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滋賀医科 研究センター

1978年に設立

動物実験施設」 を改組

物の飼育管理、教育、研究支

託業務、社 つを担当し

動物福祉・生

配慮した実験動物

物実験を実施してい

マウスやラット、 ウサ

2 0

年近くカニクイザルを飼育し

患モデルの研究に取り

組み、脳動脈瘤や子宮

内膜症などのモデルサ

ルを作製して、創薬や

治療法の研究開発に

役立ててきました。

サル研究支援スタッ

フは、研

援コー

ディネータ1名、 獣医

師1名、技

員2

名、サル飼育技術員4

名、発生工学系技術者

2名の計

1 0

名のチーム

によって、 現在約600

頭のカニクイザルが飼

育されています。

待ち望まれてきた

非ヒト霊長類

モデルの開発

現在まで多くのヒ

ト疾患モデル動物(ヒ

トと同じ疾患を持つ

よう人為的に操作さ

れた実験動物)は、遺

伝子改変が されてきまし

しかし、 げっ歯

ザのようにヒトの病

ない例が報告されたほ

ルツハイマー病の原因タン

ミロイドに対するワクチン

れ、 マウスに投与されてアミロイ

(老人斑)の形成を抑える効果が

報告されましたが、そのワクチンを

人に投与すると重い副作用が出た

ため、やはりマウスの研究からすぐ

人の臨床 移行 るのはリスクがあ

るという考えが強くなりました。

マウスである程度予備実験を行っ

ておいて、 最終的にヒトを対象にした

臨床研究を行う前に、よりヒトの病

態を忠実に再現できる霊長類で確認

できないかと、 非ヒト霊長類モデルの

開発が待ち望まれてきました。

特に旧世界ザルは胚や胎盤の構

造、内分泌や代謝、血清、血液成分

の多くがヒトに類似しているため、

得られたデータのヒトへの適応が比

較的容易だと考えられています。

系統図的に見ると、旧世界ザルで

も人に最も近い霊長類であるオラン

ウータンやテナガザルは、研究の対

象にできないことになっています。 カ

ニクイザルやアカゲザル、 ニホンザル

が、 ヒトに最も近い動物モデルにな

ります。

動物モデル

にはマーモセ

モセットは新世

する旧世界ザルとか

ます。

カニクイザルはマー セ

て、 性成熟に時間がかかるうえ

娠期間も長く、マーモセットは1度

の出産で2頭産まれますが、カニク

イザルは1頭しか産まれません。し

かし、同じオナガザル科のアカゲザ

ルは繁殖に季節性があるのに対し

て、 カニクイザルは年間を通して繁

殖可能です。

2001年に霊長類で初めてと

なる遺伝子改変アカゲザルが作ら

れ、 アカゲザルでは他に2例、 カニク

イザルでは1グループから報告があ

り、日本では遺伝子改変マーモセッ

トの報告があるだけで、遺伝子改変

カニクイザルの国内での作出例は今

回が初めてとなります。

世界トップレベル 技術で遺伝子

改変カニクイザルの作製に挑む

今回の

FPカニクイザルは、 カニ

クイザルの未受精卵にウイルスベク

ターを用いて外来遺伝子である緑

色蛍光たんぱく質(

FP)をコー

ドする遺伝子を導入し、 体外受精に

より受精卵を作製しました。 ウイル

SHIGA IDAI NEWS vol.27

9

原猿類

真猿類

広鼻猿類

(新世界ザル)

狭鼻猿類

(旧世界ザル)

オマキザル上科

オナガザル上科 オナガザル科

テナガザル科

オランウータン科

ヒト科

ヒト

マカカ属

カニクイザル

・アカゲザル

・ニホンザル

ヒヒ属

ヒト上科

マーモセット科

マーモセット

オマキザル科

(百万年前)

53

34

24

キツネザル類

ロリス類

メガネザル類

近縁

霊長類の分類