日程
2021.03.04

「新規3次元培養法の確立-がん創薬研究の発展に期待-」に関する記者説明会を開催しました。

がんの研究は多くの研究者が取り組んでいるところです。
がんを研究する方法として細胞培養がありますが、従来からの2次元培養(細胞は平面的に増殖)では、実験に用いた細胞が生体とは違った構造や機能を示すと報告されています。そこで、より生体に近く、立体的に増殖する3次元培養の開発が行われてきました。

今回、この3次元培養の開発に関して、滋賀医科大学医学・看護学教育センター向所賢一教授らと日本バイリーン株式会社との共同研究で、“Tissueoid cell culture system”(組織模倣型細胞培養システム)を確立しました。
本研究に関連して、国内特許1件、米国特許1件を取得し、英文論文4編が採択されています。

本件について、令和3年3月4日(木)に向所教授から報道機関に対して説明を行いました。

  • 組織模倣型細胞培養システムでは、がん細胞がCellbed TM(セルベッド)内の空隙を通り自由に移動でき、生体がん組織に近い立体構造を呈します。
  • これまで食道がん、胃がん、大腸がん、肝がん、前立腺がん、膀胱がん由来のがん細胞を用いた3次元培養に成功し、生体のがん組織に類似した構造を確認しました。
  • 組織模倣型細胞培養システムで培養したがん細胞の代謝物の多くは、免疫不全のマウスに移植し作製した移植片の代謝物と値が類似しており、機能的にもより生体のがん組織に近いと判断されます。
  • より生体に近い培養法が活用されることで、様々ながんの病態解明やがん創薬研究の発展に寄与することが期待できます。

本件の詳細(プレスリリース):https://www.shiga-med.ac.jp/sites/default/files/2021-03/20210304pressrelease_0.pdf

写真:報道機関に解説する向所教授1
報道機関に解説する向所教授1
写真:報道機関に解説する向所教授2
報道機関に解説する向所教授2