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勢多だより

No. 108

20

キャンパスライフ | 

Campus life

2017年 5 月26日から 6 月 9 日の約 2 週間、マレーシ

ア国民大学での研修に看護学科第 4 学年の 3 名で参加

させていただきました。私がこの研修に参加したきっ

かけとしては、多民族国家であるマレーシアでは、様々

な言語や文化、宗教がある中でどのような看護が行わ

れているかについて学び、日本の看護に対しても活か

せることがあるのではないだろうかということと、日

本とは違う医療を自分の目で見、経験することで、視

野が広がり、自身の成長にもつながるのではないかと

考えたためです。

研修としては、大学の附属病院の見学や訪問看護の

同行、小児科看護学実習の一環として看護学生ととも

に孤児院の訪問などをさせていただきました。研修の

なかでも、特にホームレスプログラムが私にとってと

ても印象に残っています。

ホームレスプログラムでは、ホームレスの方に食料

や衣服、歯ブラシ、タオルが配られ、看護学生や病院

の看護師の方やその家族の方などホームレスプログラ

ムに興味がある人たちが集まって行われていました。

マレーシアのホームレスの方々は、マレーシアの首都

であるクアラルンプール周辺の幹線道路の高架下に家

族で住んでおられる方が多く、生後まもない乳児や小

さい子供が多かった印象が強かったです。昼間はホー

ムレスの方が仕事のため、ホームレスプログラムは夜

に行われ、開始時間は深夜近くにもかかわらず、ミュ

ージシャンの方なども呼んでその場のみんなで一緒に

盛り上がり、お祭りのようでした。ホームレスの方と

お話させていただく機会もあり、日本ではなかなか味

わえないとても刺激的で貴重な経験となりました。

研修を通して、はじめは日本との違いについて目を

向けることが多く、ここが日本と違う、ここは同じだ

という風に見ていたのですが、だんだんとマレーシア

ならではのその土地にあった医療の姿があるというこ

と、多民族であることによりいろいろな文化や生活が

共存した医療が行われている、ということにも目が向

くようになり、相違という観点で見るだけでなく、個

性という観点でも見ることが出来るようになりました。

研修がない土日は、マレーシア国民大学の看護学科

の生徒さんに観光に連れて行ってもらったり、ショッ

ピングを楽しみました。初めて見るモスクに圧倒され、

装飾や模様の綺麗さに目を奪われ、イスラムの文化で

ある肌と髪を隠すためのマントの暑さを肌で感じ、聞

こえてくる英語やマレー語、中国語は改めて日本にい

るのではないのだと実感させられ、少しホームシック

にもなったのはいい思い出です。ショッピングでは、

スーパー巡りをするのが楽しくて、見たことのない食

材や味の想像がつかないお菓子や飲み物は好奇心に駆

られました。映画にも挑戦し、いつもは吹き替えでし

か観ない映画も、中国語字幕の英語が話される映画を

ストーリーに置いて行かれないように聞き取るのに必

死で、見終わった後の疲労感は今までで味わったこと

がなかったです。海外に行くことで、日本では経験出

来ないことをすることで新たな自分を知ることが出来

たり、異文化に触れることで感じるものが、経験した

からこそ分かるものがあるということを学びました。

マレーシアでの 2 週間を通して、多民族が共存して

生活されている状況を自分の目で見ることが出来、そ

れぞれがお互いの文化や宗教を尊重し、理解すること

でマレーシアという国が出来上がっていると感じ、こ

れからグローバル化が進む日本でも、マレーシアのよ

うな多種多様な人、もの、考えが受け入れられる柔軟

性は日本でも必要なことであると思うし、私が看護師

として働いてからもマレーシアの研修で学んだこと、

考えたことを取り入れて活かしていきたいと思います。

最後になりましたが、今回このような貴重な機会を

与えて下さった滋賀医学国際協力会理事長、相見先

生、相浦先生、桑田先生、白坂先生、輿水先生、水谷

先生、また現地でご指導して下さった先生、学生の方、

学生課の皆様、前回のマレーシア国民大学に研修で行

かれた先輩方、以上の方々をはじめとする多くの方々、

私を日々支えてくれる家族、友人にこの場をお借りし

て感謝の気持ちを申し上げます。

マレーシア国民大学での

研修を通して

看護学科第 4 学年

齊藤 美祐