滋賀医大ニュース - page 5

イオメディカル ・イノベーションセン
ターのような諸施設を機能的に統合さ
せて、 基礎研究ユニットと臨床研究ユ
ニット、 そして、 その間をつなぐ橋渡し
研究ユニットで構成される研究機構を
作り、 基礎研究の成果をより早く臨床応
用につなげ、 さらに社会に貢献できる体
制にしていきたいと考えています。
堀池
例えば、 動物を使った研究で
は、 ラットといったげっ歯類では限界
がありますが、 霊長類のモデル動物が
できれば より早く臨床への応用につ
ながりますね。
遠山
脳を対象としていますので、
ラットとヒトでは脳の構造や機能の違
いが大きく、 ヒトに近いサルを使った
研究が非常に重要です。 この数年間、 動
物生命科学研究センターの依馬先生と
共同研究をさせていただいており よ
うやく新しいモデルサルができそうな
状況にな
依馬
認知症に関し
げっ歯類でヒト
現するのはかなり難
思います。 一部しか再
きないということがわかっ
てきていますので、 カニク
イザルを用 て、
10年くら
い前からヒトの病態を再現
できるようなモデルを作る
ことを進めています。 遺伝
子組換えカニクイザルの作
成が進展してきており、 今後アルツハ
イマー病など認知症モデルとなるカニ
クイザルの作成を進めたいと考えてお
ります。
堀池
アルツハイマー病のモデルサ
ルは、 前段階の遺伝子を変えるところ
まではできてきている ですか。
依馬
遺伝子組換えについては、 あと
2, 3年はかかると思います。 ただ、 そ
こからアルツハイマーを発症する段階
までは、 さらに期間を要すると思われ
ます。
遠山
モデル作成に時間はかかりま
すが、 認知症など神経難病の研究の進
展のためには、 モデルサルは必要です。
山田
そのモデルサルが、 例えば、 糖
尿病になるとどうなるかといったこ
とも、 臨床的にはたいへん興味があり
ます。
依馬
Shiga-Y
などを使えばアルツハ
イマーを 画像でわかる
前診断もできる
遠山
認知症の診断のみな
の開発にも応用できる
基礎研究をより早く臨床につ
遠山
臨床との融合ということでは、
私たちの基礎研究の成果を臨床にどの
ように展開していくかが非常に重要な
ところで、 そ ための部門を充実して
いきたいと考えています。
そのためにはセンターだけではでき
ないので、 臨床医学講座や大学病院の先
生方のご協力を得て、 分子神経科学研究
センターと共に臨床研究ユニットをど
う組み立てていくかというのが大きな
ポイントになってくると思います。
堀池
そのあたりについて、 山田先
生、 いかがですか。
山田
現在、 認知症を診察
して治療するうえで最も問
題になっているところは、
他の疾患と同じく、 いかに
早期に見つけるか、 あるい
は軽い状態で見つけるか
そしていか 早く見分け
て、 治療を始めるかという
ことです。
現在、 問診を中心に画像
検査などを加えて診断して
います。 いて脳内のド
の密度の低下を
が、 県内でこれがで
多くありません。
前川
パーキンソン病とレビー小
型認知症の診断に使われてい
山田
しかし、 認知症全体として、 診
断については、 まだまだ不完全なと
ろがあると思います。
現在の検査に加え、 生物学的なマー
カーも用いて、 認知症をいかに早く発
見して、 治療できるかというのは非常
に大きな事柄だと思います。 先ほど糖
尿病といった生活習慣病の話がありま
したが、 認知症のごく早期の段階で診
断できれば、 さらに大きなメリットが
あると思います。
前川
ただ、 コストの問題もありま
す。 すべてを行うことは難しいので、 問
依馬 正次 教授
山田 尚登 教授
SHIGA IDAI NEWS vol.25
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