一選択ですが、不整脈の抑制が不十分な症例に関しては、表現型がLQTSであればメキシレチン、CPVTであればフレカイニドの追加投与が有効でした。 カルモジュリノパチーは他の遺伝子変異を原因とするLQTS/CPVTと比較して若年から発症し表現型も重篤であるため、できるだけ早期に遺伝子検査による確定診断をつけ、適切な治療介入が望ましいと考えられます。


 

2023/06/01

神山創路先生の論文がJ 誌に掲載されました

FFR-CT is Extremely Useful in Detecting Hemodynamically Significant Left-main Coronary Artery Stenosis with Right Coronary Artery Hypoplasia.

「要旨」
 冠動脈疾患患者における左冠動脈主幹部狭窄は心イベントの有意な増加と関連しており,虚血への寄与を評価することは極めて重要です。現在,冠動脈の虚血評価にはいくつかの非侵襲的モダリティが利用可能であり、心筋血流シンチグラフィは、局所心筋虚血を非侵襲的に画像化する特異的な方法として広く用いられています。しかし、相対的な心筋灌流を評価するため、左主幹部を含む多枝病変では、心筋虚血の検出精度が落ちることが知られています。FFR-CTは、従来の冠血流予備量比(FFR)に代わる有望な非侵襲的モダリティとして登場しました。FFR-CTは、冠動脈CTに計算流体力学を適用することによって、冠動脈の血流と圧力の場を予測し、病変に特異的なFFRを計算することを可能にしています。FFR-CTは、病変ごとの解剖学的情報に基づき、相対的ではなく絶対的な機能的心筋虚血を提供するため、多枝病変や左主幹部病変を有する患者においても有用である可能性があります。本報告では、右冠動脈低形成を伴う左主幹部狭窄に対して、心筋シンチグラフィでは同定できなかった心筋虚血をFFR-CTで検出できた症例を報告しています。


 

2023/03/01

岡本寛樹先生筆頭の論文がJournal of Cardiology誌に掲載されました

Differences in clinical and echocardiographic features and outcomes between atrial functional mitral regurgitation patients with and without posterior mitral leaflet bending.
DOI: 10.1016/j.jjcc.2023.02.001

「要旨」
 僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation; MR)は成因によって器質性(一次性)と機能性(二次性)に大別されます。機能性MRは従来左室の収縮能低下や拡大によって起こるものと考えられてきましたが、最近左房拡大に伴う弁輪拡大によって起こる心房機能性MR(atrial functional MR; AFMR)という疾患概念が注目されています。AFMRの機序としては弁葉と弁輪の不均衡や後尖の屈曲(posterior mitral leaflet bending; PML bending)などが指摘されていますが、大きくはPML bendingがあるもの(AFMR with PML bending)とないもの(AFMR without PML bending)に分けられます。今までにAFMR with PML bendingとwithout PML bendingの患者背景や予後について直接比べた研究はなかったため、この研究はそのことについて調べました。結果としては、2つの患者群の間には弁やその周囲の形態に違いがあるものの、左房の大きさや心房細動の持続期間などの患者背景には大きな違いはありませんでした。それにもかかわらず予後はAFMR with PML bendingの方が悪いという結果になりました。また、多変量解析においてもPML bendingは独立した予後規定因子となりました。これらの結果は今後AFMRの診療をしていく上で重要な知見になるものと考えています。


 

2023/02/14

澤山裕一先生筆頭の論文がCirculation Journal誌に掲載されました

Clopidogrel Use in CYP2C19 Loss-of-Function Carriers with High Bleeding Risk after Percutaneous Coronary Intervention.
DOI: 10.1253/circj.CJ-22-0826

「要旨」
 心臓カテーテル治療後の心筋梗塞や心血管死予防に抗血小板薬であるP2Y12阻害薬は重要な役割を担い、その薬物代謝にはCYP2C19が関与する。プラスグレルはCYP2C19の影響を受けにくいためクロピドグレルよりも抗血栓効果は高い。しかし、出血リスクは高くなるため、易出血性の患者にはクロピドグレルが選択される傾向にある。重要なことに、出血リスクが高い患者は同時に血栓リスクも高いことが知られる。したがって、「CYP2C19遺伝子変異を持つ出血リスクが高い患者にクロピドグレルを処方した場合、血栓イベントは臨床的に問題にならないか?」というClinical Questionに対する検証を行った。
本研究は、滋賀医大で2014年以降にカテーテル治療を受け、CYP2C19が測定された618名を対象とした。その内52%は出血リスクが高い患者で、P2Y12阻害薬活性低下群(CYP2C19代謝低下のクロピドグレル)とP2Y12阻害薬活性保持群(CYP2C19代謝正常のクロピドグレルまたはプラスグレル)の2群間における、カテーテル治療後1年時点での累積血栓イベント率及び出血イベント率を比較した。
結果は、血栓イベントはP2Y12阻害薬活性低下群で有意に高く(調整ハザード比: 2.78, p=0.004)、出血イベントは統計学的な有意差は見られなかった(調整ハザード比: 0.48, p=0.054)。
CYP2C19遺伝子変異を持つ出血リスクの高い患者にクロピドグレルを処方した場合、カテーテル治療後の血栓イベントが有意に増加する。これは出血イベントを抑えるというメリットを超えたデメリットになる可能性があるため注意が必要と考えられる。


 

2022/12/29

澤山裕一先生筆頭の論文がJ Atheroscler Thromb誌に掲載されました(SSHR Research Group)

Incidence and In-Hospital Mortality of Acute Myocardial Infarction: A Report from a Population-Based Registry in Japan.
DOI: 10.5551/jat.63888

「要旨」
 急性心筋梗塞発症率に関する疫学研究の多くは、その診断にWHO-MONICA基準を用いています。現在は、Universal definitionに基づき急性心筋梗塞の診断をしていますが、この定義に準じた急性心筋梗塞発症率に関する疫学研究はほとんどありません。本研究は、滋賀県脳卒中・循環器病登録研究:SSSHR(Shiga Stroke and Heart Attack Registry)のデータを用いて、2014–2015年のUniversal definitionに基づいた急性心筋梗塞発症率及び院内死亡率を評価しました。結果は、急性心筋梗塞発症率(2015年日本人口で調整)は61.9/100,000人年でした。男性は女性の約2.5倍高い発症率を認めました。急性心筋梗塞を発症した方における院内死亡率(2015年日本人口で調整)は10.0%でした。特に血行再建術を受けていない方の死亡率は極めて高いものでした。


 

2022/10/20

当院が経皮的僧帽弁接合不全修復システム(MitraClip)実施施設に認定されました。

 2022年10月20日時点で滋賀県下で唯一の認定施設となりました。

 

2022/08/01

滋賀医科大学 ニュースTOPICS 第61号別冊 Vol.88 執筆 助教 塩山 渉 先生「がん治療に伴う血管合併症について」

がん治療に伴う血管合併症について

 

2022/07/16

滋賀医科大学 学生新聞に中川教授が毎週水曜日お昼にWEB開催しているミニレクチャー”心電図虎の穴”について掲載されました

今、滋賀医大でアツイ!「心電図検定」に迫る

心電図虎の穴”毎週水曜日12時15分(30分程度)ZOOMで開催中!!
 心電図検定祝賀会の様子 

 

2022/06/28

澤山裕一先生筆頭の論文が J Hypertension誌に掲載されました(SESSA Research Group)

Association of ambulatory blood pressure with aortic valve and coronary artery calcification
DOI:10.1097/HJH.0000000000003147

「要旨」
大動脈弁及び冠動脈の石灰化は将来の心血管疾患発症リスク因子として知られています. 両者とも発症機序に多くの共通点がありますが, 臨床の現場ではどちらか一方しか存在しないこともあります. その背景には異なるリスク因子の存在が示唆されます. 本研究は, 滋賀動脈硬化疫学研究:SESSA (Shiga Epidemiological Study of Subclinical Atherosclerosis)において24時間ABPMを受けた483名(平均年齢66.8歳) を対象に, 大動脈弁及び冠動脈の石灰化と血圧指数(血圧値と血圧変動)との関連を横断的に解析したものになります. 結果として, 大動脈弁石灰化は血圧変動と関連が大きい傾向にある一方で, 冠動脈石灰化は収縮期血圧値と強固な関連がありました. これらの結果は, それぞれの石灰化に対する血圧の異なる影響を示唆しています.

 

2022/06/20

浅田紘平先生の論文がHeart and Vessels誌に掲載されました。

Impact of statin therapy on late target lesion revascularization after everolimus-eluting stent implantation according to pre-interventional vessel remodeling and vessel size of treated lesion. 
DOI: 10.1007/s00380-022-02104-0

「要旨」
現在、主に流通している新世代薬剤溶出性ステントも万能なわけではなく、依然遠隔期におけるステント内再狭窄は認められ、その主な要因はステント内に生じる新生動脈硬化変化(neoatherosclerosis)と言われています。本研究では、当施設と湖東記念病院2施設において、2010年から2012年までの間に冠動脈ステント留置術を施行した患者のうち、血管内超音波を使用し、エベロリムス溶出性ステント(everolimus-eluting stent; EES)を留置した新規病変1193病変を、最長4年間追跡し、留置後1年以後に生じる晩期標的病変再血行再建術(late target lesionrevascularization; Late TLR)について、スタチンの投与や達成されたLDL-C値、また病変部のプラークの特性を反映する血管リモデリングの程度や血管径が、Late TLRに与える影響を検証しました。結論としては、EES留置後のLate TLRを予防するには、スタチンを用いてLDL-C値を下げることがより効果的であり、また病変部の血管リモデリングのパターンや血管径に応じてスタチンの効果に影響が認められました。このことより、病変部の血管リモデリングのパターンや血管径に応じて、neoatherosclerosisの発現のリスクが変わるものと考えられ、術前、術中のimaging deviceを使用することでLate TLRを要するリスクの高い病変を層別化するのに有用であると考えられました。

 

2022/06/11

中川義久先生が座長を務めた日本臨床衛生検査技師会とCVITの共同開催シンポジウムの内容が THE MEDICAL&TEST JOURNALにて掲載されました

 

 

2022/05/18

中川義久先生の論文がCirculation Journal誌に掲載されました。

Early P2Y12 Inhibitor Single Antiplatelet Therapy for High-Bleeding Risk Patients After Stenting ― PENDULUM Mono 24-Month Analysis ― 
DOI: 10.1016/j.ijcard.2020.05.024

「要旨」
PENDULUM monoレジストリは、2017年7月~2018年12月にプラスグレルで治療開始した高出血リスクの患者を登録したもので、その平均DAPT期間113日、DAPT後はプラスグレルとする早期SAPT戦略を基本としています。PENDULUMレジストリは2015年12月から2017年1月に登録されたデータで、そこからPENDULUM monoレジストリと同様の高出血リスクの患者を抽出し、従来治療戦略(ヒストリカルコントロール)として比較検討したものです。その平均DAPT期間371日と1年間以上のDAPTを基本としています。24か月時点でアスピリンによるSAPTが約4割、DAPT継続が4割でした。早期SAPT戦略は、従来治療戦略と比較して、PCI後2年間の主要心血管イベント、臨床的に重要な出血を抑制する傾向があることを示しました。特に急性冠症候群患者においては早期SAPT戦略で出血軽減が有意でした。2017年前後でPCI術後の抗血小板療法の減弱化(de-escalation)に向けて、日本の実臨床で変革がおきたことが読み取れます。

 

2022/04/01

田埜郁実先生の症例報告論文:Case report が BMC Cardiovascular Disorders 誌に掲載されました。

Case report: Vascular graft infection due to Aspergillus species presenting with recurrent vascular occlusion. 
DOI: 10.1186/s12872-022-02571-3

「要旨」
大動脈グラフトの感染は致死的な合併症として知られています。本症例報告では、グラフト真菌感染症によって再発性に動脈塞栓を発症した症例について報告しています。
発症当初は原因不明でしたが、造影CTやFDG PET/CTなど複数の画像検査により塞栓源が下行大動脈グラフトの感染であることをつきとめました。血液培養検査では全く起因菌を特定できない中で、β-Dグルカン上昇・アスペルギルス抗体陽性の結果からアスペルギルス感染と診断し、適切な抗菌薬治療を開始することで感染のコントロールを得ました。また、感染部位の特定により外科的なグラフト置換による根治療法に踏み切ることができました。
本報告では、塞栓症を発症したグラフト感染リスク症例に対しては複数のモダリティによる粘り強い画像検索が重要であること、培養で起因菌が特定できない場合にβ-Dグルカン・アスペルギルス抗体検査が治療選択に役立つことをメッセージとして示しています。

 

2022/03/28

加藤浩一先生の論文がCirculation: arrhythmia and electrophysiology誌に掲載されました

Novel CALM3 Variant Causing Calmodulinopathy With Variable Expressivity in a 4-Generation Family. 
DOI: 10.1161/CIRCEP.121.010572

「要旨」
カルモジュリン(CaM)は、心臓に限らず様々な組織でのカルシウムシグナル伝達に重要な働きを有するカルシウムイオン結合タンパク質です。カルモジュリンをコードする三つの遺伝子CALM1,CALM2,CALM3に変異が起こると、先天性QT延長症候群やカテコラミン誘発性多形心室頻拍を来たすことが知られています。これまで報告のある、QT延長に関連したCALM遺伝子異常は、そのほぼ全てがde novoの変異で、家族例の報告は見られておりませんでした。これは、カルモジュリン関連QT延長症候群が特に重症型で、幼児期や学童期に発症・突然死に至ることが多いためと考えられています。本論文で報告しているCALM3遺伝子の新しい変異p.N138Kは、4世代に及ぶ大きな先天性QT延長症候群家系に見つかったもので、これはこれまで報告のあるカルモジュリン関連QT延長家系の中では最大のものになります。機能解析が明らかにしたのは、この変異が引き起こすカルシウム保持機能低下は、既報の変異と比べるとずっと穏やかであるということ、また、驚いたことに心臓の遅延整流カリウムチャネルの電流を増加させる作用があるということです。心筋細胞でのカリウム電流の増加は、心筋活動電位を短くするためQT短縮効果が期待され、この変異によるQT延長症候群が既報例より比較的軽症であったことの一端を説明していると考えられます。

 

2022/03/24

いきいき近江「知っておこう!医学知識 心臓弁膜症と心不全」

 いきいき近江会報に掲載されました。著:中川義久先生、八木典章先生

 

2022/03/23

東近江総合医療センター循環器内科 部長 大西正人先生の症例報告論文が、European Heart Journal - Case Reports 誌に掲載されました。

Case report of acute myocarditis after administration of coronavirus disease 2019 vaccine in Japan.
DOI:10.1093/ehjcr/ytab534

「要旨」
新型コロナワクチン接種後の心筋炎の症例です。新型コロナとの闘いが続いています。ワクチン接種に当たっては、リスクとベネフィットに基づき判断することが必要となります。ワクチン接種後の心筋炎は、リスク評価において非常に重要です。この症例を詳しく紹介し考察した本論文には大きな意味があります。大学病院勤務ではなく、東近江総合医療センターという臨床の最前線の市中病院で忙しく働いている大西正人先生が執筆され、European Heart Journal - Case Reports誌という素晴らしい雑誌に掲載されたことには敬服に値します。滋賀医科大学循環器内科の同門として誇りであり、頭の下がる思いです。同門の若手医師も大西先生に続いて頑張ってくださることを期待します。画像は論文の表紙とMRI画像をアレンジして構成したものです。(文責:中川義久)

 

2022/02/28

福山 恵 先生 が科研費新規採択されました。 

 基盤研究(C)令和4年~令和6年
「遺伝的背景が不明なカテコラミン誘発多型性心室頻拍患者における遺伝子構造多型の検索」

 

2022/02/09

小嶋 克先生の症例報告論文:Case report が Internal Medicine誌に掲載されました。

Successful management of a Young Athlete with Type 2 Long QT Syndrome by Genotype-specific Risk Stratification and Bridging Therapy with a Wearable Cardioverter Defibrillator: A Case Report.
DOI: 10.2169/internalmedicine.8093-21

「要旨」
心室細動を繰り返す薬物治療抵抗性の先天性QT延長症候群(LQTS)の患者に着用型
除細動器(WCD)を用いて皮下植込み型除細動器(SICD)植込みまでのbridgingを行
った一例について報告しています。LQTSにはいくつかのタイプが存在し、それぞ
れで不整脈の発症様式が異なります。遺伝子診断は確定診断だけでなく、遺伝子
型に応じた治療戦略を提供するためにも有用であるというメッセージを、本報告
は示しています。

 

2022/01/22

福山 恵先生の論文が Europace誌に掲載されました

School-based Routine Screenings of Electrocardiograms for the Diagnosis of Long QT Syndrome. DOI:10.1093/europace/euab320

「要旨」
学校心電図健診はQT延長症候群(LQTS)など遺伝性不整脈疾患の診断に大きな役割を担っています。本研究では、2007年~2019年に当施設にてLQTSの遺伝子解析を行った小学生から高校生までの学生341名を、学校心電図健診にてLQTSを疑われた群(健診群)230名と、健診以外でQT延長を指摘された群(臨床群)111名とに分類し、両群の表現型と遺伝子型を比較検討しました。結果、有症状の割合は健診群と比較して臨床群で有意に高かった一方で(3% vs 70%)、LQTS関連遺伝子変異の陽性率は2群間でほぼ同等でした(49% vs 55%)。つまり、心電図健診を行わずに症状の有無のみでLQTSの患児を発見することは極めて困難であるという事実を示しています。また、遺伝子変異陽性群は陰性群と比較して有意にQTc時間が長いという結果でした。ROC解析を用いた検討では、QTc482ms以上・リスクスコア3点以上が遺伝子変異陽性のカットオフ値であり、同条件を満たす症例に対しては積極的に遺伝子診断を推奨すべきであると考えられました。 本論文には、無症状のLQTS患者を検出する上で学校心電図健診は非常に重要であり、さらに遺伝子診断をつけることで、致死的イベントが発生する前に適切な治療を開始し、学校生活においても適切な管理を行うことができるというメッセージが込められています。

 

2021/12/17

澤山裕一先生の論文が PLoS Oneに掲載されました

Variation in in-hospital mortality and its association with percutaneous coronary intervention-related bleeding complications: A report from nationwide registry in Japan. DOI: 10.1371/journal.pone.0261371

「要旨」
本研究は, J-PCIレジストリに登録された718病院からの388,866症例を対象とし, 各病院のリスク調整院内死亡率を算出し五分位(very low, low, medium, high, and very high)に分けた後, それぞれの群における出血合併症の発症率と出血合併症後の死亡率を比較したものになります. そこでは, 出血合併症の発症率は0.27%(very low mortality hospitals)から0.57%(very high mortality hospitals)とわずかな上昇であったのに対し, 出血合併症後の死亡率は4.8%(very low mortality hospitals)から29.0%(very high mortality hospitals)と顕著に増加しているというものでありました. すなわち, PCI後の院内死亡率の病院間差の要因としては出血合併症の発症率の差異よりも, むしろ合併症を起こした後の死亡率の違いが大きく関与していたということです. 合併症の発生を減らす努力は大切ですが, 合併症は一定の確率で発生するのです. 発生した合併症を早期に覚知し適切に対応することも重要と考えられました.

 

2021/10/20

滋賀心不全在宅療養支援事業_教育動画公開終了


 多数のご視聴ありがとうございました。

 

 

2020/9/20

大津老人クラブ連合会 会報 中川義久先生、八木典章先生 著

「知っていますか?心臓弁膜症と心不全」:2021.9.20 大津

 

2021/2/21

中川義久先生インタビュー記事掲載:読売新聞地域滋賀県版

「内科治療で悪化防止も」病院の実力:2020.2.1 読売新聞滋賀県版. インタビュー掲載

 

2020/11/28

第130回日本循環器学会近畿地方会開催されました

第130回日本循環器学会近畿地方会

大会長 中川 義久 先生
事務局長 酒井 宏 先生

11月28日(土) 近畿地方会では初となるZOOMでの開催となりました。
多数の方のご参加いただきましてありがとうございます。

 

2020/11/28

第130回日本循環器学会近畿地方会開催されました

第130回日本循環器学会近畿地方会

大会長 中川 義久 先生
事務局長 酒井 宏 先生

11月28日(土) 近畿地方会では初となるZOOMでの開催となりました。
多数の方のご参加いただきましてありがとうございます。

 

2020/04/28

浅田紘平先生が執筆に関与した著書が出版されました

この度、執筆ご指導をいただきました共著の保坂 文駿 先生、執筆の機会を与えていただきました村松 俊哉 先生に心より感謝申し上げます。 

”Current Trend and Techniques of Percutaneous Coronary Intervention for Chronic Total Occlusion”
CTO PCI Complications: Prevention and Managemen. pp.107-115 

 

2020/04/01

科研費採択されました

令和2年度(新規)基盤研究(C) 芦原 貴司 先生(情報総合センター 教授)  
令和2年度(新規)若手研究 加藤 浩一 先生(循環器内科 助教) 
令和2年度(新規)若手研究 藤居 祐介 先生(循環器内科 助教) 


 

2020/3/25

掲載されました

福山 恵 先生が先天性QT延長症候群(LQT: Long QT Syndrome)の1つである8型(LQT8)の臨床像と心電図上のT波形状に関する研究結果をCirculation Journal誌に報告しました。
さらに、その論文の鍵になる図が同医学雑誌の表紙を飾りました。(2020年3月25日発行)
Fukuyama M, Ohno S,Ozawa J, Kato K, Makiyama T, Nakagawa Y, Horie M. High Prevalence of Late-Appearing T-Wave in Patients With Long QT Syndrome Type 8. Circ J 84(4); 559-568: 2020.

 

2020/3/11

大動脈弁狭窄症への経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)が通算100例超えました

大動脈弁狭窄症への経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)の治療実績が2020年 3月に通算100例を超えました。2016年3月にTAVIを開始してから順調に経験を重 ねてきました。TAVIが臨床導入されるまでは、重症大動脈弁狭窄症の治療法は外 科的な大動脈弁置換術のみで、大きな侵襲をともなうことにより、高齢の方や全 身状態の悪い患者さんには実施困難な場合がありました。TAVIは、開胸の必要が なく低侵襲に行えることが特徴です。100例までの治療成績も、手術成功率=100%・ 緊急開胸=0%・重大な脳卒中=0%・術後ペースメーカー植込み率=3%・術後30日死 亡率=1%と納得していただける結果でした。循環器内科・心臓血管外科・麻酔科・メディカルスタッフによるチーム医療で一層の成績向上を目指します。

 

2019/11/15

過去のお知らせ

11月15日-16日 東京(新宿)PAC19(Pan-Pacific Primary Angioplasty Conference2019)大会長 教授 中川義久先生、事務局長 浅田紘平先生が担当。当日は多数の方々にご参加いただき盛会裡に無事終了いたしました。

次回 PAC20開催の御案内
2020年11月6日-7日 ベルサール新宿セントラルパーク 会長 伊苅 裕二 先生(東海大学医学部内科学系循環器内科 教授)