はじめに

 国立大学法人滋賀医科大学では「人類の健康増進への寄与」を理念のひとつとして掲げており、学生・教職員等の構成員は、「健康とは、身体的・精神的・社会的に完全に満たされた状態のことであり、単に病気・虚弱でないことではない」※ことを理解し、社会的な健康増進のためには、人々の多様性(Diversity:ダイバーシティ)に配慮し尊重する姿勢が肝要であることを理解しなければなりません。
 そのため、本学では、学生・教職員等の構成員の多様な性的指向と性自認(Sexual Orientation and Gender Identity、以下「SOGI」という。)を尊重し、SOGIを理由とする差別や偏見のない環境の整備を図るため、令和2年10月1日に「国立大学法人滋賀医科大学における多様な性的指向と性自認(SOGI:Sexual Orientation and Gender Identity)を尊重する基本的な理念と方針」を策定しました。
 本学は、この理念と方針に基づき、SOGIに関する構成員の意思・選択が尊重され、教育・研究・診療等の各場面において個性と能力が十分に発揮できる、「人類の健康増進への寄与」の達成に向けたダイバーシティ環境の実現に取り組みます。

※世界保健機関(WHO)憲章前文による。

令和2年10月1日
国立大学法人滋賀医科大学長
上 本 伸 二

国立大学法人滋賀医科大学における多様な性的指向や性自認(SOGI:Sexual Orientation and Gender Identity)を尊重する基本的な理念と方針

1.基本的な理念

 国立大学法人滋賀医科大学は、教育・研究・診療の使命を担った就学・就労の場であり、あらゆる不当な差別をなくし、人権が尊重される環境を作っていかねばなりません。このため、本学は、多様な性的指向や性自認(Sexual Orientation and Gender Identity、以下「SOGI」という。)を尊重し、SOGIを理由とする差別や偏見のない環境の整備に取り組みます。

国立大学法人滋賀医科大学は、SOGIを尊重する基本的な理念を実現するため、次の5つの方針を定めます。

2.基本的な方針

  1. SOGIに関して、本人の意思・選択を尊重します。
  2. SOGIを理由とする差別や偏見を禁止します。
  3. SOGIの多様性に関する学生・教職員の理解を促進します。
  4. SOGIに関する個人情報の保護を徹底します。
  5. SOGIに関連した就学・就労上の合理的配慮を図ります。

相談窓口等

  学生 教職員
悩み相談 学生課・保健管理センター(・学生何でも相談室) 男女共同参画推進室・保健管理センター
氏名・性別の取扱いについて 学生課学部教育支援係/大学院教育支援係 人事課人事係
ハラスメント ハラスメント相談窓口 ハラスメント相談窓口

 

SOGIを尊重する理念と方針に対応した学生生活のガイドライン

国立大学法人滋賀医科大学における多様な性的指向や性自認(SOGI)を尊重する基本的な理念と方針に対応した学生生活のガイドライン

 このガイドラインは、「国立大学法人滋賀医科大学における多様な性的指向や性自認(SOGI:Sexual Orientation and Gender Identity)を尊重する基本的な理念と方針」に基づき、本学に在籍する学生の多様な性的指向や性自認(Sexual Orientation and Gender Identity、以下「SOGI」という。)を尊重するため、大学として可能な具体的な対応を示しています。
 なお、このガイドラインのみで全ての希望に沿うことは困難なことから、対応にあたっては、まず本人の意思を確認のうえ、相談しながら、学生がより良い学びの環境を得るためのサポートを行っていきます。

 

 ※【印刷用】PDFは、A4判両面設定での印刷に最適化しています。

参考

1.性的指向(Sexual Orientation:セクシュアル・オリエンテーション)

 性的指向とは、人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうのかを示す概念を言います。具体的には、恋愛・性愛の対象が異性に向かう異性愛(ヘテロセクシュアル)、同性に向かう同性愛(ホモセクシュアル)、男女両方に向かう両性愛(バイセクシュアル)を指します。同性愛者、両性愛者の人々は、少数派であるがために、場合によっては職場を追われることさえあります。このような性的指向を理由とする差別的取扱いについては、現在では、不当なことであるという認識が広がっていますが、いまだ偏見や差別が起きているのが現状です。

2.性自認(Gender Identity:ジェンダー・アイデンティティ)

 性自認とは、自分の性をどのように認識しているのか、どのような性のアイデンティティ(性同一性)を自分の感覚として持っているかを示す概念です。「こころの性」と呼ばれることもあります。多くの人は、性自認(こころの性)と生物学的な性(からだの性)が一致していますが、この両者が一致しないために違和感を感じたり、からだの性をこころの性に近づけるために身体の手術を通じて性の適合を望むことさえあります(性同一性障害)。そして、こうした人たちが、偏見の目を向けられたり、職場などで不適切な取扱いを受けたりすることがあります。平成16年7月に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行され、この法律により、性同一性障害者であって一定の条件を満たす者については、性別の取扱いの変更の審判を受けることができるようになりました(平成20年6月の改正法によって条件を緩和)。

3.カミングアウト(Coming Out)

 カミングアウトとは、これまで公にしていなかった自らのSOGIを、個人の自由な意思により表明する行動を言います。注意すべき点としては、表明されたSOGIは個人情報であることに留意し、カミングアウトの対象範囲を確認するとともに、本人の意思を尊重しむやみに第三者に言いふらさないことです。「言いふらし(Outing:アウティング)」は、信頼して打ち明けられたことに対する重大な裏切り行為です。学生・教職員の一人ひとりがSOGIの理解者・支援者となることが期待されます。