当科では、紹介医師との密接な連携により、特に緊急度が高く、即座に的確な判断が求められる循環器疾患において、常に最良なタイミングで、また他科との連携を密に、大学病院という利点を最大限に活用して、妥協のない最高水準の医療を提供すべく努力してまいりました。超重症、緊急症例を問わず、24時間態勢ですべての症例を受け入れる「No refusal policy」を貫き、年間300例を超える心臓大血管手術を施行してまいりました。
また、確実で完成度の高い手術を短時間で行い、術翌日から積極的なリハビリを行うことで初めて可能になるSuper Fast-Track Protocol(超早期回復管理)をすべての症例に導入し、術後1~2週間での退院を可能にしてきました。
これらの実績は近年、国内外で高く評価され、有力な国際雑誌に多数掲載されるようになってきました。
(人工心肺を使わない冠動脈バイパス手術)
狭心症、心筋梗塞に対するこの手術では、術中血圧が安定し、心臓の拍出機能が保たれていることが大前提です。動いている心臓の後面に位置する1-2mmの冠動脈に、短時間で確実な吻合を成し遂げる技術と経験が要求されます。この手術は従来の人工心肺を用いる手術に比べ、出血が少なく、心筋の障害が少なく、そして従来の手術では重症の患者さんで問題となった脳硬塞の発生や腎臓機能の悪化が回避できるようになりました。
浅井は前施設の経験を含め、これまで最高齢98歳、急性心筋梗塞の緊急手術や著しい心不全の患者さんを含め1,800例以上の手術をすべて完遂してきました。このことは、いまや当科で国際水準の心臓手術が行われていることの証でもあります。
(Qualityの高い弁膜症手術)
「悪い弁はただ取り替える」のではなく、弁自体の病態、心機能、個々の患者さんの手術後の生活に応じた手術を行います。
特に僧帽弁閉鎖不全に対する本格的再建(形成)手術は、浅井の専門であり、ニューヨーク大学での徹底した修練、研究をもとに、この8年間で400例ほどの手術を行い、僧帽弁閉鎖不全全体のうち、形成術施行率は96%を誇ります。
(Super Fast-Track Recovery)
当科では、これまで大侵襲が当たり前であった手術を、ほとんどの患者さんで術翌日には通常の食事ができ、ベッドから降りて歩行できる程の早期回復管理(Super Fast-Track Recovery)に成功しました。こうした術後経過は、80歳をこえる超高齢者の手術においても例外ではありません。
(No Refusal Policy による緊急、重症患者の完全受け入れ体制)
LMT症例、心原性ショック症例、PTCA/Stent bail-out不能例、急性A型大動脈解離などの緊急症例に対しては、これまで紹介医との連絡から手術開始まで時間短縮と、迅速な手術施行で対処します。また、低左心機能、他臓器の傷害を抱える重症症例、高齢者に対しても万全のICU管理で対応いたします。
(新しい試み)
2009年より、著しい左心室の拡大をきたした拡張型心筋症に対し、バチスタ型左室形成術を行っております。非常に良好な成績であり、薬物治療など内科的治療の限界症例がありましたら、一度ご相談いただければ幸いです。
2009年7月より、大動脈瘤破裂や、急性A型解離など、特に一刻を争う症例では、手術部や麻酔科との連携のもと、救急車から直接手術室に搬入し、少しでも救命率を上げる努力を行い、多大な成果を上げており、新聞やテレビでも取り上げられ、高い評価を得ています。
昨年より、滋賀医大附属病院もステントグラフト治療の認定施設として、胸部下行および腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療を開始しております。開腹手術が困難なハイリスク患者さまには朗報であり、地域の先生方、あるいは患者さん、ご家族など、ぜひ相談いただければと思います。
(心臓血管外科コンサルト)
従来の大学病院と異なり、心臓血管外科スペシャリストとしていつでもご相談を承ります。医局だけでなく、病棟ホットラインもご自由に使用いただければ幸いです。1年365日24時間、いつでもスタッフが常勤しております。 臨床の最前線で活躍される先生方、心臓の病で不自由、不安をお持ちの方に、微力ながらお力になりたいと思っています。
近年ますます重症化、複雑化、高齢化する循環器疾患に対して、我々は以前からより低侵襲な手術を試みています。
特に、冠動脈疾患の短期、長期予後に最も優れていると報告されている、2本の内胸動脈を用いた心拍動下冠動脈バイパス術は、我々の最も得意とする手術のひとつで、透析、重症多肢病変、大動脈バルーンパンピング導入症例なども含め、過去8年間で750例を超える心拍動下冠動脈バイパス術を完遂してきました。症例数、成績ともに全国トップの成果を収めています。
また、一般にはリスクが非常に高いといわれる胸部大動脈手術でも、手術手技の工夫・向上により、弓部大動脈置換術ですら、早ければ3時間以内で手術を終えることができ、Super Fast-Track Recoveryにより、通常の心臓手術と同様の早期回復を実現しています。