東近江がん診療セミナー

 

第20回東近江がん診療セミナー

平成30年3月15日(木)18:00〜八日市ロイヤルホテル


 今年度を締めくくる『第20回東近江がん診療セミナー』は、外部から講師の先生をお招きして、八日市ロイヤルホテルで開催いたしました。
 特別講演1として、筑波大学附属病院産婦人科診療講師の櫻井学先生にご講演で、がん患者さんにおいては、凝固促進タンパク質の腫瘍組織からの分泌など、様々な要因により、VTE(静脈血栓塞栓症)の発症率が、がんに罹患していない患者さんに比べて有意に高くなることが知られおり、化学療法剤、免疫調整剤、および血管新生阻害剤による治療によっても、VTEの発症リスクが高まることが知られています。(第一三共株式会社HPより)講演では、とりわけ櫻井先生のご専門である婦人科癌を例に、「治療前VTEに対して適切に対処することで、術後の症候性VTEの発症を低下させることができる」など、約1時間の講演をしていただきました。
 特別講演2では、医療法人社団愛語会要町病院 副院長の吉澤明孝先生にご講演で、麻酔科医でもある吉澤先生は、がん患者さんの「治してほしい」「苦しみをとってほしい」「気持ちをわかってほしい」の3つの願いを叶えるため、緩和ケアを通して患者さんに寄り添い、日々臨床に取り組んでおられる中、そのご活躍の場は、在宅医療との連携にも及び「がん性疼痛は治療可能であり治療されるべきである」「緩和ケアはスキルであって目的ではない」というお言葉がとても印象的な講演でした。
 今回のがんセミナーは、第一三共株式会社様のご協力により実現することができました。櫻井先生、吉澤先生、第一三共の皆様方、この場をお借りして暑く御礼申し上げます。
 次回『第21回東近江がん診療セミナー』は、4月5日(木)18:00〜『円滑なチーム医療を目指して』をテーマにがんリハビリテーション・がん性疼痛・外来化学療法の院内での取組を紹介します。

井上 修平先生

開会挨拶

井上 貴至先生

特別講演1座長

櫻井 学先生

特別講演1講師

坂野 祐司先生

特別講演2座長

吉澤 明孝先生

特別講演2講師

 目片 英治先生

閉会挨拶

第19回東近江がん診療セミナー

平成30年2月1日(木)18:00〜


 今年度7回目となるがんセミナーは、抗がん剤の副作用として代表的な「末梢神経障害・味覚障害・口内炎」について、滋賀医大学医学部附属病院がん専門薬剤師:薮田直希先生を招いて講演をしていただきました。
 導入部で原因となる抗がん剤の種類の紹介をして頂いた後、抗がん剤の種類によって現れる副作用の違い、副作用の評価方法とそれに応じた薬の選択、またその薬の副作用や効果、取り扱い注意点まで、順を追って説明していただきました。まとめでは、末梢神経障害、口内炎、味覚障害は、有効な治療法がほとんどないからこそ、対処をどうするか、医療者一人ひとりに委ねられる部分が大きい、少ないエビデンスを把握した上で多職種で協力して、副作用のマネジメントを行っていくことが大切だと述べられました。
 また、これに関連した症例検討会では、当院で抗がん剤・放射線治療を受けられた患者さんの口腔機能管理について、薬剤師と栄養士の視点から発表があり、ここでもやはり単独の職種によるケアには限界があること、多職種が専門の知識を持ち寄るチーム医療の有効性が訴えられました。
 次回のがんセミナーは、3月15日(木)18:30〜『緩和ケアとCancerVTE』をテーマに外部講師による特別講演2本立てで行います。(場所:八日市ロイヤルホテル)

赤堀先生・長岡看護師

総合司会

薮田 直希先生

特別講演講師

長谷川英利薬剤師

症例検討

橋本亜由子管理栄養士

症例発表

第18回東近江がん診療セミナー

平成29年12月7日(木)18:00〜


 今年度6回目となるがんセミナーは、昨年度のがんセミナーでも講演いただき好評であった「リンパ浮腫」について、滋賀医大学医学部附属病院がん看護専門看護師の専門薬剤師の服部聖子先生に講演をしていただきました。
 リンパ浮腫とは、がんの治療において手術でリンパ節を取り除いたり、放射線治療によってリンパの流れが停滞することで腕や足がむくむ症状のことで、一度発症すると治りにくいという特徴から予防が最も重要で、滋賀医大では手術後の入院患者さんには理学療法士が、退院後の外来患者さんには看護師が予防指導を行っています。
 今年10月から保険診療が可能になったことから、医大でのリンパ浮腫外来でのケアにあたっておられる服部先生には、1.問診・治療計画の立案、2.圧迫療法の指導・圧迫衣選定、3.圧迫療法下での運動療法の指導、4.リンパドレナージの指導まで、トータル的なお話をしていただきました。途中、患者さんの症状に応じたストッキングの紹介もあり、参加者は講演終了後にストッキングの見本に触れて、感触を確かめていました。
 症例検討会では、当院でリンパ浮腫を発症された患者さんの2症例について発表があり、患者さんの病状と生活背景をリンクさせながらのケアの難しさを問題提起するような発表でした。また、病棟看護部では前回の服部先生の講演を契機に、リンパ浮腫についての勉強会を開いているとの報告もあり、当セミナーが患者さんのケアに反映されていることを嬉しく思いました。
 次回のがんセミナーは、2月1日(木)18:00〜『末梢神経障害、味覚障害、口内炎の対処法』をテーマに行います。

坂野 祐司先生

開会挨拶

長岡看護師・長谷川薬剤師

総合司会

服部 聖子先生

特別講演講師

奥田すみれ助産師

症例発表

 目片 英治先生

閉会挨拶

第17回東近江がん診療セミナー

平成29年11月2日(木)18:00〜


 今年度5回目となるがんセミナーは、がんの薬物治療で使用される骨吸収抑制薬で起こる腎機能障害、インフルエンザ様症状、骨痛・関節痛・筋肉痛、顎骨壊死、低カルシウム血症、大腿骨骨折などの副作用の対策について、滋賀医大学医学部附属病院のがん専門薬剤師の若杉吉宣先生に講演をしていただきました。
 先にあげた代表的な6つの副作用について詳しくご説明いただいた後、とりわけARONJ(骨吸収抑制薬関連顎骨壊死)予防のためのに気をつけるべき点(1.骨吸収抑制薬開始の2週間前までの歯科受診 2.口腔内清潔保持 3.定期的な歯科検診 4.骨吸収抑制薬使用に関する歯科医師への告知等)についての講義がありました。
 講演の後は、東近江総合医療センター東出看護師より、当院看護師を対象に行った『化学療法中患者の口腔ケアに関する看護師の意識調査』の発表があり、当院の現状について知ることができました。また、歯科口腔外科医師 堤泰彦先生からは顎骨壊死の症例検討が行われ、一度発症するとなかなか完治することが難しい顎骨壊死は、何よりも発症させないことが大事で、そのためにも看護師が医科と歯科の架け橋となっていただきたいと締めくくられました。
 次回のがんセミナーは、12月7日(木)18:00〜『リンパ浮腫ケア』をテーマに行います。

若杉 吉宣先生

特別講演講師

長岡看護師・長谷川薬剤師

総合司会

東出 美香看護師

アンケート発表

堤 泰彦先生

症例発表

 松井 駿亮薬剤師

症例発表

第16回東近江がん診療セミナー

平成29年10月5日(木)18:00〜


 今年度4回目となるがんセミナーは、がん治療で起こる外見の変化に対し、医療従事者がどのように携わっていくか(Appearance Care=アピアランス・ケア)について、滋賀医大学医学部附属病院のがん化学療法看護認定看護師の田﨑亜希子先生に講演をしていただきました。
 がんの治療における手術療法・放射線療法・薬物療法等に起因する外見の変化は、1人でいても感じる身体的苦痛とは異なり、他者の存在に大きく依存する心理社会的苦痛である、だからこそ患者さんが外見変化後に最初に出会う医療従事者の反応に影響されることが大きく、その対応次第では、患者さんの思い込みや喪失感から開放してあげることが可能だという。その人らしい人生を病気で奪われることなく、自分自身の手に取り戻してもらうことがアピアランスケアの目的であり、その結果患者さんのQOLや治療へのモチベーションをあげることになるという。
 その後の『当院でのアピアランスケアに対する意識調査』の発表では、「患者さんから外見について相談を受けたことがあるか」という問いに対し、70%の看護師が「ある」と答えたものの、「指導ができるか」との問いには、「できる」と答えた看護師は約30%に止まっており、今回の研修会が少しでも患者さんの笑顔につながればいいなと思いました。
 次回のがんセミナーは、11月2日(木)18:00〜『骨吸収阻害剤について〜モニタリングのポイント〜』をテーマに行います。

尾崎 良智先生

開会挨拶

長岡看護師・長谷川薬剤師

総合司会

田﨑 亜希子先生

特別講演講師

赤松 弥生看護師

症例発表

第15回東近江がん診療セミナー

平成29年9月7日(木)18:00〜


 今回のがんセミナーは、がん化学療法を受ける患者さんの80〜100%の方が経験するという倦怠感のマネージメントについて、滋賀医科大学医学部附属病院のがん化学療法看護認定看護師の小倉知子さんに講演いただきました。
 講演の中で小倉さんは、患者さんが感じる倦怠感は主観的な感覚で、感じ方、表現の仕方は様々だが、これを理解するためには①傾聴するー認知している症状(倦怠感)はどのような症状か、症状をどのように認知しているか ②客観的に問うー患者さんからより多くの情報を引き出せるような質問をする ③サインをモニタリングするー日常生活での活動状況を本人や家族から聴く ことが大事であり、症状(倦怠感)があってもそれを自分でコントロールし、日常生活を肯定的に送ることができるよう関わっていくことが重要だと述べられました。
 続いて行われた症例検討会では、入院から外来化学療法へ移行する患者さんが不安なく治療に専念できるようにするには入院中にどのような関わりをすれば良いか、という内容について発表が行われました。
 次回のがんセミナーは、10月5日(木)18:00〜『外見の変化に対するケア〜がん患者さんと社会のつながりを考える〜』をテーマに行います。

長岡 紀江看護師長

総合司会

長谷川英利薬剤師

総合司会

小倉 知子先生

特別講演講師

平塚 久恵看護師

症例発表

第14回東近江がん診療セミナー

平成29年6月15日(木)18:00〜


 今年度3回目となるがんセミナーは、外来で化学療法を受ける患者さんの発熱性好中球減少症にスポットをあてて、その予防や発現時の対応、治療開始のタイミングや患者さんへの指導方法などを、滋賀医科大学医学部附属病院のがん専門薬剤師の須藤正朝先生にお話いただきました。終了後のアンケートでは、「発熱性好中球減少症(FN)はよく起きる症例だが、項目が多くわかりにくい。今回まとまった話が聞けて良かった」「FNガイドラインについてよく理解できた」との感想が寄せられ、院外からの参加者7名を含む54名の参加者が耳を傾けていました。
 続いて行われた症例検討会では、『化学療法における好中球減少症に対する関わりー当院での発生状況と症例定時』のタイトルで東近江総合医療センターの塚原優太薬剤師からの症例発表があり、医師、薬剤師、看護師それぞれの立場から、この症例から学ぶべき点、改善すべき点はどこか等について、ディスカッションが行われました。
 次回のがんセミナーは、9月7日(木)18:00〜『がん化学療法を受ける患者の看護〜倦怠感に焦点をあてて』をテーマに行います。

坂野 祐司先生

開会挨拶

才田 智子看護師長

総合司会

長谷川 英利薬剤師

総合司会

須藤 正朝先生

特別講演講師

 塚原 優太薬剤師

症例発表

第13回東近江がん診療セミナー

平成29年5月18日(木)18:00〜


 今回のがんセミナーは、『がん性疼痛のケア〜評価方法と記録〜』をテーマに、滋賀医科大学医学部附属病院・緩和ケア認定看護師の尾崎由佳先生に講演をいただきました。
 がんによる痛みを我慢していると、痛みの感覚に敏感になり、鎮痛薬が効きにくくなったり、脈拍や呼吸が早くなる、血圧があがるなど、体に悪い影響を与えます。また日常生活の面でも、食欲が落ちたり、眠れなくなったり、体が動かせず床ずれ(褥瘡:じょくそう)が起こるなど、さまざまな悪い影響が出ます。そのため、がんによる痛みは早く治療する必要があります。(『国立がん研究センターがん情報サービスHPより抜粋)
 がんの痛みの多くは治療できるものであり、患者さんが感じる主体的な痛みをどのように評価し、ケアしていくかが今回の講義のテーマで、尾崎先生の講義は「疼痛評価の方法が具体的に示されており、非常にわかりやすかった」と好評で、さらにコメンテーターの田村先生の掘り下げにより、さらに講義内容に深みが増しました。
 症例検討では「モルヒネ導入による疼痛コントロールが必要な患者の事例」が提示され、外来から入院、入院初日から退院まで、患者さんの痛みに対してどのように関わってきたかが紹介されました。
 次回のがんセミナーは、6月15日(木)18:00〜『外来化学療法患者における薬剤師の関わり〜発熱性好中球減少症について』をテーマに行います。

坂野 祐司先生

開会挨拶

長岡 紀江看護師長

総合司会

田村 祐樹先生

コメンテーター

尾崎 由佳先生

特別講演講師

 宮城暢子看護師

症例発表

第12回東近江がん診療セミナー

平成29年4月20日(木)18:00〜


 今年度初回のがんセミナーは、『円滑なチーム医療を目指して』をテーマに、がん業務に携わる4つの部門より活動報告をして頂きました。
 まず1つ目の発表は、太田診療情報管理士による『院内がん登録』について。「全国がん登録」の概要とそこから分析したデータの活用方法、さらに個人情報を取り扱う上での注意点について報告して頂きました。
 2つ目は皮膚・排泄ケア認定看護師の続宗敬子看護師とによる『皮膚・排泄ケア認定看護師の活動紹介』。皮膚・排泄ケア認定看護師とは、創傷・オストミー・失禁の看護分野について熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践のできる看護師のことで、病棟・外来からのコンサルテーションに対する対応として、週1回の褥瘡回診、月1回の褥瘡委員会の参加、月2回のストーマ外来の補助のほか、病棟でのストーマ管理・指導等の活動内容について報告がありました。
 3つ目は中本理学療法士による『がんリハビリテーション』。守備範囲の広いがんリハビリテーションは、病期や部位、障害度、複数の合併症などにより対応が大きく異なっており、院内でも病棟を中心に実践、再考の繰り返しの中で必要性を検討している最中であるとの報告があり、最後の外来がん治療認定薬剤師の長谷川薬剤師による『外来化学療法における薬剤師の業務展開』では、外来化学療法室の業務や運用状況、がん患者指導管理料、今後の取り組みなどについて報告がありました。
 普段の業務で関わりのない部門であっても、病院全体の取り組みを知った上で、患者さんに関わることはプラスの要素が大きく、新年度初回のがんセミナーとして、新入職員にも病院をより深く理解する良い機会となりました。
 次回のがんセミナーは、5月18日(木)18:00〜『がん性疼痛のケア〜評価方法と記録〜』をテーマに行います。

 

太田診療情報管理士

活動報告

太田裕之先生

座長

続宗敬子看護師

活動報告

 鵜飼佳子先生

座長

中本理学療法士

活動報告

瀬戸山博先生

座長
 

長谷川英利薬剤師

活動報告

 尾崎良智先生

座長