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橋 健太郎  地域周産期医療学講座教授

  滋賀県における安全で安心な周産期医療体制の構築を図るために開設された滋賀県からの寄付講座であります「地域医療システム学講座」に特任教授として 2007年9月1日付けで着任致しました。本講座は周産期医療に限定した地域医療対策を目的とした特殊な講座であります。教員は教授1名、講師1名の少数 精鋭から構成されています。同一講座に産科専門医と新生児専門医が属し、同じ土俵でそれぞれの立場から周産期医療を考えることが可能な講座です。

 滋賀県における周産期医療の現状について以下に述べます。

. 滋賀県は人口対産科医師数が全国的に最も少なく、産科医師の高齢 化及び勤務の過酷さで、近い将来実働医師の急速な減少が生じうると考えられます。また、二人体制の産科診療を行っている病院が多く、一人欠員が生じると診 療科が消滅する可能性が極めて高い。長期的には産科医師の増員・養成が必須でありますが、短期的には病院の集約化が必要と思われます。また、現在の若手勤 務産科医師をその職に繋ぎ留めるためにも、勤務態勢の見直し、分娩手当金の支給等が急がれます。

.滋賀県における新生児死亡率が高い原因は、他県に比較して滋賀県の新生 児医療におけるマンパワー不足、病床不足が明らかであります。また、新生児死亡率とNICU施設数とは関連性が認められるますので、滋賀県においては早急 な新生児科専門医の養成およびNICU施設の整備が必要であります。

.マンパワーの増大のためには滋賀医科大学の学生および研修医が周産期医 療に興味を持ち、将来、周産期専門医をめざすようになるための、具体策を作成するための、資料を収集することと、その動機づけを行うための具体策の提案を する事が重要であります。滋賀医科大学医学部学生4年生の社会医学フィールド実習の中で、@滋賀県の産科医への実態調査、A医学生および研修医の産科医療 に対する意識調査、B一般市民の産科医療に対する意識調査を行い、滋賀県下の産科医療の現状を把握し、今後の課題を作成させました結果、周産期医療に興味 を持った学生が増加しました。また、産科、新生児科医師確保のためには、初期研修医に周産期医療に対するモチベーションを高める事が大事で、研修医に金銭 的な援助を与える、「初期研修医師のための大規模総合周産期医療センターへの公費研修制度」を立案、実施しています。

.滋賀県における適切な周産期医療提供体制(機能分担とネットワーク)を 構築するためには、@滋賀県下で周産期医療を行う上で、不幸な事例を防止するための病―診連携、病―病連携システムの構築が必要であり、新生児死亡の個々 の症例に関する、問題点と対策について周産期症例検討会を3回/年行い、産科医と新生児科医との連絡を密にし、開業医と病院間での継ぎ目の無い周産期医療 が提供できるようそれぞれの機能分担を行っています。さらに、A住民と医療関係者の周産期医療における認識のずれから生じる様々な周産期医療の問題を是正 (分娩の安全神話の訂正、コンビニ受診の禁止による医師の肉体的・精神的疲労を軽減し、医師廃業阻止対策、医療訴訟の低下)するために、市民公開講座を開 催し、周産期の正しい知識を住民に啓発しています。コンビニ受診の予防対策としては不安解消のための対策、知識を活用していくための対策、仕事の都合で受 診できない事への対策、等が急がれます。B産婦人科医療機関の救急母体搬送情報提供に関して、医師と助産師との連携を密にしています。C多胎の母体搬送時 のトラブルを少なくするために、滋賀県で発生した多胎の状況を早期の診断時に集中的にセンターで把握出来る、多胎登録システムの制度作りを行っていま。ま た、D自治医大出身者の活用、E女性医師確保対策も重要であります。

 本講座も2009年度で終了しますが、2010年4月1日からは「地域周産期医療学講座」として延長することになりました。地域医療再生計画による県の 寄附講座です。教員も今の2人体制から3人体制になります。本講座で行う研究は同一講座内において産科医と新生児科医が協力体制の元で行う斬新的な研究体 制をとっており、安全で安心な地域周産期医療システムの構築を図るという最終目的を目指して、日々努力していきたいと思います。本講座の研究成果は即座 に、地域医療に還元されなければなりません。すなわち、安全で安心な周産期医療を県民に提供する事により、妊産婦死亡、新生児死亡が減少し、安全で安心な 分娩が可能となり、出生数の改善をもたらし、滋賀県の少子化対策に貢献できるとともに、地域住民の福祉の増進に寄与することが期待できると思います。ま た、このシステムをモデルとして全国に発信することで、本邦における地域周産期医療システムの礎を築く事が出来たらと思っています。



滋賀医科大学地域周産期医療学講 座◆
滋賀県大津市瀬田月輪町 077-548-2447

c2010 Shiga University of Medical Science (SUMS) Community Perinatal Medicine