明けましておめでとうございます。
輝かしい新春をご家族おそろいでお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。昨年3月11日の東日本大震災により死者15,842人と行方不明者3,481人にのぼる犠牲者を出し、また福島の原子力発電所の事故では、漏れた放射能により今なお被害が続いており、一日も早い復旧・復興が待たれています。わが国の財政赤字と増加する社会保障費の対応策の一つとして消費税の増税法案が予定され、また、復興財源に国立大学法人の教育研究基盤経費である運営費交付金の人件費の削減額が加えられている状況にあります。このような厳しい環境の年明けとなりましたが、本学においては、附属病院の7年間にわたる再開発が3月で完了し、附属病院の玄関ホールやライトコートの装いも新たになり、外来・中央診療棟・病棟がつながり、機能面が一段と充実します。本学の全構成員にとって、気持ちも新たに再スタートを迎えることができます。本年も皆様方がご健康でご活躍されますことを期待しております。
-
国立大学の機能強化
国立大学法人は、大学としての機能を強化し、国民に対して大学の果たす役割と、その成果をわかり易く説明し、国立大学として存在する意義を明確に示すことが求められているとして、平成23年6月に「国立大学の機能強化」国民への約束、を表明しています。
すなわち、わが国が直面している厳しい困難な状況を克服して、わが国の再生と持続的発展を実現するためには、国立大学は、次世代を担う人材を育成する機能の抜本的な強化が不可欠であるとし、大学の個性と特色を明確にし、高度の教育研究とイノベーションの推進に中核的な役割を果たすナショナルセンター機能と同時に地域の産業、経済、医療活動、歴史、文化、芸術など地域社会に不可欠なリージョナルセンターとしての機能の抜本的な強化、さらに国立大学間のみならず国内外の教育研究機関や地域との緊密な連携と協力による有機的な連携共同システムの機能強化をはかることを宣言しています。国立大学として強化すべき機能の具体的な取り組みとして、
卓越した教育の実現と人材育成
学術研究の強力な推進
地域振興の中核拠点としての貢献
積極的な国際交流と国際貢献活動の推進
を挙げ、その対策を示しています。
平成24年度政府予算案では、国立大学法人運営費交付金は、0.9%削減され、一方で、競争的資金として国立大学改革強化推進事業として138億円が新設され、国立大学の改革を教育の質の保証と個性特色の明確化、大学間連携の推進、地域の大学群の連合連携、大学運営の高度化などの面から支援します。本学としてどのように対応すべきか、積極的に提案していかねばなりません。
-
本学の機能強化の実績
本学は平成22年度から6年間の第二期中期目標計画を基本として、教育、研究、診療の活性化と産学連携の推進、業務と財務の改善及び効率化の中心的課題をSUMSプロジェクト2010−2015「次世代を担う人材育成と医療科学・技術の創出」にまとめ、すでに平成22年4月に冊子とし、全構成員に配布しました。これは本学の機能強化の核となっています。
次世代を担う人材育成として、本学独自の戦略的・重点的経費により平成22年度〜27年度まで、
若手教員の海外留学支援として年3人、総額1,800万円
教授・准教授を対象とした海外研修として年100万円、総額600万円
コメディカルや職員の海外研修支援として、年100万円、総額600万円
を行っています。
また、海外からの留学生を年3名受け入れ、総額3,240万円、さらに、平成23年度から特任教員10名を採用するとして総額3億2,300万円をそれぞれ準備し、年度ごとに着実に実行し、一部その成果も報告されています。
教育については、医学教育カリキュラムの国際水準の認定を目指した改革が進むなか、最も重要な改革として位置付けられている参加型臨床実習を充実する目的で、現4回生に対して、CBTとOSCE、さらに本学の試験に合格した学生に対して、Student Doctorの称号を与え、患者さんに対しても学生実習を積極的に受け入れていただくことと、指導医に対しても参加型実習を進めていただくことの保証としております。
平成24年度政府予算案において、新規に医学看護学教育用ジャイロスコープシステムが3年間の事業として初めに1,400万円が認められました。
人材育成のさらなるステップとして、本年度から大学院生の教育研究支援を3年間にわたって総額5,000万円で開始します。基礎研究を中心とした大学院生の2名を支援する予定であります。また、今年度より学生実習や初期研修医の総合臨床能力の向上を目指し、国立病院機構滋賀病院での実習や研修を加えることにより、初期研修医とのマッチング率80%以上を目指します。そのため大学から朝夕の定期バスを運行します。
研究支援については、基礎と臨床医学の融合を目指した研究に対して、提案型の課題を募集し、研究費の補助を行います。また、科学研究費に応募し、残念ながら採択されなかったがA判定であったもののなかから、次回の採択に向けた準備費の一部を支援することにします。なお、県からの寄附講座については、一部見直しを迫られており、その対応をしなければなりません。
看護学科では、本年度から助産師課程と保健師課程のカリキュラムの改正が行なわれ、それに伴い助産師課程に教員1名を増員します。また、大学院博士課程で再生腫瘍解析系総合がん治療学分野に醍醐弥太郎教授が就任します。修士課程に看護管理実践コースをもうけ、昨年10月に大学院教授として藤野みつ子看護部長を併任いたしました。
本学の研究業績をトムソンロイター社の資料を用いて分析した結果では、平成19年度より上昇傾向にあり、向上しつつあります。なお、23年度からExploratory Research for Advanced Technology(ERATO)斎藤「全能性エピゲノム」プロジェクトに鳥居教授が参加しております。
平成24年度政府予算案において、長年念願であった総合研究棟疫学研究拠点が約3億円で認められ、拠点形成の第一歩を踏み出すことが出来ます。
産学連携については、MRI下の低侵襲手術機器の開発を中心として、蛍光ダイヤモンドによるがんのイメージングなども行われています。競争的外部資金の獲得も順調で、大規模な構想も提案されており、学外との連携を進めることになります。
附属病院においては、再開発も順調に進み、中央診療棟と外来、そして薬剤部、事務部門は現在改装中であり、再開発に入っていないところの外装なども含め本年3月末までに終わります。病院のハードな面についてはほぼ完了します。また、平成24年度政府予算案で病棟用電動ベッドが約1億3千万円で更新されます。
そして、5月26日に附属病院再開発完成祝賀会が予定されています。附属病院の再開発完成を期に大学の本来の使命であります高度専門医療人の育成と高度医療および先進医療の積極的な取り組みが求められます。
病院機能がほぼ安定化するに伴って、本年度は効率的な運用を目指す初年度と位置づけ、他大学の取り組みを参考に検討を始めます。業務運営については、スピード感をもってIT化に対応した業務の検討が一層進み、目に見えた成果を期待しております。そして、D病棟1階を整備し、総合内科学講座と総合外科学講座の本学での居室と国立滋賀病院とのテレビカンファレンスの可能な講義室やME器材室などを作ります。また、昨年の全学フォーラムの男女共同参画においていただいた提案を受けて、保育時間の増加、病児保育、さらに環境整備を進めます。また、長年希望していた西門バス停の移設が認められ、安全性の確保が可能となります。このように、本学は皆様方のご努力により、着実に本年も歩むことが出来ると確信しています。
- 課題取り組みへの姿勢
日本、また日本を取り巻く世界の情勢は厳しく、地球環境も温暖化や人口増などで人類の存在の危機すら感じられます。昨年12月にはNASAから地球型生命に不可欠な水が存在できる温度の惑星「ケプラー22b」を、地上からの望遠鏡で太陽系以外で初めて確かめられたとの報道がありました。地球から600光年の距離にあり、大きさは地球の2.4倍、温度は22度と推定されています。また、フランスの研究チームも「第二の地球」を発見したと報ぜられていますが、しかし、今こそ、生命のある地球環境の保全の大切さを一層感じます。
昨年サッカー日本女子代表なでしこジャパンがドイツ大会で、2−2からPK戦で優勝候補アメリカを3−1で振り切り初優勝しました。これは、不断の激しい練習を積み重ね、全員が最後まで諦めず、チームワーク、すなわち強い絆のもとに勝ち得た成果だと思います。
今年一年、きれいに明るく新装された附属病院を中心として、気持ちよく前向きに皆様方が生き生きと働く環境が整えられたと思います。また、国立大学ではじめて疫学研究拠点が設置されます。
閉塞感のある社会状況の今、各人が目標を定め、すなわち滋賀医科大学のもっている教育、研究、診療の充実に各人が積極的に関わり、前向きに努力することで、課題が解決されると考えます。本学が地域の皆様から支えられ、誇れる大学として、皆様のご努力が実り、皆様にとっても、また大学にとってもすばらしい年になることを期待して、新年のご挨拶といたします。
| |
 |
|