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勢多だより

No. 108

18

キャンパスライフ | 

Campus life

■動機と経緯

第 3 学年の循環器系の授業で、心臓血管外科は機能

改善外科であり、手術で患者さんを劇的に良くするこ

とができると学び、心臓血管手術に興味を持ちました。

そして、第 4 学年の自主研修では海外に行くことが

でき、日本と海外の手術と研究が見れる貴重な機会だ

と感じ、心臓血管外科の浅井徹教授に相談させていた

だき、ドイツで働く滋賀医大の先輩がいる病院を紹介

していただけることになりました。

■海外自主研修先

ドイツ北部の港湾都市ハンブルクにあるエッペンド

ルフ大学病院(UKE)のハートセンターに行かせて

いただきました。そこはドイツの心臓血管治療の中心

施設の 1 つで、年間約3000件の心臓手術が行われてい

るそうです。滋賀医大の先輩である内藤志歩先生が勤

務しておられ、内藤先生には準備段階から研修まで大

変お世話になりました。

私は 1 人で海外に行くのは初めてで、ヨーロッパに

は行ったことがなかったので、かなり不安でしたが、

同級生や多くの方々にご協力いただきながら準備を進

め、UKEで研修することが叶いました。

■研修内容と主な学び

朝のカンファレンスへの参加後、手術や病棟を見学

したり、大動脈二尖弁に関する研究について学ばせて

いただきました。

 UKEで の 研 修 で 印 象 的 だ った のは、Minimally

invasive cardiac surgery(MICS)が行われていた

ことです。MICSは手術創が小さく術後の疼痛が比較

的少なく、美容面で利点があるだけでなく、手技に習

熟した医師により行われることにより、低侵襲で行え

る可能性があります。しかし、MICSが低侵襲である

かどうかは、執刀医の習熟度や患者さんの状態等の様々

な要因により左右されると考えられます。MICSは術

野が非常に狭小であり、手術操作は難しく、習熟して

なければ手術時間が長くなったり、出血量が増えたり

と侵襲は大きなものとなります。したがって、施設ス

タッフ全体として、MICSに対する習熟度が高くない

と手術による低侵襲は実現されないと考えられます。

手術による患者さんへの侵襲は、傷の大きさだけで

なく、心停止時間等を含めた手術時間の長さも影響す

るため、侵襲を小さくするためには術者の習熟度や患

者さんの状態を含めて術式を決める必要があることを

知りました。また、患者さんにとって、より負担の少

ない手術の選択肢の一つとしてMICSはあるかもしれ

ませんが、決して最小の侵襲をMICSで実現できるわ

けではないと感じました。そして、日本内だけでなく

海外に行くことで、さらに多面的に医療現場をみる機

会が得られると思いました。

カンファレンスにおいては、患者さんの様子や手術

の予定を議論されているところを見学でき、ドイツ語

でのやり取りされている内容の一部は聴き取れました

が、内容が理解できないことが多々ありました。ドイ

ツ語がわからず、貴重な実習機会を逸してしまうこと

もありました。このように、言葉が理解不足により学

ドイツでの自主研修を終えて

医学科第 4 学年

木内 亮平

カンファレンスルーム

ハンブルク・エッペンドルフ大学病院