滋賀医大ニュース - page 3

れることが多いと思いますし、 社会的
な問題としても、 より身近なことだと
思います。 そのあたりについて、 まずは
精神科の山田先生からお話しいただけ
ますか。
山田
私は滋賀県の認知症対策推進
会議の委員も務めていますが、 県の資
料によれば、 2010年で滋賀県の
65
歳以上の人口は約
29万人で、 そのうち
15%、 約4万4千人が認知症患者と
推計されています。
患者数は高齢化の進展とともに増
加し、 2025年には、 約7万8千人と
1.7
倍以上に増えると見込まれてお
り、 医療はもとより社会的にも一層大
きな問題になると予想されます。
堀池
医療のこととしては、 当然のこ
とですが、 本学にとっても、 非常に重要
な課題になってきますね。 臨床的なト
ピックスはいかがですか。
山田
認知症と
関係を調べて
時無呼吸症候群
男性の4%くらいで
認知症の方が入院して
病棟を見ましたところ、 睡
眠時無呼吸症候群の方は
90%を超えていました。 認
知症が重症な方ほど無呼吸
指数が高くなっています。
堀池
前川先生、 内科につ
いてはいか ですか。
前川
高齢化社会を迎えて、 加齢その
ものが認知症のリスクになります。 私
は糖尿病を専門としていますが、 糖尿
病を患っている方では、 認知症のリス
クは2倍になります。 簡単に言うと糖
尿病だと、 認知症のリスクは年齢に5
歳プラスした状態になります。
糖尿病のほか、 高血圧やメタボリッ
クシンドローム、 また、 喫煙も認知症の
リスクになります。
臨床の立場から言えば、 これらの病気
を持った患者さんの中で認知症を発
した患者さんがどの位おられるのか 認
知症のリスクを高める病気を持った患
者さんに対して、 どのようにアプローチ
して、 評価し、 どういった治療を進めて
いくべきかということが、 現在取り組む
べき課題になっています。
糖尿病患者さんの認知機能の評価
については、 滋賀県から委託を受け、 看
護学科の 附属病院の糖
の病院で調査を
なる恐れのある軽度
患者さんがどの位存在
方がどういったリスクを持
かということを調査していま
内科医は、 日頃、 認知症の予備軍
る方も診て るわけですから、 本学
基礎研究により、 その患者さん 認知
症の程度を早く診断できるようになれ
ば、 非常に有意義なことだと思います。
堀池
野﨑先生、 脳神経外科について
はいかがですか。
野﨑
認知症は即ちアルツハイマー
病であると捉えられていますが、 実は
血管性の認知障害というのもクローズ
アップされてきています。
一人の患者さんにとって、 認知症の
バックグラウンドとし は、 アルツハ
イマー型だけでなく、 血管
障害型の要素も必ず含まれ
ています。 当然、 両方を治療
しないといけないので、 脳
卒中の軽症化や発症リスク
の低下といったことも含め
た対策を構築することが、
脳神経外科における課題だ
と思います。
堀池
2つは重なったりす
るのですか。
野﨑
アミロイド沈着と
神経原線 マー型の認知
それが並行して
経の変性を促進する
障害というのも含まれ
もあるということです。
高まる認知症研究への期待と
研究の動き
堀池
認知症については、 臨床の現場
からも研究への期待が大きくなってい
ます。
遠山
認知症は大きな社会問題に
なってきていますが、 滋賀医科大学で
は、 第1期 (平成
16~
21年度) および第
2期 (平成
22~
27年度) の中期計画期間
において 神経難病研究を重点研究の
一つとしています。
研究の成果としては、 最近では、 ア
堀池 喜八郎 理事
遠山 育夫 教授
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