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研究の背

小児がん患児と

2006年にが

されて、 滋賀県でも

会が立ち上げられ、 2

がん患児の実情を明らかに

ンケート調査が実施さ まし

中で、 両親は将来の子どもの進学

への不安や精神的負担、 付き添いや

児の兄弟姉妹の育児負担、 経済的負

担、 教育環境などさまざまな悩みをか

かえていることがわかりました。 さらに、

「病気や治療、 今後の生活について相

談できる窓口がほしい」 「どこに相談に

行けばいいかわからない」 といった声を

受けて、 小児がん患者支援検討会でよ

り詳細な調査を行うことに りました。

滋賀県が目指す 「小児がん患児 ・ 家

族の相談支援体制」 の充実に向けて、

小児がん患者 ・ 家族の現状とニーズにつ

いて明らかにするため、 本学の臨床看

護学講座が県の依頼を受けて、 小児が

んの子どもを育てる親御さんを対象に

インタビュー調査を行いました。 その成

果を受けて将来的に 「小児がん患者支

援コーディネーター」 を設置し、 滋賀県

の新たな相談支援体制の構築を目指

すことになりました。

調査で見えたこと

入院中の苦労、退院後も続く再発の不安

先の県の調査では、 親が困ったこと

や心配し 学就職の不安

いうことがあり

院後、 自宅に帰って

れることが多いのでは

れていました。 しかし、 実

ビュー調査を行ってみると、

いへんなご苦労をされていたこと

かりました。

子どものために

24時間付き添いをす

る家族にとっ ては、 病院が生活する場所

になります。

「自分の家ではない」 とい

うことの気苦労は想像以上で、 施設の

構造的な問題があったり、 同室者に気

を使ったり、 マナーやルールを守らない

人がストレスになったりします。 小児が

んの治療は特に入院期間が長くなるた

め、 遠くから来られるご両親には負担

も大きくなります。 生活しているとい

う点では他の病棟でも同じですが、 親

がつねに付き添っ ているのは小児病棟だ

けで、 健常な人が生活していくにはかな

り特殊な環境です。

「それがたいへんなことはわかってい

るつも ですが、 お母さんたちが思って

いるところにピンポイントで対応するの

は難しく、 そこまで生活をしている人の

目線になれていなかったのかもしれませ

ん」 と桑田教授。

また、 あるお母さんが 「退院後も

に再発の不安に悩まされていることを、

医療者の人にわかってほしい」 と言われ

SHIGA IDAI NEWS vol.28

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滋賀県における

小児がん患児と

家族への支援

臨床看護学講座(小児)教授 桑田 弘美

小児科学講座 准教授

多賀 崇 

看護部 腫瘍センター 副看護師長 木村 由梨

臨床看護学講座(小児)学内講師 白坂 真紀

 2013年に小児がん拠点病院が選定され、

本格的な子どものがん対策が始まりました。

 滋賀県でも2012年に小児がん患児実態調

査が実施されました。ここから見えてきた家族

の悩みや声に応えるため、本学医学部看護学

科臨床看護学講座(小児)では家族に面接調査

を行い、小児がん患児の家族と現状について

まとめた報告書「滋賀県における小児がん患

児・家族の現状とニーズ」を発表しました。

 調査からは、入院中から退院後も安心して

子どもとそのご家族が生活できるよう、さらに

きめ細かな支援が必要であることが明らかに

なりました。