東近江がん診療セミナー

 

第62回東近江がん診療セミナー

令和5年3月2日(木)17:30〜 


 今年度最後のがんセミナーは、最近注目されている「がん治療と循環器疾患」について、当院の循環器内科部長・大西先生と滋賀医科大学の循環器内科・塩山先生の2演題で開催しました。
  近年、生活習慣の欧米化と高齢化が進んだわが国おいて、循環器疾患を併発するがん患者さんが増えてきました。高齢者や心血管疾患のハイリスク患者さんにがん化学療法を行った場合、高率に心不全になると考えられており、また新しいタイプの抗がん剤は心筋炎や血栓塞栓症を引き起こすことも指摘されています。副作用の早期発見には血液検査や心エコー検査が役立つといわれています。
 塩山先生の演題のサブタイトルである〜腫瘍循環器診療体制の構築にむけて〜の「腫瘍循環器」は、高齢化や新しいタイプのがん治療薬の登場を背景に生まれたもので、がん治療と循環器疾患を安全にスムーズに行うこと、またがん治療後の晩期障害をフォローすることなどを目的とした世界的にも注目を集めている領域です。今回のセミナーのような啓発活動を通じて、腫瘍循環器診療の実際を知っていただき、診療の実践に伴う院内連携、さらには滋賀県内での病院連携にまで拡大して、体制づくりを行っていきたいと抱負を述べていただきました。
 なお、今回のセミナーは滋賀県の『令和4年度地域医療介護総合確保基金事業』の事業として開催しました。急速に少子高齢化が進む中、いわゆる「団塊の世代」が75歳以上となる2025年に向け、「効率的かつ質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」が急務となっており、これらの取り組みを推進するため、国は平成26年度から消費税増税分を活用した地域医療介護総合確保基金を各都道府県に創設し、財政支援を行っています。今回のセミナーはその事業の一環として、開催しました。
 
 次回『第63回東近江がん診療セミナー』は、未定です
★がんセミナーは会場とZoomの併用で開催。Zoom参加をご希望の方は、東近江総合医療センター地域医療連携室(E-mail:402-chikirenkei@mail.hosp.go.jp)までメールをお願いします。

内貴乃生先生

座長

大西正人先生

第1部講演

塩山 渉先生

第2部講演

会場の様子

第61回東近江がん診療セミナー

令和5年2月2日(木)17:30〜 


 今月のがんセミナーは、時間を30分に短縮して1演題のみ、また電子カルテを用いた発表となるため、Zoom配信はなしで院内のみの参加者に限定して開催しました。
 演題は『RPA(Robotic Process Automation)活用事例の紹介』で、当院薬剤部で運用されているロボット活用術について薬剤部長の畝 佳子先生に発表して頂きました。
 RPA(Robotic Process Automation)とは、私たちが日々行っているパソコン上の作業を代わりに実行してくれるソフトウエアのロボットです。多くのデータからパターン分析や処理を自律的に判断して行うAIとは違い、決められたルールに沿って処理を実行するRPAは、作業自体は大したことないが、面倒な作業やミスが許されない作業を任せることができ、仕事の効率化に役立っていると言います。早朝に今日必要なデータの抽出から加工、プリントアウトまでをの作業を命じておけば、始業開始ととに業務にとりかかることができ、働き方改革にも役立つと期待されています。
 薬剤部ではこのノウハウを「プレアボイド」へ活用できないかと検討中で、人間の判断を必要とする仕事、薬剤師免許がなくてはできない仕事、新たな役割、他職種からのタスクシフトなど業務を整理して、専門職としての機能をもっと発揮できる病院として、フロントランナー的な取り組みが行われています。
*プレアボイドとは・・日本病院薬剤師会では、薬剤師が薬物療法に直接関与し、薬学的患者ケアを実践して患者の不利益(副作用、相互作用、治療効果不十分など)を回避あるいは軽減した事例を”プレアボイド”と称して報告を収集しており、年間数千万件の報告が集積されている。
  
 次回『第62回東近江がん診療セミナー』は、3/2(木)17:30〜開催予定(腫瘍循環器)です。
★がんセミナーは会場とZoomの併用で開催。Zoom参加をご希望の方は、東近江総合医療センター地域医療連携室(E-mail:402-chikirenkei@mail.hosp.go.jp)までメールをお願いします。

目片英治副院長

総合司会

畝 佳子薬剤部長

発表
 

きらめきホール

 会場

第60回東近江がん診療セミナー

令和4年12月1日(木)17:30〜 


 今月のがんセミナー第1部は、『当院における経膣的内視鏡下手術(vNOTES)の初期経験について』の演題で、東近江総合医療センター産婦人科の北澤純先生に発表して頂きました。
 NOTES(Natural Orifice Trasluminal Endoscopic Surgery)とは、自然孔を利用した内視鏡手術で、腹部に傷がないため、患者さんにとって低侵襲な術式です。産婦人科領域以外でも、外科領域では胃を経由して胆嚢を摘出する方法や、直腸を経由して行う方法もあります。また泌尿器科領域でも腎臓にアプローチするために膣や腸などを利用した様々なNOTESが考案されています。しかし、他科では目的の臓器に到達するために胃や腸管など健常臓器を穿通しなければならないため、主流とならない理由のひとつとなっていますが、vNOTESの場合、アプローチする膣はもともと子宮摘出後に閉鎖する予定ですので、新たな傷を増やさないという意味でも理にかなった方法だと考えられます。
 当院の産婦人科では、2022年5月よりvNOTES手術を開始し、11月までに21例を経験。子宮摘出術を例にとってみると、従来の腹腔鏡手術では3時間程度かかった手術が、vNOTESでは2時間弱で終えることができるといい、なにより患者さんにとって術後の痛みがほとんどなく、炎症反応もほとんどないということが最大のメリットです。今後も安全に施行できるよう、適応の拡大も含め、検討していきたいとのことでした。
 第2部では『WOCが伝えたい!がん患者の皮膚アセスメントとスキンケア』の演題で、東近江総合医療センターの皮膚・排泄ケア認定看護師の続宗敬子さんに発表して頂きました。
 W(Wound)=傷・O(Ostomy)=ストーマ(人工肛門、人工膀胱)・C(in Continence)=失禁(尿や便の漏れ)の頭文字からWOCナースといわれる皮膚・排泄ケア専門の看護師は、ケアの実践だけでなく、医師や看護師等から相談を受けたり、ケア方法について指導したりする役割があります。
 化学療法や放射線治療により、皮膚のトラブルを訴える患者さんは多く、その症状は手足症候群、発疹・紅斑、過敏症、色素沈着、爪の変化、ざ瘡様皮疹、乾燥・亀裂、爪囲炎、白斑などさまざま。こうした症状によって患者さんは身体的苦痛を強いられるばかりでなく、外見の変化に伴う精神的苦痛も伴います。皮膚障害を完全に防ぐことは難しいのですが、早期に対処することでうまくコントロールしていけるよう、体の洗い方やお湯の温度、保湿剤や衣類の選び方まで、日常生活におけるちょっとした工夫について教えて頂きました。
  
 次回『第61回東近江がん診療セミナー』は、2/2(木)17:30〜開催予定(内容未定)です。
★がんセミナーは会場とZoomの併用で開催。Zoom参加をご希望の方は、東近江総合医療センター地域医療連携室(E-mail:402-chikirenkei@mail.hosp.go.jp)までメールをお願いします。

寺田好孝医師

第1部司会

北澤 純医師

第1部発表

打越智子師長

第2部司会

続宗敬子看護師

 第2部発表
 

きらめきホール

 会場

第59回東近江がん診療セミナー

令和4年10月6日(木)17:30〜 


 3ヶ月ぶりとなりました今回のがんセミナー第1部は、『がん患者さんへの外見への支援〜脱毛に対するアピアランスケア〜』の演題で、東近江総合医療センター外来化学療法室看護師の平塚久恵さんに発表して頂きました。
 抗がん剤の副作用として、真っ先に思いつくのが髪の毛が抜けてしまうかも・・という不安。細胞分裂が活発な毛母細胞はがん薬物療法によって障害されやすく、治療開始から脱毛が生じるまでの期間は平均18日だそうで、人よっては急激な外見の変化に苦痛に感じる方もいらっしゃいます。外見の変化に伴う自分らしさの喪失や、他者との関係性が変化するのではないかという不安に対し、医学的・整容的・心理社会的な支援を用いて外見の変化を補完し、患者さんの苦痛を軽減するのが「アピアランスケア」です。
 洗髪の仕方やウイッグの選び方、いつになったら生えてくる?などなど、患者さんの日々の生活において感じる疑問や不安を軽減するためには、医療者から副作用の情報を予め聞いておいくことは、心の準備をするのに役立ちます。抗がん剤の治療は長い付き合いになることが多いので、こういった患者さんとの信頼関係を積み重ねることで、患者さんが前向きに治療に取組めるように支援するのも、私たち医療者側の役目であることを改めて感じました。
 第2部では『プレアボイドによる化学療法継続事例』の演題で、東近江総合医療センターの市原英則薬剤師に発表して頂きました。
 ”プレアボイド”とは、Prevent and avoid the adverse drug reaction(薬による有害事象を防止・回避する)という言葉を基にした造語です。日本病院薬剤師会では、薬剤師が薬物療法に直接関与し、薬学的患者ケアを実践して患者の不利益(副作用、相互作用、治療効果不十分など)を回避あるいは軽減した事例を”プレアボイド”と称して報告を収集しており、年間数千件の報告が集積されています。(愛媛県薬剤師会HPより抜粋)
 発表の後半では、抗がん剤によるざ瘡様皮膚炎に対し薬剤師が介入した事例を紹介し、患者さんが習慣にできるようなスキンケアの方法や提案を行い、改善した経過を確認しました。
  
 次回『第60回東近江がん診療セミナー』は、12/1(木)17:30〜開催予定(内容未定)です。(11/3(木)は祭日のためお休みです)
★がんセミナーは会場とZoomの併用で開催。Zoom参加をご希望の方は、東近江総合医療センター地域医療連携室(E-mail:402-chikirenkei@mail.hosp.go.jp)までメールをお願いします。

才田智子師長

第1部司会

平塚久恵看護師

第1部発表

尾崎良智先生

第2部司会

市原英則薬剤師

 第2部発表
 

きらめきホール

 会場

第58回東近江がん診療セミナー

令和4年7月7日(木)17:30〜 


 7月7日七夕のがんセミナー第1部は、肺がんの治療薬としてよく使用される『ペンブロリズマブ』の副作用について取り上げました。一般名『ペンブロリズマブ』は免疫チェックポイント阻害薬のひとつで、投与後irAE(免疫全般が過剰に活性化され、免疫が自分自身を攻撃すること)を引き起こすことがあるといわれています。免疫チェックポイント阻害剤による治療にあたっては、免疫関連副作用と考えられる症状にはどういったものがあるかを知り、患者さんや家族も含めた理解と情報の共有が必要です。薬剤部では、薬剤の投与による副作用を説明したパンフレットの配布や治療日誌を記録の必要性を説明しているが、非常に幅広い副作用症状の中から患者さんが副作用ではないかと認識し、治療につなげるのはなかなか難しいという。副作用を早期に発見し対処すれば抗がん剤治療を中断することなく治療が継続できるため、患者さんへどうアプローチしていくか、多方面でディスカッションを行いました。
 第2部では『化学療法を行う肺癌患者への指導について』を取り上げ、ペンブロリズマブを使用する患者さんに対し、看護師と薬剤師の介入事例について発表がありました。抗がん剤治療や副作用症状の理解の促しと、患者さん自身の治療に対する不安や悩みの聞き取りにより、漠然としたイメージを個別かつ具体的に解決していくことで、患者さんの気持ちの整理につながり、思いを共有することで得られる信頼関係により、良い治療効果につながることを目指しているといいます。薬剤師は専門的なお薬の話を理解しやすい言葉で繰り返し説明することや、自宅での副作用出現時の対応策や治療日誌を記入する際のポイントなどもアドバイスしているとのことで、それぞれ役割に応じた患者支援の在り方を発表していただきました。
  
 次回『第59回東近江がん診療セミナー』は、9/2(木)17:30〜開催予定(内容未定)です。
★がんセミナーは会場とZoomの併用で開催。Zoom参加をご希望の方は、東近江総合医療センター地域医療連携室(E-mail:402-chikirenkei@mail.hosp.go.jp)までメールをお願いします。

庄野副薬剤部長

第1部司会

永井外科医師

第1部発表

池上看護師長

第2部司会

外川看護師

 第2部発表
 

市原薬剤師

 第2部発表

第57回東近江がん診療セミナー

令和4年6月2日(木)17:30〜 


 6月のがんセミナーは院外の施設、診療所、入職したコメディカルへ向けての院内部門紹介や活動報告について、当院のチーム医療という視点で紹介を兼ねた内容で開催いたしました。
 事例はがんの再発で入院となった患者さんで、入院そのものへの不安に加え、医療用麻薬や化学療法などの薬に対する不安や恐怖、また自己決定することへのためらい、退院への向けての調整などについて各部門のスタッフがどのように介入し、患者さんの不安を軽減していったかについてリレー方式で発表していただきました。
 薬剤師からは医療用麻薬のメリットとデメリットを説明し、痛みは我慢せず訴えてよいこと、また化学療法による副作用にはどのようなものがあり、発生時の対処法をあらかじめ伝えることで、不安を解消してもらうようにしたことを発表、また管理栄養士からは薬による嘔気やほてりなどの副作用に対し、冷配膳や栄養補助食品で対応し、退院後の食事についても宅配食や分割食の情報提供を行ったことなどを発表してもらいました。また、退院にあたっては家族も含めた情報共有に努め、地域医療連携室の退院支援看護師による社会資源の調整や医療処置・ケアの指導・住環境の調整について、コロナ禍での面談の工夫を含め、患者支援の実際について報告がありました。
 第2部では、今年度から専従となった緩和ケア認定看護師から緩和ケアについて簡単なおさらいがあった後、現在行っている緩和ケアチームの活動や依頼方法、今後、がん診療・看護の充実に向けて強化していきたい課題や展望などについて説明がありました。
 
 次回『第58回東近江がん診療セミナー』は、7/7(木)17:30〜「化学療法を行う肺癌患者への指導」について開催させて頂きます。
★がんセミナーは会場とZoomの併用で開催。Zoom参加をご希望の方は、東近江総合医療センター地域医療連携室(E-mail:402-chikirenkei@mail.hosp.go.jp)までメールをお願いします。

林看護師長

第1部司会

荒川主任薬剤師

薬剤部

高屋薬剤師

薬剤部

井上主任栄養士

 栄養管理室

家中主任理学療法士

リハビリテーション科

木下看護師

地域医療連携室

野田看護部長

第2部司会

宮城看護師

 緩和ケア認定看護師

第56回東近江がん診療セミナー・第69回ひがしおうみ栄養塾(共同開催)

令和4年5月19日(木)17:30〜 


 毎年5月のがんセミナーはひがしおうみ栄養塾とコラボ開催をしていますが、今回は滋賀医科大学栄養治療部の栗原美香先生をお招きして『重症患者への早期経腸・経口栄養管理』の題目でご講演をしていただきました。
 令和2年度の診療報酬改定により、患者さんの早期離床、在宅復帰を推進する観点から集中治療室(ICU)における早期栄養介入管理加算が新設され、さらに令和4年度の改定では高度治療室(HCU)にも拡大されました。
 重症患者さんへの栄養管理については「栄養投与ルートは経腸?経静脈?」「経腸栄養の場合、開始時期はいつから?」といった様々な悩みがつきものですが、エビデンスから引用された栗原先生のお話は非常にわかりやすく、熱心にメモをとりながら聴講する栄養士さんの姿が見られました。
 また、栗原先生が所属する大学病院でのICU専任管理栄養士による早期経腸栄養が開始できるようにする仕組みを紹介していただき、結果、感染性合併症や死亡リスクの軽減につながっている可能性が示唆されました。

 栗原先生のお話の後、当院栄養管理室の畠中さんからも今回の改定のポイントや、当院におけるシミュレーションや課題について提案があり、今後関係部署との連携が進められていく予定です。
 今回はひがしおうみ栄養塾とがんセミナーの共同開催ということもあって、会場71名、Web20名、合計91名もの参加がありました。これからも感染対策を徹底しながら、研修会を継続してまいります。
 
 次回『第57回東近江がん診療セミナー』は、6/2(木)17:30〜「がん診療に関わるチーム医療」と「当院の緩和ケアチームの紹介」について開催させて頂きます。
★がんセミナーは会場とZoomの併用で開催。Zoom参加をご希望の方は、東近江総合医療センター地域医療連携室(E-mail:402-chikirenkei@mail.hosp.go.jp)までメールをお願いします。

伊藤明彦先生

総合司会

栗原美香先生

特別講演

畠中真由管理栄養士

話題提供

会場の様子