東近江がん診療セミナー

 

第30回東近江がん診療セミナー

平成31年2月7日(木)18:00〜


 今年度最終の第30回東近江がん診療セミナーは、終末期の患者さんの意思決定支援をテーマに特別講演と症例検討会を行いました。
 特別講演では、近江八幡市立総合医療センターの川嶋頼子先生をお招きして『標準治療を終えようとしている患者に対する意思決定支援』の演題でお話し頂きました。
 患者さんがどのような治療を望むかは、単なる治療の選択だけではなく、どのような人生を望むかにつながっている意味からも、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の概念と重要性についてお話頂きました。ACPとは、患者さんの意思決定能力の低下に備えて、患者さんやその家族と、終末期をどのように過ごしたいかを話し合うことをいい、この話し合いから緩和ケア治療が導入されることもあって、医療現場で広がりつつあります。
 この後の症例検討では、『レスキュー・ドーズの患者自己管理導入への提案』のタイトルで、自宅で麻薬の自己管理ができたいた患者さんが再入院された場合の麻薬管理について、病棟看護師による現状報告と問題提起がなされました。自宅では、痛みのある時に随時服薬できていたレスキュー薬が、入院後は病院に預けなければいけなくなることで生じる問題点を、患者さんの立場、医療安全の立場、管理者の立場から検証。優先されるべき患者さんの希望を叶えるべく、既存の制度見直しに向けた第一歩となる有意義な症例検討となりました。
 平成30年度は計10回のがんセミナーを開催することができました。特別講演の講師をお引き受けくださった先生方、症例発表、司会、座長等にご協力いただいた院内の皆さま方、会場設営、運営準備等でお世話になりました事務関係の皆さま方、また本活動に対し助成をいただいております笹川記念保健協力財団に、感謝を申し上げます。誠にありがとうごうございました。

赤堀外科医長

総合司会

長岡看護師長

特別講演座長

川嶋頼子先生

特別講演講師

岡本看護師長

症例検討座長

 人見看護師

症例検討

第29回東近江がん診療セミナー

平成30年12月6日(木)18:00〜


 第29回東近江がん診療セミナーは、がん化学療法とQOLをテーマに特別講演と症例検討会を行いました。
 特別講演では、滋賀医科大学医学部附属病院腫瘍センター副看護師長の田﨑亜希子先生を講師にお招きして『がん化学療法とQOL 栄養と運動を考えた支持療法』の演題でお話し頂きました。

 がん化学療法の目的とQOLをCure(根治的化学療法・術後補助療法)を目的とする場合とCare(進行・再発がんの化学療法)を目的とする場合に分けて考える、Cureの場合は治療計画の遂行を第一にその先の人生を考える、Careの場合は患者さんやご家族が大切にしていることを第一に考えることが重要だとお話下さいました。
  また、化学療法実施に伴う栄養やリハビリの話まで内容は多岐に渡り、患者さんが困っている日常の生活から治療に関することまで、思いを引き出し、提案に繋げる会話のコツも紹介いただきました。
 この後の症例検討では、今年度から導入された「化学療法パス」の使い方のおさらいと導入後のメリット、またパスを使った患者さんへのセルフケア支援について、当院看護師より発表がありました。導入後は、副作用症状の評価が看護師の知識や経験によって主観的になりがちだった以前に比べ、副作用の言語が統一されることによって均一化が図られるようになり、出現時期や程度が可視化できるようになったといい、パスを導入した症例の発表もありました。
 次回のがんセミナーは、来年2月7日(木)18:00〜「標準治療を終えた患者さんの意思決定支援」について取り上げます。

太田外科医長

総合司会

田﨑亜希子先生

特別講演講師

玉木看護師長

症例検討座長

 村井看護師・堺看護師

症例検討

第28回東近江がん診療セミナー

平成30年11月1日(木)18:00〜


 第28回東近江がん診療セミナーは、がん診療と感染症をテーマに特別講演と症例検討会を行いました。
 特別講演では、滋賀医科大学医学部附属病院の野田哲史先生を講師にお招きして『がん薬物療法における感染症治療の考え方』の演題でお話し頂きました。

 お話の内容は大きく分けて「感染症が原因となるがん」「がん薬物療法時の感染症予防のポイント」「感染症にかかったときのがん薬物療法の注意点」の3点。がんと感染症はあまり関係がないと思われがちだが、日本人におけるがん要因の約20%が感染症が原因とあって、胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌をはじめ、がんの発症を防ぐには感染予防と治療が有用であるというお話から、残りの2つのテーマに関する内容へ話を広げてレクチャーしていただきました。また、当院が結核病棟を抱えていることから、結核患者さんに特に注意すべき薬剤についてもお話いただきました
 この後の症例検討では、当院の薬剤師と看護師より今回のテーマに関する症例が紹介されました。看護師からは、患者さんの症状についてアセスメントし、改善に向けて専門的なチームに依頼するなど、多職種間の橋渡しとならなければならないとのメッセージが発信されました。
 次回のがんセミナーは、12月6日(木)18:00〜「がん化学療法」について取り上げます。

河合薬剤部長・向井副看護部長

総合司会

野田哲史先生

特別講演講師

塚原優太薬剤師

症例検討

 小西幸子看護師

症例検討

第27回東近江がん診療セミナー

平成30年10月4日(木)18:00〜


 第27回東近江がん診療セミナーは、がん患者さんの退院支援から在宅支援までをテーマに特別講演と症例検討会を行いました。
 特別講演では、公益財団法人滋賀県訪問看護ステーションの井上由加里先生を講師にお招きして『訪問看護ができる終末期の在宅支援』の演題で、訪問看護の現状についてお話し頂きました。

 とりわけ、終末期にあるがん患者さんの在宅看護については、本人の意思を尊重することで、家族の絆や役割を実感できるメリットがある反面、介護者の負担の増加や医療的ケアの必要な場合の不安が障害となり、在宅へ移行する足枷となっている現状を踏まえ、患者さんにとっても、それを支えるご家族にとっても満足のできる訪問看護の在り方について、お話し頂きました。締め括りで「退院カンファレンスで医療者が陥りがちなこととして、治療経過や病状、必要な処理や薬の管理等にばかり目が行きがちになるが、一番大事な患者さんとご家族の思いが置き去りにされてはいけない」と話されたことが印象的でした。
 この後の症例検討では、『がん終末期における退院支援』として、在宅へ移行する前の地域包括ケア病棟の事例が紹介されました。事例からは、在宅移行へのタイミングを見極めることの大切さを改めて確認し、訪問看護師さんと病院看護師で立場は違っても、患者さんの思いを大切にする気持ちは同じであることを確認しました。
 次回のがんセミナーは、11月1日(木)18:00〜「がん薬物療法と感染症治療」について取り上げます。

長岡地域医療連携室係長

開会挨拶

目片副院長・早川師長

総合司会

井上由加里先生

特別講演講師

伊藤綾子看護師

症例検討

 小川美彩子看護師

症例検討

第26回東近江がん診療セミナー

平成30年9月6日(木)18:00〜


 第26回東近江がん診療セミナーは、医療用麻薬をテーマに特別講演と症例検討会を行いました。
 特別講演は、滋賀医科大学医学部附属病院薬剤部 緩和薬物療法認定薬剤師の森井博朗先生による『医療用麻薬をうまく使いこなすために②〜副作用対策をしっかりと知っておこう〜』。森井先生は第11回がんセミナーでも『がんの痛みの治療』というテーマでご講演いただいており、今回はその続きとして、前回のおさらいと新しいトピックスについてお話いただきました。

 医療用麻薬(オピオイド)投与による副作用である「便秘」「悪心・嘔吐」「眠気」「呼吸抑制」の4つのテーマに分けて、それぞれの原因や特徴とその対策、また現れている症状が本当にオピオイドが原因で起こっているのか、見極めを行うためのモニタリングの方法や他の薬剤との併用、スイッチングのタイミングなど、詳しくご教授いただきました。また、後で振り返ってもわかる情報のぎっちり詰まったレジュメは、前回同様とてもわかりやすく好評でした。

 この後の症例検討では、院内の緩和ケアチームが実施したアンケート結果をもとに、緩和ケアチームの活動内容や緩和ケアパスの運用、また患者さんとのコミュニケーションツールとして使用した「痛みの記録シート」も紹介され、多職種が集まるこのセミナーにおいて、院内に情報発信していく意味でも有意義な発表の場となりました。
 次回のがんセミナーは、10月4日(木)18:00〜がん患者さんの在宅支援について取り上げます。

坂野先生・玉木看護師長

総合司会

森井 博朗先生

特別講演講師

南山薬剤師

症例検討

宮城看護師

症例検討

第25回東近江がん診療セミナー

平成30年8月2日(木)18:00〜


 第25回東近江がん診療セミナーは、がんリハビリテーションをテーマに特別講演と症例検討会を行いました。
 特別講演は、滋賀医科大学医学部附属病院のがん看護専門看護師の服部聖子先生による『患者の希望を支えるがんリハビリテーション』。服部先生は昨年の第18回がんセミナーでもリンパ浮腫をテーマに講演していただいたように、がんによってもたらされた機能障害や筋力・体力の低下がある患者さんの機能を回復させるべく、日々業務に取り組んでおられます。

 がんリハビリテーションは、すでに欧米ではがん医療の一分野として認められており、近年日本でもがんリハに取り組む医療機関が増えつつあります。がんリハビリテーションで大切なのは、患者さんご自身の健康観、死生観、人生観について知り、語り合い、患者さんやご家族の人生、それに我々ケア提供者の人生の物語が重なっていくプロセスにおいて、「患者さんの本当の苦悩と希望はなにか?」をさまざまな立場から見て聞き取ることで、どこに価値をおいてどういう未来を描いて「今、ここに生きているのか」をチーム全体で共有し、またそれを繋いでいくことであると締めくくられました。
 この後の症例検討では、がん患者さんが大腿骨骨折手術後に、救命・疼痛緩和・呼吸器リハビリ・機能回復において、理学療法士と看護師が関わった症例についてそれぞれの立場から発表があり、院内で採用しているがんリハビリテーションパスの活用についても紹介されました。

 次回のがんセミナーは、9月6日(木)18:00〜医療用麻薬とその副作用について取り上げます。

菊地先生・川瀬看護師長

総合司会

服部 聖子先生

特別講演講師

松尾看護師・岡田理学療法士

症例検討

第24回東近江がん診療セミナー

平成30年7月5日(木)18:00〜


 第24回東近江がん診療セミナーは、免疫チェックポイント阻害剤をテーマに特別講演と症例検討会を行いました。
 特別講演は、滋賀医科大学医学部附属病院のがん専門薬剤師の須藤正朝先生による『免疫チェックポイント阻害剤関連』。ニボルマブ等に代表される免疫チェックポイント阻害剤の適用条件や投与方法から、化学療法との併用で得られる効果、またirAEまで広範囲に渡る内容で、最近話題となっているirAEには特に時間を割いてご説明いただきました。
 irAEとは、おもに免疫チェックポイント阻害薬の投与により引き起こされる副作用のことで、免疫チェックポイント阻害剤の投与により、免疫全般を過剰に活性化させることで、免疫が自分自身を攻撃してしまい、間質性肺疾患や甲状腺機能低下症といった様々な有害事象が発生することがあります。そのため、irAEの出現をできるだけ早くに発見し、早期に治療することが大切で、継続的なモニタリングや患者さんへの副作用の意識づけが重要であると締めくくられました。
 この後の症例検討では、院内での経験した2つの症例から、患者指導、定期的な検査の実施、診療科間の連携の3つが免疫チェックポイント阻害剤の副作用対策として大切であること、また外来化学療法室で取り組んでいる化学療法副作用パスについても紹介されました。

 次回のがんセミナーは、8月2日(木)18:00〜がんリハビリテーションについて取り上げます。

神田 暁博先生

総合司会

南山 啓吾薬剤師

症例検討司会

須藤 正朝先生

特別講演講師

松井 駿亮薬剤師

症例発表

 平塚 久惠看護師

取組紹介

第23回東近江がん診療セミナー

平成30年6月7日(木)18:00〜


 第23回東近江がん診療セミナーは、がん性疼痛をテーマに特別講演と症例検討会を行いました。
 特別講演は、滋賀医科大学医学部附属病院のがん専門看護師の木村由梨さんによる『看護師だからできる疼痛マネジメント』。患者さんの一番近くにいて、患者さんの痛みの強さや時間帯はもちろん、生活背景や思い、価値観などを含めた全人的な理解ができるのが看護師の強みであり役割でもあるとの認識から、患者さんの痛みの原因と強さを表す言葉を引き出すような対話の中から、適切な疼痛緩和の方法を検討、選択、提案することが重要だとお話し頂きました。
 これらを通じ、患者さんからは(自分の抱えている辛い症状を理解してなんとかしてくれる人)、医療者からは(患者さんの症状をマネジメントしていく上で介入の多くを任せられる人)と思われることこそが、看護師の醍醐味であり、やりがいだと締めくくられました。
 また症例検討会では、がん患者さんの疼痛コントロールに苦慮しながら看護師・薬剤師がどのように関わったかを振り返る事例が紹介されました。発表者は勤続3年目の看護師であり、目の前で苦痛を訴える患者さんを前に自分にできることはなにかと、悩みながら向き合う姿が印象的な事例でありました。
 次回のがんセミナーは、7月5日(木)18:00〜免疫チェックポイント阻害剤について取り上げます。

尾崎 良智先生

総合司会

才田 智子師長

総合司会

木村 由梨看護師

特別講演講師

端 穂乃花看護師

症例発表

 長谷川英利薬剤師

コメンテーター

第22回東近江がん診療セミナー

平成30年5月16日(水)18:00〜


 今回のがんセミナーは、東近江総合医療センターで毎月開催されている『ひがしおうみ☆栄養塾』とのコラボ企画で開催しました。
 『ひがしおうみ☆栄養塾』とは、毎月第3水曜日に院内および院外の医療関係者を対象に、栄養療法啓発のための勉強会。がんセミナーとコラボするテーマに“がん患者さんの口腔管理と栄養摂取”を取り上げ、退院後の在宅支援の歯科衛生士としてご活躍の石黒幸枝さんによる特別講演と、歯科口腔外科医師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士ら多職種で関った症例発表により、共通のテーマについて勉強しました。
 石黒さんの講演では、全国の病院で歯科口腔外科を標榜する病院が2割にとどまっている現状に触れ、いかに患者さんの口腔管理が見落とされがちな状況にあるか、また例え入院中に手厚くケアされていた患者さんであっても、退院後おろそかにされてしまいがちな口腔ケアの実態をアンケート調査を例に紹介され、在宅に移行しても切れ目のない支援の継続性が必要だと訴えられました。また、後半には終末期のがん患者さんの口腔内状況で悪化しがちな問題を取り上げ、最期まで経口摂取できるような口腔管理の重要性についても訴えられました。
 そのあとのキャンサーボードでは、ひとつの症例を看護師、管理栄養士、言語聴覚士の視点から捉えたサポートのあり方が提示され、術前からの介入とチーム医療のタッグにより、患者さんを支えた成功例として発表されました。
 次回のがんセミナーは、6月7日(木)18:00〜がん患者さんの疼痛マネジメントについて取り上げます。

伊藤 明彦先生

総合司会

石黒 幸枝先生

特別講演講師

堤 泰彦先生

症例検討座長

安井 絢子看護師

症例発表

 畠中真由NST専従栄養士

症例発表

白石智順言語聴覚士

症例発表

第21回東近江がん診療セミナー

平成30年4月12日(木)18:00〜


 一昨年から始めた『東近江がん診療セミナー』も今年で3年目。今年度初回の『第21回東近江がん診療セミナー』は、がん診療における円滑なチーム医療を目指して、3つの部署から発表いただきました。
 まず最初の発表は、滋賀県第3期がん対策推進基本計画の中で、がん医療の充実の中で重点項目のひとつとして掲げられている(がんリハビリテーション)について。がん治療における障害をがんリハにつなげるための看護師の役割や、がんリハチームの活動内容など、単にがんの治療だけに留まらず、がんとともに生きて行く患者さんのQOL向上を目指して、当院での取り組みについて、発表がありました。
 2つ目の発表は(がん性疼痛)に取り組む緩和ケアチームの活動とがん性疼痛パスの運用方法について。3つ目の発表は(外来化学療法)について、入院治療から外来治療へ移行する患者さんに対する治療や生活に関する不安を解消するための看護師や薬剤師の役割について発表がありました。
 新入職員を含む101名(院外5名含む)が参加した今回のがんセミナーでは、当院のがんに関する取り組みの概要を紹介できた有意義なセミナーであったと思います。また、院外の参加者にこれらの活動を知って頂けたことも、大きな成果であったのではないかと思いました。
 次回のがんセミナーは、5月16日(木)18:00〜『ひがしおうみ☆栄養塾』との合同企画で、がん患者さんの口腔ケアと栄養摂取について取り上げます。

目片 英治先生

業務内容発表

村井 智絵看護師

業務内容発表

宮城 暢子看護師

業務内容発表

朝日 信一薬剤師

業務内容発表

 長谷川英利薬剤師

業務内容発表

平塚 久恵看護師

業務内容発表