大会長挨拶

第66回 日本社会医学会総会 大会長 武内一 佛教大学社会福祉学部

第66回 日本社会医学会総会

大会長 武内 一

佛教大学 社会福祉学部 教授

第66回日本社会医学会総会をここ京都で開催し、皆さまをお迎えできますことを本当に嬉しく思います。会期は2025年9月6日(土曜)と7日(日曜)の二日間、会場は京都駅から徒歩5分のキャンパスプラザ京都です。

今回、総会のテーマを「当事者から学ぶ社会医学 -語り学び合い、子ども若者たちとともに未来を変える-」とし、主な企画を以下のようにしました。

[メイン企画]
市民公開講座「優生保護法下での不妊手術に対する社会医学会の責任ある立場を考える」
違憲裁判当事者の思いと最高裁判決の意味を学び、産婦人科医の声も伺いながら、私たち社会医学会が何故この問題に向き合えなかったのか、そして、繰り返させないための学会の姿勢と行動を示したいと思っています。

[シンポジウム]
シンポジウムを3つ用意しました。
一つ目が、「子ども・若者の健康と商業活動の関係 -複雑で見えにくい今日的課題-」です。
健康の社会的決定要因(Social Determinant of Health=SDH)の中でも、加害・被害の関係が複雑化し見えにくいのですが、健康の商業的決定要因(Commercial Determinant of Health=CoDH)は子ども若者に重大な影響を与えています。この問題を、粉ミルクの販売(医学界の立ち位置を問う)、薬物過剰摂取(当事者団体から学ぶ)、ゲーム依存(社会病理として捉える)のお話を伺い、参加者とともに理解を深めます。

二つ目は、「居場所のない子どもたち」です。
トー横やグリ下で過ごす姿は、日本のストリートチルドレンだと言えます。彼らにスポットを当て、夜繁華街に集まる子どもたちを夜廻で支える活動、触法少年の社会医学的背景、NPOによる安心の居場所づくりの活動のお話を伺い、質疑を通じて理解を深めます。

三つ目は、「気候変動に取り組む」です。
次世代企画委員会との合同で、気候変動による健康危機について考えます。アメリカに始まるグリーンドクターの取り組み、社会福祉の立場での多発する災害への地域の備え、そして、電力会社を提訴した原告の若者から学んだ上で、ラウンドテーブルディスカッションに繋げ、私たち、そして若者の主体的な取り組みを考えます。

また、一般演題はすべてポスターとして、メイン会場の企画となるべく重ならないようにしました。いただいた演題はすべてご発表いただけるように工夫して、優秀な演題発表は表彰します。ぜひ皆さまの多くの演題投稿をお待ちしています。さらに、6日(土)夕方、会場近くで懇親会を企画しました。飲み物を片手によき食事を通じて、参加者同士の交流が深まる機会となりますことを願っています。

シンポジウムのテーマにも関わる地球温暖化で、熱中症アラートが予想される中での総会となりますので、暑さ対策万全でのご参加をお願いします。会場内には飲み物とお菓子を置いた休憩場所を用意しますが、地球環境保全のために是非「マイボトル」や「マイカップ」をご持参ください。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

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