神経幹細胞の形成・維持・分化の分子機構

 私たちの脳内にも存在する神経幹細胞を活性化することを目指して、神経幹細胞に直接作用する薬剤のスクリーニングを行いました。その結果、躁うつ病の治療に用いられる気分安定薬のみに、神経幹細胞の自己複製能(未分化性と言ってもよい)を亢進させる作用があることを発見しました。

Neuron Fig1
      リチウム・バルプロ酸・カルバマゼピンといった気分安定薬は、実際に
      治療に使われる際の脳内濃度において、神経幹細胞の自己複製能を亢進
      させました。逆に、薬の毒性に関係するような高濃度では、神経幹細胞
      の増殖を抑制しました。

 気分安定薬は互いに類似する構造をもたないにもかかわらず,共通して気分安定作用を示すことは,これまで大きな謎でした。私たちは、血中濃度よりかなり低い脳内濃度の気分安定薬が、神経幹細胞内のNotchシグナルを増強することも証明しました。Notchシグナルは、幹細胞の未分化性を維持するのに非常に重要なシグナル経路です(Hitoshi et al., Genes Dev 2002参照)。

Neuron Fig2







   気分安定薬がNotchシグナルを活性化する
   メカニズムはまだよくわかっていません。

   リチウムはNotch受容体を切断するγセクレ
   ターゼに働いている可能性が高いですが、
   バルプロ酸やカルバマゼピンの標的分子は
   わかっていません。、

   現在精力的に研究を進めています。




 本研究の結果は、新たな気分安定薬の開発につながるのみならず、躁うつ病の病態解明にも貢献できると考えています。

 

新聞やWebで紹介されました


Mood stabilizer Press 発表


他にも、日刊工業新聞や FujiSankei Business i などで取り上げられました。

 

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