令和2年10月1日
国立大学法人滋賀医科大学長 上本 伸二
大変暑かった夏もようやく終わり、ここ湖国にも秋の気配が濃くなって参りました。今年は新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延の中で、わが国も健康的な問題や経済的な問題だけでなく、教育においても激変の状況が続いております。
新型コロナウイルス感染症の状況は感染者数の減少を認め、教育・研究環境を含む社会状況が安定してきた状況におきまして、本日ここに令和2年度秋季滋賀医科大学大学院医学系研究科入学宣誓式を挙行できることを心から嬉しく思います。
博士課程医学専攻に入学された7名の皆さん、修士課程看護学専攻に入学された2名の皆さん、ご入学おめでとうございます。この中には「先端医学研究コース」に2名の外国人の方が入学されました。本学は皆さんを心から歓迎いたします。
皆さんはこれからの4年間、または2年間、医学・看護学のそれぞれの分野で研究を行うことになります。最初は研究者としての素養と基本的な研究遂行能力を修得するためのトレーニングの期間ですが、科学者としての心構えと倫理観を身に付ける重要な時間でもあります。科学者として偽りなく研究を真摯に遂行することは当然のことなのですが、近年のIT技術の進歩と情報公開制度の発達に伴い、ほとんどの研究成果が誰の目にもオープンとなる環境になってきました。研究成果のオープン化はあるべき姿として喜ばしいことですが、現状では研究不正事案の告発が後を絶たない状況となっております。当たり前のことですが、研究を公正に遂行することの重要性を認識して取り組んでください。一方で、研究で培った物事に真摯に取り組む習慣は、今後の医療の実践においても極めて重要な基盤となり、皆さんの大きな財産となります。
さて、皆さんは大学院生としてどのような研究に取り組んでいくのか、志を高く持たれていることでしょう。あるいは、医師や看護師として診療の現場での経験をもとに、研究テーマを温められているかもしれません。いずれにしてもこれからの皆さんの研究は、指導教員の指導を受けながらも世界で唯一無二のもの、皆さん自身のオリジナルな研究となります。また滋賀医科大学では多くの研究者が広い範囲で多くの基礎研究を行っています。指導教員と相談の上で新しい環境に飛び込んでみるのも、自分のキャリアを広げるのに役立つのではないかと思います。
皆さんの大学院での研究生活が実り多いものになることを願っております。
本日の滋賀医科大学大学院医学系研究科へのご入学をお祝いし、皆さんの今後のご活躍を心から祈念して、告辞といたします。