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滋賀医科大学長:馬場忠雄
Tadao Bamba
E-mail: gakucho@belle.shiga-med.ac.jp
   
 
年頭所感2010
-SUMSプロジェクト「次世代の人材育成に向って」-
 
平成22年1月4日
学長 馬場忠雄(ばんば ただお)
 

 明けましておめでとうございます。
 今年度は第一期中期目標・計画の最終年度でありますが、教職員は勿論のこと学生諸君を含む全ての構成員の皆様のご支援とご協力により、お陰様でほぼ順調に達成出来ました。有難うございました。本年も昨年と同様に皆様方のご支援とご協力により、本学が目指す目標に向かって着実に歩み続け、社会の期待に応えられる人材を育成し、また、研究成果を社会に還元し、地域医療と医療福祉の向上に貢献したいと考えています。

 教育活動については、まず、国家試験合格率は医師、看護師、保健師、助産師ともに大変良い成績でした。11月には大学機関別認証評価の実施訪問調査をうけ、医学科と看護学科の合同授業、倫理を重視した教育、GPの採択とその結果のカリキュラムへの反映、アドバンスト・オスキー、学生支援のGP「里親」、などが注目され、好印象を得ました。東洋経済誌10月号に全国立大学の教育活動のランキングが発表され、本学は第2位と高い評価を得ることができました。

 研究体制については、分子神経科学研究センターを神経難病の克服を主とするものに改組しました。活動では、本学のサルを使った新型インフルエンザの病態に関する本学教員の論文がNature誌に掲載され、喜ばしいことでありました。他の分野においても成果がクオリティの高い雑誌に多数投稿されています。前述の東洋経済誌には、研究活動は全国国立大で4位という高い評価が得られました。産学官連携分野においては、JSTの都市エリア発展型でMR下及びオンサイト診療の器機の開発も順調に進み良い評価を受けました。

 診療活動については、病院機能評価を受け高得点で認証されました。また、病院の年度当初に立てられた稼働率、平均在院日数、診療単位、院外処方箋率、紹介率、救急車搬入台数、手術件数などの目標値はほとんど達成していただいております。本年1月号のプレジデントには心臓血管外科の手術件数は全国14位で厳しい競争領域においてもすばらしい成績でありました。その他の領域においてもそれぞれ実力を発揮していただいております。再開発は昨年で病棟の改修は完了し、NICU、新手術場の内覧会を開催しました。

 一方、昨年も労働基準監督署から労働時間(超過勤務)と宿日直の適正化に関する改善指導を受けました。健康管理の面からも業務の効率化、人員の効率的配置など本学の実情を鑑みながら適切な対応を進めております。これは本学のみではなく、わが国の附属病院をもつ大学のかかえている共通の課題でもあります。

 平成22年度の予算編成に先立って、昨年11月〜12月に「事業仕分け」が公開で行われ、無駄な部分やマニフェストにないものに対しては厳しい査定が行われました。12月25日の平成22年度文教・科学技術予算のポイントを見ますと、文教関係費は21年度と比べて8.2%の+3,211億円です。この大部分は高校の実質無償化であります。大学の運営費交付金は0.94%減の-110億円であります。医師不足の解消は+14億円でありますが、科学技術振興費は3.3%減の-455億円であります。本学への影響についてはまだ詳細はわかりませんが、厳しい査定が予想されます。また、第一期期間中から第二期へは目的積立金を持ち越すことは困難な状況で、平成22年4月は積立金0からのスタートとなります。本学の一大事業であります病院再開発の2/3は施工されたとはいえ、中央診療棟や外来診療棟の改修を残しており、第一期より厳しい経営状況におかれることになります。加えて、病院再開発などにともなう第二期後半の借入金の返済額は、年約12〜13億円から15〜16億円となります。このような状況が第二期期間の当分の間、続くと考えられます。

 本年度予定されていることは、地域医療の崩壊を防ぐために、医師数を増加させる一つの方策として医学部定員増が図られ、平成21年度に引き続き平成22年度にも、さらに5名の地域枠での増員が認められ、滋賀県の奨学金を得ることになっています。したがって、入学定員は115名となるので、学生数の増加に係る教育設備や備品を整備する必要があります。

 また、平成21年度の第二次補正予算で、地域医療再生計画に組み込まれた東近江医療圏の医療体制の整備に25億円が昨年末に決定されました。この構想では、本学に地域医療センター(仮称)をおき、東近江総合医療センターの総合内科(教授1、准教授または講師1、助教6)と総合外科(教授1、准教授または講師1、助教3)の運営にあたる予定であります。総合内科、総合外科は、専門分科している弊害をなくすために、日常の外来診療と内科、外科一般の入院診療を通して、総合力をつけることを狙い、学生や研修医の診療能力の向上につなげるものであります。教員は、東近江の医療と学生・研修医の教育、さらに臨床研究に従事することになります。なお、教授については、全国公募で採用することになる予定です。また、平成22年3月で期限が切れる寄附講座の地域医療システム学講座は、平成22年度から平成25年度まで延長され、現員に加えて特任教員が2名増員になり、さらに別枠で精神医学講座に2名の助教ポストがつくことになっています。

 このように県の寄附講座が主体ではありますが、大学運営に関連して教員を増加させるチャンスであり、幅広い教育研究診療活動を可能にするものです。

 しかし、平成22年度の予算では、地域関連の研究費は縮減されており、今後の展開が望めないところであります。基盤的研究費がほとんど望めないことから科学研究費をはじめとする外部資金をいかに多く獲得するかにかかっています。科学研究費の応募数が昨年は残念ながら前年度を下回りましたが、プロジェクト研究は勿論のこと、各個研究においても、あらゆる機会を通じて応募し、獲得を目指していただきたいと思っています。また、研究力アップこそ未来を拓くものであり、もっとも重要で、学内の基礎・臨床・看護でチームを作って共同の研究を推進する体制が求められています。

 病院関係では、平成21年度第二次補正予算で感染管理用汚物処理システムと外来カルテ自動入出庫装置が認められました。中央診療棟と外来棟の改修は引き続き平成23年度末まで続きます。その間の患者診療に一層のご配慮をお願いします。

 昨年の世相を表す漢字一字として「新」が選ばれました。確かに新政府が生まれ、新しい手法で政策決定が行われていることによるものと思われます。しかし、「新」というのは時間がたてば古くなります。「新」に希望を示す方向性が今求められていると考えます。

 今年度から開設される寄附講座をはじめ、予定されている事業を含めて大学に活力をもたらすSociety-based, Unique and Mindful Service (SUMS) project「次世代を担う人材育成と研究成果の臨床応用」を提案します。1.教育研究プログラム(寄附講座の新たな開設、重点研究、独創的各個研究、教育研究経費の重点配分)の充実は、未来を拓きます。2.海外研修・留学生プログラムを新しく提案し、国際化を進めます。3. 先進医療研究プログラムで先進医療を積極的に支援し、医療の質を向上します。4.教育研究診療体制と事務組織の整備(任期付教職員の適切な配置、男女共同参画の具体的な取り組み、構内整備など職場環境の整備)は組織を活性化します。5.学内のゼロエミッションを推進し、環境を守ります。

 今年も厳しい年明けではありますが、「明日を創る」という気概でこのプロジェクトの遂行について全ての構成員のご協力とご支援をお願いし、年頭のあいさつといたします。

 
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