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News from JCHO Shiga Hospital
| JCHO 滋賀病院だより
SETA DAYORI No. 10
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新年度が始まり早 1 か月が経ちました。 5 月の連休
も春らしい天候に恵まれ本当に心地よい季節です。
当院での滋賀医科大学の第 5 学年および第 6 学年の
臨床実習が始まって 1 年が経ちました。当院での学生
実習の現状を私なりの目線で講評してみたいと思いま
す。
①病院全体への効果
先ずは病院全体が若返った気がします。若い学生が
病院内で活動されることで、新鮮な空気が漂います。
さらに病院全体で“学生に見られている”といういい
意味での緊張感が生まれています(家の中に他人を招
き入れる感覚ですね)。
②中堅~ベテラン医師への効果
今までは医業に専念していた訳ですが、そこに“教
育”という部分が加わりました。時に毎日の医療行為
はルーティンワークになってしまいがちです。学生実
習が始まったことで日々の医療行為を学生に見てもら
い、説明をすることが必要になります(ずばり“手抜
き”ができなくなります)。結果的に改めて日々の臨
床行為を見直すことに繋がります。また、自分たちが
他の病院より優っている点をアピールできます(今ま
では“自己満足”に終わっていましたが)。
③若手医師への効果
泌尿器科では学生実習の主たる担当を若手の城先生
に任せています。若手の医師はともすると教えてもら
う立場になります。そこに学生実習の担当を任せるこ
とで後輩を指導する立場になります。学生たちに“城
先生、凄―い”と思われるとうれしいものです(点滴
を入れたりするような医師なれば当然のことでも感心
されます!)。また、学生側も若手の医師が頼もしく
仕事をしているのを見て自分もそうありたいと思って
もらえるのでは?と思っています。
④学生への効果
大学から離れ一般病院で実習してもらうことで、よ
り実臨床の現場の空気を感じてもらえると思います。
大学病院はある意味特殊です(大学の先生方には失礼
ですが)。当院は地域に密着した医療をどれだけ提供
できるかを求められる病院です。必ずしも患者さんは
最先端の医療、高度な医療だけを求めているのではあ
りません。身近な疾患を含めた広い範囲の病気を診て
もらうことも必要なのです。そういった部分も実習で
感じて頂ければと思います。
一方で“学生の皆さんも見られている”ことを意識
して下さい。われわれ医師以外の看護師をはじめとし
たコメディカルの方々にも見られています。はっきり
と言いますが、学生の社会人としてのマナーが不足し
ています。当たり前の挨拶や実習の見学態度などが不
十分です。医療はチーム医療です。医師は周りから信
頼、尊敬される存在にならないとより良い医療は提供
できません。単なる医療知識の暗記だけでは使い物に
ならないのです。社会人としての予行演習が始まって
いると思って下さい。
上記のように学生実習が始まって 1 年間の現状を講
評させて頂きました。せっかくの臨床実習が学生の皆
さんにとっても、それを受け入れる当院にとってもプ
ラスにならなければ時間と手間の無駄になります。サ
ブタイトルにも書きました“Win-Win”の関係になる
べくお互い日々研鑽していきましょう!
JCHO滋賀病院における学生実習の現状
~Win-Winの関係を目指して~
独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO)滋賀病院 泌尿器科 部長
牛田 博
(滋賀医科大学医学部医学科15期生・平成 7 年卒)