〒520-2192 大津市瀬田月輪町
滋賀医科大学
生化学・分子生物学講座
分子病態生化学部門 
TEL: 077-548-2162(研究室)
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部門長メッセージ

当研究室では、主に「循環器疾患」「がん」の生化学的解析に力を入れて研究を行っています。「がん」については、特に、がんの浸潤・転移のメカニズムに着目しています。その理由として、がん死は現在の日本で最多の死因ですが、その約90%は“がん転移”が原因であるからです。昨年度(2018年度)は、マレーシアから来日して大学院生として研究を行ってくれましたKhusni君が、共同研究者の方々の協力を得て、EMP1という分子が、がんの浸潤・転移を促進することとその分子メカニズムをOncogene誌(論文はOpen Accessです)に報告しました。この成果は新聞やテレビニュースでも取り上げて頂きました。Khusni君(と研究スタッフ)の頑張りにより早期に研究成果がまとまり論文を公表できたことで、Khusni君は通常4年かかる大学院博士課程を3年で修了し、博士(医学)の学位を取得することが出来ました。これは、滋賀医科大学で2人目の快挙です。改めてKhusni君の学位取得をお祝いすると共に、今後の活躍を期待したいと思います。EMP1以外の別分子についても、がん細胞の性質を制御する非常に興味深い結果を得ています。さらなるメカニズム解明を行い、その結果を基にした臨床応用が可能になればと考えています。

「循環器疾患」に関しては、元々私は循環器専門医として臨床に従事していたこともあり、動脈硬化、心不全、不整脈と幅広く当該領域の基礎研究を行っています。動脈硬化、心不全について、モデル動物としてマウスを用いるだけでなく、ヒトに近い霊長類カニクイザルを活用した研究を行っています。滋賀医科大学は、多くのカニクイザルを飼育しており、それを研究に利用できる大きな特色があります。昨年度は、心不全モデルカニクイザルの作製に成功し、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を活用した脂質異常症動脈硬化モデルカニクイザルが出生しました。今後、これらのサルモデルを用いて動脈硬化、心不全に関する詳細な分子メカニズムを解明していく予定です。さらに、共同研究などを通じて出来るだけ多くの研究者、企業にサルモデルの有用性をアピールしていきたいと考えています。不整脈研究では、若年者の突然死に関わるブルガダ症候群の遺伝子解析を学内・学外の研究者の方々と共同で行っており、新たに見出した遺伝子変異について学会で発表し、論文にまとめているところです。

今年度は当研究室のスタッフで人事異動があり、若い人材が入ってきてくれました。若い柔軟な発想で、力強く研究を進め、新たな時代を担える人材に育って欲しいと思います。昨今、基礎医学研究を実施する環境が資金・人材を含めて難しくなってきていると感じますが、オリジナリティーの高い研究成果を出すことで、この困難な環境を乗り越えていきたいと考えています。その中心となってもらえる大学院生を随時募集しています(募集方法はこちらです)。今年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 平成31年4月

扇田 久和

 

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