勢多だより
No. 108
6
新任教員紹介 |
New teacher introduction
2017年 6 月 1 日付けで、看護学科基礎看護学講座
(生化・栄養)の教授に就任いたしました。この場を
お借りしてご挨拶させていただきます。
私は1982年に 2 期生として本学医学部医学科を卒業
し、第 2 内科(現在の消化器・血液内科)に入局する
とともに大学院に進学しました。初代教授の細田四郎
先生、第 2 代教授の馬場忠雄先生(前滋賀医科大学学
長)、第 3 代教授の藤山佳秀先生にご指導いただき、
クローン病や潰瘍性大腸炎、吸収不良症候群などの患
者さんの治療にあたりました。当時は、抗TNF-α製
剤などは開発されておらず、ステロイドや栄養療法が
内科治療の中心であった時代です。その経験から、栄
養管理の基礎を学びました。また、消化管内の栄養素
と小腸機能に関する基礎研究もおこない、1986年に大
学院を修了しました。
2000年から2001年にかけて、文部科学省の在外研究
員としてロンドン大学に留学しました。Micro-
dissection法で腸の絨毛を単離するという手技を学び、
レクチンなどの消化管増殖因子の研究をおこないまし
た。慣れない海外での一人暮らし、さらには研究室に
日本人一人の環境には随分と苦労しましたが、今とな
っては良い思い出です。
帰国後に、京滋では初めてとなる栄養サポートチー
ム(NST: nutrition support team)を立ち上げ、消化
器内科以外の患者さんの栄養管理にも関わるようにな
りました。2005年には附属病院に新設された栄養治療
部の副部長となり、全国の国立大学で初めての栄養に
関する専任医師となりました。NSTの活動を通じて
様々な患者さんの栄養管理に関わる中で栄養代謝病態
に関心を持ち、管理栄養士の先生方とともに間接熱量
計を用いた臨床研究をおこないました。その成果は、
国内外の学会で発表し、多くの論文として報告するこ
ともできました。滋賀医科大学から、エネルギー代謝
に関するエビデンスの発信が出来たと考えています。
一方、栄養領域では最大の学会である日本静脈経腸
栄養学会の理事(現在は副理事長)として、医師やメ
ディカルスタッフへのセミナーの講師を務めるほか、
静脈経腸栄養ガイドライン第 3 版の作成にも参加しま
した。また、テキストブックの責任編集やNST専門
療法士の問題集の監修も担当しました。
今後は、これらの経験を生かして、滋賀医科大学医
学部看護学科の学生教育、大学院教育、さらには研究
指導などに全力で取り組みたいと考えております。
今回、学長の塩田浩平先生、病院長の松末吉隆先
生、看護学科長の桑田弘美先生のご配慮、ご支援を賜
り、現職である附属病院栄養治療部部長も継続させて
いただくこととなりました。すでに第 4 学年の栄養ゼ
ミでは、栄養治療部の機器を用いた実習なども行って
います。今後、臨床栄養における第一線での活動に加
えて、看護学生への栄養教育、医学生への栄養教育、
さらには大学院教育と忙しい生活となりますが、母校
である滋賀医科大学のために精一杯努めたいと思いま
す。どうぞ、 ご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。
経
歴
Londonに留学
2002年 4 月 滋賀医科大学 消化器内科 講師(大講座制に伴い)
2005年 8 月 滋賀医科大学医学部附属病院 栄養治療部 副部長
2007年 10月 滋賀医科大学医学部附属病院 栄養治療部 病院教授
2012年 7 月 滋賀医科大学医学部附属病院 栄養治療部 准教授
2014年 4 月 滋賀医科大学医学部附属病院 栄養治療部 部長
2017年 6 月 滋賀医科大学医学部 看護学科基礎看護学講座 教授
1982年 3 月 滋賀医科大学医学部卒業
1986年 3 月 滋賀医科大学医学部大学院修了
1986年 5 月 彦根市立病院 内科医員
1987年 4 月 同 内科医長
1990年 5 月 誠光会草津中央病院(現:草津総合病院)内科医長
1992年 3 月 滋賀医科大学 第 2 内科 助手
1998年 6 月 同 講師
2000年 9 月−2001年 7 月
文部科学省在外研究員として、Imperial College
School of Medicine, Hammersmith Hospital,
Department of Histopathology, University of
基礎看護学講座(生化・栄養)
教授
佐々木 雅也
新
任教員紹介
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introduction