部門長メッセージ
昨年度から日本学術振興会 学術システム研究センター・専門研究員に選任され、本年度からは本学副理事を拝命しました。学内外の様々な仕事が多くなってきていますが、当研究室の研究・教育活動をより一層推進していきたいと考えています。
当研究室では、主に心臓・血管の病気に対する病態解明をテーマに研究を進めています。昨年度は論文としましては、まず、血管平滑筋細胞に発現するアファディンという足場分子が、血圧の調節に深く関わっていることを明らかにしました(Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2025; 45: 1226-1243. プレスリリースはこちら)。すでに多くの種類の高血圧薬が処方可能となっていますが、それでも血圧コントロールが不十分な患者さんに対して、アファディンをターゲットとした新たな治療法を応用できる可能性があります。
次に、抗がん薬ドキソルビシンの投与による副作用として大きな問題となっている心筋症・心不全に対して、カニクイザルを用いてその分子メカニズムを解明しました(Biochem Pharmacol. 2026; 243: 117484. 詳細はこちら)。この成果を活用することで、心臓に対する副作用を憂えることなく、がんの治療に専念できることになります。近年、種々の抗がん薬で心血管系に対する悪影響が明らかになっています。この点は、腫瘍循環器領域の重要課題として研究者の間で強く認識されています。その状態や仕組みを解明する上で、ヒトに近いカニクイザルを実験に用いることにより、精密な解析結果が得られるようになります。本学は日本有数のカニクイザル飼育施設であり、それを研究に利用できる大きな利点があります。引き続き、当研究室ではサルを用いた研究を充実させていきたいと考えています。
大学院生に関連したトピックスとしましては、2025年5月に開催されました日本生化学会近畿支部例会で、中国から留学生Sun君(博士課程2年生)が優秀発表賞を受賞しました。ペプチド分解酵素ジペプチジルペプチダーゼ3が、高血圧などによる心臓への過剰な負荷状態に対して心筋保護作用を発揮するということを見出してくれました。また、2026年3月の日本循環器学会では、エチオピアからの留学生Tesega君(博士課程4年生)が国際留学生YIA優秀賞を受賞しました。どちらも研究室スタッフからの援助はありますが、大学院生の学会での受賞は素晴らしいことです。さらに、学会での発表を通して他の同年代の研究者と意見交換や討論できるいい機会になったと思います。今後はそれぞれの研究内容について、できるだけ早く論文化することを目指しています。
随時、心臓や血管の病気解明に興味を持っている大学院博士課程進学希望の方を募集しています。当研究室の規模は大きくありませんが、その分、私を含めたスタッフ全員と上級の大学院生が共同して、新たに入ってこられる大学院生をていねいに教えることができています。是非、本Webページ左下の連絡先にご連絡を頂けましたら幸いです。研究室の見学希望も大歓迎です。
本年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。
令和8年4月
扇田 久和
