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治る神経 変わる難病科

私たちが考えたり記

るいは話をしたり、 手

いった日常動作を行うた

髄、 末梢神経、 筋肉という 「

複雑な相互作用と正常なバラン

たれていることが必要です。

神経内科はその働きが障害されて

生じるさまざまな病気を対象としてい

ます。 脳卒中や認知症、 てんかん、 神経

変性疾患 (パーキンソン 、 筋萎縮性側

索硬化症など) 、 神経免疫疾患 (多発性

硬化症、 重症筋無力症など) 、 筋ジスト

ロフィーなどの筋疾患 脳炎などの感

染症のほか、 一般内科疾患による神経

合併 など多岐にわたります。

近年、 神経内科では、 脳梗塞や神経

免疫疾患、 パーキンソン病、 てんかん

などに対して、 新たな治療法や薬剤が

次々と導入され これまでの 「難病科」

というイメージが変わってきました。

認知症についても新たな病態が明

らかになるとともに、 てんかん (非痙攣

性てんかん重積や自己免疫性 んか

ん) や正常圧水頭症、 内科疾患に伴う認

知機能障害など、 治療可能な認知症の

重要性が再認識されています。

このように不治の病と言われて

た神経疾患でも、 治癒が可能な疾患が

増えてきましたが、 そのためには神経

内科専門 行うことが

その一方で、 筋

(ALS) などの

な治療法がなく、 対症

心になりますが、 これらの

患についても、 病態が次々と

根治治療につながる標的が明ら

りつつあります。

難病ALSの根治治療に

結びつく研究を推進

私は神経内科医にとって悲願とも

いえるALS (筋萎縮性側索硬化症) の

研究を一貫して続けてきました。 AL

Sは、 脳や末梢神経からの指令を筋肉

に伝える運動ニューロン (運動神経細

胞) が侵され、 進行とともに全身の麻痺

とともに呼吸が困難となる、 神経内科

領域では最も難治性の神経難病です。

1867年に発見されてから100年

以上、 病気を解明するための何の手が

かりも得られませんでした。

しかし、 この

20

年はALSをめぐっ

て数々の大きな発見が続いています。

まず、 家族性ALSでは遺伝子に変異

があり、 異常な構造に変化したたんぱ

く質の蓄積によって起こるこ が明ら

かになりました。 その中でSOD1と

いう遺伝子異常は最も患者数の多いタ

イプのものです。

SHIGA IDAI NEWS vol.27

12

内科学講座(神経内科) 教授

うるしたに

谷 真

まこと

 2016年7月1日付けで、これまで内科学講座(糖尿病

内分泌・腎臓・神経内科)の1診療グループであった神経

内科が講座として独立し、「脳神経系を診る内科」として

新たな教室が誕生しました。

 超高齢化社会を迎えて、神経内科専門医の需要がこ

れまでになく高まっています。また、2015年7月には難

病法で医療費助成の対象となる指定難病が、110疾患

から306疾患に増え、難病の診断資格を有する指定医

の増員も急がれます。

 漆谷 真教授に新講座への意気込みや今後の展望

についてうかがいました。

地域医療の推進、

世界レベルの神経内科診療

と研究を目指して