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滋賀医科大学
生化学・分子生物学講座
分子病態生化学部門 
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部門長メッセージ

当Webサイトを見に来て頂きありがとうございます。当研究室の最新の成果や研究内容についてご紹介したいと思います。

昨年度も留学生の方々が、研究室のスタッフと共に頑張ってくれて研究成果を出すことができました。バングラデシュから文科省国費留学生として来日しているMd Rasel Molla君が、筆頭著者として単量体GTPアーゼRhoAの血管平滑筋での新たな作用を突き止めてくれ、Commun Biol誌(Molla MR, et al. Commun Biol. 2022; 5: 1071)に発表することができました。血管平滑筋でRhoAが欠損すると、大動脈瘤ができやすくなることをマウスのみならず、ヒトでも示すことができました。この3月には、無事学位、博士(医学)を取得しました。今後は米国NIHで研究を続ける予定です。
 同様に、マレーシアから文科省国費留学生として来日しているJoanne Ern Chi Sohさんは、心臓でのRhoAの作用を研究し、心筋細胞でRhoAが欠損すると、心臓老化が急速に進行することを発見しました。これもマウスおよびヒトで実証することができました。本研究成果はJ Biol Chem誌(Soh JEC, et al. J Biol Chem. 2023; 299: 102993)に掲載されると共に、日本循環器学会にて国際留学生YIA最優秀賞を受賞しました。当研究室から国際留学生YIA最優秀賞は2年連続での受賞です。
 RhoAの心血管系における作用機序の研究は今後も引き続き行っていく予定です。循環器疾患では、これ以外にもトランスレーショナル研究を目指してカニクイザルを用いた解析も行っています。例えば、低密度リポタンパク質(LDL)受容体欠損症は、若年時から高度な動脈硬化、心臓を栄養する冠動脈が狭窄・閉塞する狭心症・心筋梗塞が生じる難治性の脂質異常症を引き起こしますが、カニクイザルでCRISPR/Cas9ゲノム編集によりそのモデルの作出に成功しています。現在、論文を投稿し、投稿先科学誌からの要望により論文修正を行っているところです。今年度中には、論文を公表できる予定です。また、抗がん薬ドキソルビシンは、優れた抗がん作用を持つものの、心毒性があり、投与量が制限されています。このドキソルビシン心筋症に対する新たな治療戦略もカニクイザルを用いて検討しています。
 さらに、以前より行っているがん微小環境、浸潤・転移に関する研究も継続・発展させていきたいと考えています。具体的には、男性での罹患率が最も多い前立腺がんに着目し、このがんが浸潤・転移して難治性となる場合の分子メカニズムや対処方法の検討です。前立腺は全体として比較的予後が良いがんであるものの、遠隔転移などがあると極端に予後が悪くなります。その格差が大きいため、問題となることがしばしばあります。当研究室で見出したがんを抑制する分子ストマチン(Rahman NIA, et al. Cancer Res. 2021; 81: 2318-2331)を中心に今後解析をしていく予定です。
 おそらくどの研究室でも大学院生が研究を進める最も大きな原動力になっていると思います。当研究室では海外・国内を問わず大学院生を受け入れています(現在、海外からの留学生がやや多い)。当研究室の研究に興味を持っていただけましたら、いつでもメール(E-mail: hqbioch2@ “@以下に belle.shiga-med.ac.jpをつけて下さい”)でコンタクトを取っていただけたら幸いです。研究室の見学希望も大歓迎で随時受け付けています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 令和5年4月

扇田 久和

 

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