学生実習

  東近江総合医療センターの学生実習

 東近江総合医療センター(総合内科学講座・総合外科学講座)では、滋賀医科大学の地域医療教育研究拠点として医学部5年生のクリニカルクラークシップを受け入れています。学生は常時3名が内科A(循環器内科・呼吸器内科)内科B(消化器内科・血液内科)内科C(糖尿病内分泌内科・腎臓内科)に別れて、4週間ごとの臨床実習を行っています。
 
 実習は毎朝8時からの『朝カンファレンス』から始まります。前日に入院した患者さんの症例を検討しながら、特徴的な症状や画像、検査結果から診断に至るまでの過程を学びます。学生は指導医間で飛び交う医学用語や略語の意味を質問されたり、説明を求められたりしながらカンファレンスを進めますが、わからなかった用語や疑問はカンファレンス終了後に「質問タイム」を設け、生じた疑問の解決や知識の定着が習慣付くような教育的指導を行っています。
 スキルスラボでは、聴診やエコー検査、内視鏡や腹腔鏡の各種シミュレーターを用いたトレーニングや講義を行っており、実際に手を動かす実習は学生にも好評です。
 その後、午前中は各コース(診療科)に分かれて主に外来実習、午後は病棟回診や検査の見学、カンファレンスへの参加、外科を含めた講義等を通じて、総合的な視野で「病をもつ人へのケア」に対応できる医師として、初めの一歩となるような実習を目指しています。

 8:00〜9:00

朝カンファレンス

9:00〜10:00

質問タイム/スキルスラボ・講義等

10:00〜12:00

各診療での外来実習

12:00〜13:00

昼休憩

13:00〜16:00

病棟回診・検査見学・カンファレンス参加・講義等



朝カンファレンス+質問タイム


  このカンファレンスは、内科系各診療科の専門医同士が横断的に議論する場であるので、内科全体の幅広い知識と専門的な知識の両方を身につけることができます。同時に、研修医や学生にとっては学習の場でもあるので、時には質問を投げかけたり、意見を求めることで緊張感を持たせ、主体的な学びに繋げていけるようにしています。カンファレンス中に生じた不明点・疑問点は、終了後に「質問タイム」を設けて、曖昧な知識の整理や浮かんだ疑問の解決、さらには国試対策豆知識など、幅広く学生をサポートしています。

 

 

スキルスラボ


  スキルスラボでは呼吸器内科医師による呼吸音の聴診シミュレータを使った正常音と異常音の聴き分けのトレーニングや、循環器内科医師による心音聴診シミュレータによるトレーニングの他、外科医師によるエコー機器や各種シュミレータを用いた診断施術や基本手技のトレーニング、救急医師によるハートシムを用いた急変時心肺蘇生法の練習等を行なっています。学生からも「教科書では学べない聴診のトレーニングは、苦手意識があったが、基礎を掴むことができた。かゆいところに手が届く実習で、今まで不足していた部分を補えた」「超音波、糸結び、腹腔鏡など、いままで経験したことのない手技を多く学べた」と好評です。

 

 

東近江総合医療センターで実習した学生の感想(5年生)

学生実習レポートより一部抜粋


 

内科A(減塩教室)

━━━ 東近江の実習で学んだこと

  • ▶️減塩教室
  • 患者さんと一緒に「減塩教室」に参加し、減塩の重要性だけでなく、実際の患者さんの病院食や減塩に対する思いを聞くことができて勉強になった。
  • ▶️救急対応実習
  • 患者を治療することが最優先だが、それ以外に社会的背景や家族環境、本人の病気に対する考え方を幅広く考慮し、今後の方針を決めていくことが強く印象に残った。質疑応答や手技なども大変勉強になった。

 
 

 

内科B(内視鏡シミュレータ)

━━━ 東近江の実習において、印象に残ったこと

  • ▶️悪性腫瘍で終末期が近づいてきた患者さんとその家族とともに、ACPを行っていたのが強く印象に残った。
  • ▶️大学病院の実習ではなかった褥瘡や嚥下について知ることは、入院患者さんを診るうえで大切だと痛感した。
  • ▶️症例発表は先輩方の前で発表するのは緊張したが、良い経験になった。発表のスライドをつくる過程で食道癌ガイドラインなどの資料を読み込み、画像の読影を行うことで理解を深めることができた。発表後、先生方からのフィードバックも参考になった。 
 

内科C(総合内科カンファレンス)

━━━ 東近江総合医療センターの特徴から、地域医療をどう考えるか

  • ▶️東近江総合医療センターの内科診察の一番の特徴は、在籍する内科医師が各自の専門性に加え、共通して総合内科的な視点を持って診療にあたっているという点であると考える。医師同士が総合内科という領域でつながっているため、診療科ごとの垣根が低く、自分の専門外の領域については専門の医師に気軽に相談できるという点もこの特徴から派生した利点であるように思う。
  •  また、毎朝のカンファレンスでも各々が専門外の内容を幅広く学ぶことができるため、地域住民の幅広い疾患に対応することが可能となり、それによって地域の医療ニーズに応えるという機能を果たしていると思った。
  • ▶️専門性を保ちつつ、他科連携や多職種連携を強力に行っているという点が大きな特徴のひとつであると考えた。朝カンファレンスは東近江総合医療センター特有のものであると思われるが、大学病院と比較した場合、やはり地域中核病院では他科との連携が蜜であり、カルテ上で行われる対診だけでなく、実際に集まって話し合いをする機会が多いように感じた。
  •  また緩和ケアラウンドや口腔ケアラウンド、NST回診など、多職種のスタッフが一堂に会することにより、それぞれの目線から意見が擦り合わせることが可能になると考えた。
  • ▶️末期癌の患者さんや病院での延命治療を望まない高齢者の方も多く、そのような方々を病院だけでなく、地域の開業医さんや老健施設、ディサービス、訪問看護などど連携して支えているのも地域中核病院の特徴であると感じた。