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循環器病について

心臓と血管 
~循環器病とは?~

心臓の大きさは握りこぶし程度で、心筋という筋肉でできており、全身に血液を送り出すポンプの役目をしている重要な臓器です。 心臓は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれ、それぞれは弁で隔てられています。弁はポンプの動きに合わせて開閉し、一方向に流れるように血液の逆流を防ぎます。左心室から送り出された血液が全身をめぐって右心房に戻り、右心房から右心室から送り出された血液が肺を通って酸素を取り込んだ後左心房に戻り、左心室に送られます。心臓には一定のリズムで心筋が収縮するように指令を出す伝達回路があり、この電気信号の刺激によって1分間に60~80回、1日約10万回血液を送り出しています。心臓から送り出された血液を全身に運ぶ動脈、各臓器からの血液を心臓に送り返す静脈、全身にはりめぐらされている毛細血管という3種類に大別できる血管によって、血液が体内をめぐり、全身の細胞に栄養や酸素を届け、二酸化炭素や老廃物を運び出しています。

心臓、血管など、血液などの体液を体内で輸送・循環させる働きを行う器官を「循環器」と呼び、循環器の機能が何らかの原因で破綻し、異常を来たす状態を「循環器病」といいます。

日本人の死因と循環器病

高血圧症、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症、慢性腎臓病等の生活習慣病の増加や高齢化により、循環器病の患者さんは増加する傾向にあります。2020(令和2)年、日本人の死因第1位は悪性新生物(がん)で27.6%、第2位に心疾患15.0%が続き、第3位が老衰9.6%、第4位が脳血管疾患7.5%、第5位が肺炎5.7%でした(厚生労働省、令和2年(2020)人口動態統計)。 循環器病は先天性、遺伝性、感染性、加齢などを原因とする疾患等、原因は様々ですが、多くは運動不足や不規則な食生活、喫煙等の生活習慣や肥満等により発症します。その経過は、生活習慣病の予備群に始まり、次に循環器病をはじめとする生活習慣病の発症、さらに重症化や合併症の発症に至り、生活機能の低下や要介護状態へと進行します。

循環器病は、急激に発症し、数分から数時間の単位で生命に関わる重大な事態に陥り、突然死に至ることや、重度の後遺症を残すこともあります。自覚症状が出ない患者さんは、自身が気付かない間に病気が進行することもあります。また、再発や増悪を来しやすいといった特徴があります。

心不全の発症と経過

2017年、日本循環器学会と日本心不全学会により「心不全」の定義が発表されています。それによると、心不全とは「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」とされてます。血液を全身に送り出すポンプ機能に異常を生じると、体中が酸素不足、栄養不足に陥り、疲労感、息切れ、足のむくみ、倦怠感など日常生活への様々な悪影響が生じるようになります。さらに重症化し、呼吸困難や血圧低下など命に係わる状態に至った場合は、入院治療が必要になります。心不全は繰り返しやすく、繰り返すたびに心臓や身体の機能は年月の経過と共に徐々に低下していきます。また、途中で急激に悪化して突然死する場合もあります。 心不全の原因として多いのは、冠動脈疾患、弁膜症、心筋症、高血圧症、不整脈などがありますが、その他にも様々な原因があり、原因となる疾患がかくれていないか、はっきりさせることが重要です。 心不全は、多くの場合は適切な治療により症状は改善します。適切な管理のもと、適切に治療を受け、患者さん自身が自己管理することで悪化を予防できることが可能です。

病院へ行くべき?
早めに受診を

循環器疾患には、発症してもしばらくは無症状である場合もあります。しかし、症状が現われてから受診したり、発作が起きて救急搬送されるのでは対応が遅れる可能性もあります。体がいつもと何か違う、というようなちょっとした違和感を覚えたら、早めに循環器の専門医に相談するようにしましょう。急に胸の痛みを感じたり、胸に圧迫感を覚えたりしても、安静にしていれば治まるから、年のせいだからとそのままにしてしまう人が少なくありませんが、これは狭心症などの前兆である可能性があります。動悸やむくみは不整脈や心不全の徴候かもしれませんし、失神を放置していたら突然死を招く恐れがあります。閉塞性動脈硬化症では、歩くと痛みが現れるもののしばらく休むと痛みが改善するというような、症状が出たりでなかったりすることが特徴ですが、血流障害の程度が強くなると足の傷が治りにくくなったり、最悪の場合、下肢を切断せざるを得なくなったりすることもあります。 高齢者、糖尿病患者さん、脳梗塞後の患者さんの場合、痛みを感じにくくなっています。息苦しい、疲れやすい、食欲がなくなったなど体の不調が現れた時には主治医に相談して下さい。

自己管理が大切です
~予防が一番!〜

栄養バランスを考えて、ゆっくりよく噛んで食べましょう

食事は塩分、カロリー、栄養バランスを考えて、ゆっくりよく噛んで食べましょう

腹8分目を心がけ、肥満に注意しましょう。食事は患者さんにのみ特別なものではなく、家族全員の生活習慣病予防にもなります。

禁煙を行うことが大切です

禁煙を行うことが大切です

血管が狭くなることで血液の流れが悪くなる病気では禁煙を行うことがとても大切です。

口内環境を整えましょう

口内環境を整えましょう

心臓の病気とお口のトラブルは一見まったく関係がないように思えますが、その関連性が指摘されています。お口の健康にも注意しましょう。

温度差に注意しましょう

温度差に注意しましょう

急な温度変化や季節の変わり目や、風呂場や夜のトイレの気温差に注意しましょう。お風呂は熱すぎないお湯にし、湯冷めしないように気をつけましょう。

十分な睡眠をとりましょう
心臓と血管の病気について
冠動脈の病気
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弁膜症、心筋症、心筋炎、心臓腫瘍、先天性疾患について
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