火災時、特に睡眠中に聴覚障害者や耳の遠い高齢者らが警報を聞き逃して逃げ遅れてしまう問題を解決するため、警報音の代わりに「わさびの臭い」を使って知らせる火災報知器の開発をシームス株式会社(東京都)、エア・ウォーター防災株式会社(神戸市)らが進めており、本学の今井眞助教(精神医学講座)が臨床実験を行いました。
聴覚障害者4名を含む20〜40歳代の被験者14名に対し、脳波検査にて睡眠を確認した後、まず臭気を含まない気体を室内に噴霧し、睡眠の継続を確認しました。
次に1分半後、わさび臭を含有した気体を噴霧し、睡眠覚醒状態の変化を観察したところ、鼻づまりの被験者1名を除いて、枕元に臭気が到達してからおよそ10秒から2分後にすべての被験者が目を覚まして室内のブザーを押すことができました。
本実験により、わさび臭には睡眠からの覚醒作用があり、特に聴覚障害者に対して有効であることが実証されました。
この聴覚障害者向けに「わさびの臭い」で知らせる世界初の本格的火災警報器の開発及び実証試験の模様については、平成20年3月2日にNHK全国ニュースにて報道されたほか、ロイター通信社、英BBCによって世界各国に向けて配信され、反響を呼んでいます。
Wasabi fire alarm a lifesaver for the deaf (Tue Mar 18, 2008) Reuters
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実験室での今井助教 |
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実験を行った脳波検査室 |
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