教育目標

近年、生命科学の分野は著しく進歩し、医学に関する知識量は膨大となり、また新たな学問分野も生まれつつある。一方、医学・医療に対する社会のニーズは多様化し、医療・医学のみならず、生命科学、福祉、国際医療など様々な分野において、有能な人材が求められている。本学においては医学教育の質を高め、国際化に対応できる水準を確保する必要性から、学習内容や方法の改善に努めている。

カリキュラムは「モデル・コア・カリキュラム」を基本とし、最新の生命科学の進歩を取り入れ、その上に幅広い教養と倫理観を身につけることを目標に構成されている。すなわち講義は系別統合講義として、基礎医学と臨床医学を組み合せ理解しやすくするとともに、少人数能動学習により自らが課題を探求し、問題を解決していく能力と、さらに討論を通じてコミュニケーション能力を育てる。臨床実習においては、見学型から参加型のクリニカルクラークシップを実施する。

グローバル・スタンダードの臨床能力を養う

  1. 医療人として倫理観を身につける
  2. 疾病についての基本的な知識と理解力を持つ
  3. 基本的な診療技術とコミュニケーション技術を身につける
  4. 健康と疾病予防に関する知識と理解する能力を持つ

医学・医療の進歩に対応し、さらに貢献できる能力を養う

  1. 自主的能動学習により問題解決型能力を身につける
  2. コミュニケーション、情報収集の技術を身につける

カリキュラムの特徴

学修成果基盤型教育(アウトカム基盤型教育 Outcome-Based Education(OBE))

滋賀医科大学では、学生が卒業時までに身につけておくべき知識・技能・態度に関する能力(アウトカム)を卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)に基づいて策定し、それを達成するようにカリキュラムを含む教育全体を作成する学修成果基盤型教育(アウトカム基盤型教育)を行う。

授業科目/アウトカム対応表

プロフェッショナリズム教育

医師・医学研究者に求められる高い倫理観を涵養するために、プロフェッショナリズム教育を第1学年から第6学年まで段階的にかつ継続して行う。

第1学年では、医学概論I、II、早期体験学習、附属病院体験実習、行動科学基礎、全人的医療体験学習などの講義(小グループによる討論会形式、ロールプレイ形式を含む)や実習を行い、医療や福祉のさまざまな実践活動に触れ、医療者として相応しい人間性、高い倫理観や能動的学習態度を身につけることを目指す。

第2学年では、地域医療体験実習Iにおいて、地域で展開されている医療・保健・福祉の現場に参加し体験することにより、地域医療の実際について学び、かつ医療人に求められている職責について自覚する。また、倫理学では、生命倫理に関する諸問題について深く考える機会とする。

第3学年から第4学年における医の倫理I、II、III(講義、小グループによる討論会形式、ロールプレイ形式)では、医学研究領域及び医療領域における社会的・倫理的な課題(医師患者関係、生命倫理、緩和医療など)について学び、自ら深く考える機会とする。さらに、社会医学フィールド実習を通して、医師に求められている疾病発症予防や健康増進に関わる職務・役割について学ぶ。地域医療体験実習IIでは、地域医療体験実習Iで学んだことをさらに発展させる。

第4学年から第6学年における臨床実習、臨床実習(学内アドバンスコース)及び学外臨床実習では、疾病に関する知識、基本的な診療技術に加え、患者さんに深い敬意と思いやりを持ち、また医療チームのスタッフと良好な関係を築き医療を実践していく能力を育成する。

診療参加型臨床実習(クリニカルクラークシップ)

第4学年に実施される共用試験であるコンピュータを用いた客観試験(Computer Based Testing(CBT))及び客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination(OSCE))により、診療参加型臨床実習を行うに必要な知識・技能・態度を有するかを全国レベルで評価を行う。合格者は、第4学年から第6学年における臨床実習、臨床実習(学内アドバンスコース)、学外臨床実習を行い、診療チームの一員として医師として必要な高い倫理観や疾病に関する知識、基本的な診療技術や態度を学ぶことを目指す。

医学知識、問題対応能力およびコミュニケーション能力

臨床医学の各分野は、系別統合講義として臓器別にまとめ、関連する基礎医学講座や臨床医学講座が連続して講義を行う。また、少人数のグループで主に症例を用いて行う少人数能動学習では、課題発見能力、問題解決能力、能動的学習態度やコミュニケーション能力を養成することを目指す。

科学的探求心

医学・医療の発展のための医学研究の重要性を理解し、科学的探求心(リサーチマインド)を養うために、学生自らが研究活動に従事する実習科目である基礎医学研究入門(第1学年前期~第2学年前期、選択)と研究室配属(自主研修)(第3学年の8~9月、必修(※平成28年度以前入学者は、第4学年の8~9月、必修))を行う。基礎医学研究入門では、入学後早い段階から医学研究に興味を持ち、研究を開始できるように、主に基礎医学講座とセンターでの研究機会を提供する。研究室配属では、学内研究施設に加えて、国内研究施設や海外の研究施設で最低4週間の研究を行い、その成果を論文形式でまとめる。なお、その成果は学内、学外の研究会などで発表することを強く推奨する。

また、国内の分子細胞生物学、神経科学、遺伝学、生理学、生化学、免疫学、臨床医学の各分野のトピックスについて第一人者の先生方に紹介していただく医学特論を第1学年に開講しており、医学研究の醍醐味を味わってほしい。

医学教育モデル・コア・カリキュラムへの準拠

滋賀医科大学のカリキュラムは、医学教育モデル・コア・カリキュラムを参考にしており、滋賀医科大学の授業科目とモデル・コア・カリキュラムの対応について以下に記す。なお現在、医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)の策定が進んでおり、その公表後には、改訂内容に基づき授業科目の見直しを行う予定である。

医学部医学科の三つのポリシー(方針)

滋賀医科大学では、その理念・使命に基づき、育成するべき人材像を明確化し、それに必要な教育課程を編成し、体系的・組織的に教育を行うとともに、その教育を受けるに相応しい学生を入学者として選抜することにより、その使命を果たす。

医学部医学科における、卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)及び入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)を以下に示す。

卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)

  1. 豊かな人間性と確固たる倫理観を身につけ、医のプロフェッショナリズムを実践することができる。
  2. 発展し続ける基礎医学、行動科学、社会医学、臨床医学を十分に理解して、それらを診療や研究の場で活用することができる。
  3. 基本的臨床技能や臨床推論能力を持ち、かつ実践することができる。
  4. 十分なコミュニケーション能力や協調性を持ち、患者や医療スタッフと良好な関係を築き、多職種間連携も円滑に行うことができる。
  5. 自己主導型学習能力や生涯学習態度を身につけ、それらを実践することができる。
  6. 福祉・介護を含む地域医療に対して十分な理解を有し、地域社会の要請に応えることができる。
  7. 研究マインドを持ち、基本的研究手技を習得し、医学研究を通して国際的に貢献する素養を身につけている。
  8. 国内及び国際社会における保健と医療行政を理解し実践することができる。

教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)

  1. 一般教養科目、医の倫理、医学英語を6年一貫教育カリキュラムの中に配置して、豊かな教養や国際性、医療人としての確固たる倫理観及び社会性を養う。
    また、医学医療に直接関連する授業科目や実習を入学後早期から開講し、学生の医学修得の動機付けを積極的に行う。
  2. 基礎医学科目では、講義に加えて少人数で行う実習と演習も重視して、基本的概念の理解を助ける。臨床医学では、臓器・器官別に講義を行い、疾患の系統的理解を助ける。
  3. 横断的臨床領域の具体的な症例をグループ討論や個人学習で学ぶ少人数能動学習を行い、問題発見・解決能力、自己開発能力、臨床推論能力を養う。さらにはコミュニケーション能力や協調性の育成も図る。
  4. 学内臨床実習では、学生はスチューデントドクター(Student Doctor)として、指導医(教員)の教育・指導のもとに診療チームの一員として診療に参加し、基本的臨床技能や臨床推論能力を身につける。さらに、学外臨床実習では、地域の医療機関で実習を行い、地域医療や福祉・介護の実際を体験して、その理解を図る。
  5. 自ら研究テーマを設定し国内外で研究活動を行う研究室配属(自主研修)により、医学研究を体験し、研究に対する意欲や理解力を養う。
  6. 医学概論、医学特論、公衆衛生学・社会医学フィールド実習などの講義・実習を通して、国内外の保健や医療行政など人々の健康増進に必要な社会医学の役割と課題について理解を深める。

入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)

近年、生命科学の分野は著しく進歩し、医学に関する知識量は膨大となり、また新たな学問分野も生まれつつある。一方、医学・医療に対する社会のニーズは多様化し、医学・医療のみならず、生命科学、福祉、国際医療など様々な分野において、有能な人材が求められている。このような状況の中、本学の理念に基づき、医療人に必要な学識・能力・技能を習得する素養を持ち、医学の修得に真摯に、また熱意を持って取り組む、次のような人材を求めている。

求める学生像

  1. 医学の修得に必要な幅広い基礎学力と応用力を有する者
  2. 十分なコミュニケーション能力を持ち、協調性や他者への思いやりのある者
  3. 大いなる好奇心を持って、自ら考え自ら解決する気概のある者
  4. 地域医療に深い関心を持ち、特に滋賀県の医療に貢献する意欲を持つ者
  5. 国内外における医学・医療研究の実践及び発展のために、生涯を通じて真摯に取り組む者

入学者選抜の基本方針

「求める学生像」に沿った人材を選抜するために、一般入試、推薦入試(滋賀県枠を含む)、第2年次後期学士編入学試験(地域枠を含む)を行っている。

滋賀県枠、地域枠では、滋賀県の医療に情熱を持って従事しようとする者を望んでいる。

一般入試(前期日程)

大学入試センター試験、個別学力検査、面接及び調査書を総合して選抜を行う。大学入試センター試験では幅広い基礎学力を測り、個別学力検査では、「数学」、「理科」、「外国語(英語)」を課すことにより、自然科学分野における幅広い教養と深い知識、応用力とともに、理解力、読解力、語学力を測る。面接及び調査書では意欲、協調性、倫理観、コミュニケーション能力等を評価する。

推薦入試

学校長の推薦書、調査書、志願理由書並びに大学入試センター試験、小論文、面接を総合して選抜を行う。大学入試センター試験では幅広い基礎学力を測り、小論文では理解力、思考力及び表現力を評価し、調査書などの提出書類と面接では地域医療への意欲、協調性、自己表現力、リーダーシップ、倫理観、コミュニケーション能力等を評価する。

第2年次後期学士編入学試験

学力試験(第1次試験)の合格者に、第2次試験(小論文及び面接)を行い、第1次試験の結果と総合して選抜を行う。学力試験では、大学教養教育修了程度の総合問題(生物学、物理学、化学及び統計学)及び外国語(英語)を課す。小論文及び面接では、意欲、論理的思考力、問題解決能力、倫理観、コミュニケーション能力、協調性、リーダーシップ、自己表現力等を評価する。