平成29年10月2日
学長 塩田 浩平(しおた こうへい)

写真:塩田学長

本日ここに、滋賀医科大学へ学士編入学される17名、ならびに大学院医学研究科へ入学される9名の皆さんを迎え、平成29年度滋賀医科大学医学科第二年次後期学士編入学および秋季大学院医学研究科入学宣誓式を挙行できますことを心からうれしく思います。

医学科学士編入学の皆さん、滋賀医科大学への御入学おめでとうございます。ご家族の方々にもお慶びを申し上げます。
滋賀医科大学医学科では、第1学年の4月に入学する定員100名の学生の他に、第2学年の秋学期に定員17名の編入学生の皆さんをお迎えしています。これは、多様な選抜を行うことによって複数の受験機会を提供すること、また、多様な人材を受け入れることにより大学と学生集団が活性化することを期待して実施しているものです。
皆さんは、これまでに文系・理系の様々な分野の勉強をされ、あるいは社会人としての経験を積まれる中で、医学・医療に関心を持ち、医師・医学研究者の道に歩むことを決意して、本学の学士編入学試験に合格されました。医学を志したその熱い思いを忘れることなく、目的意識を持続してこれから勉学に励み、友人とともに充実した学生生活を送っていただきたいと思います。

滋賀医科大学では現在、医学教育カリキュラムの抜本的な改革を進めています。これまでのわが国の医学教育の内容では、近い将来、米国で臨床活動を行うための資格試験を受験することができなくなることから、本学においても今年度から、医学科の教育内容を国際基準に適合した内容に大きく変えました。例えば、5,6学年に行う臨床実習については、従来60週未満であったものを67週間に、1割以上時間数を増やしました。また、その内容も、これまでのように先生の横について患者さんの診察を見学するような実習ではなく、学生自らが患者さんに接して実際に診察行為の一部を行う「参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ)」が求められることになりました。
本学では、こうした国際基準に合致する医学教育カリキュラムを整えた上で、公的な審査機関である「日本医学教育評価機構(JACME )」の審査を今から一か月後に受審します。この審査は、滋賀医科大学の卒業生が国際基準の医学教育を受け、世界に通用する知識と技能を備えている、という認定を取得するためのものですので、全学の教職員、在学生、卒業生有志の皆さんが総力を挙げて、現在鋭意準備を進めています。

こうした医学教育の改革に伴い、学生の授業時間、実習時間がこれまで以上に増えています。医学部での勉学は忙しく、内容も大変多いので、これからの4年半は皆さんにとって非常に多忙な学生生活となります。皆さん一人一人が心身の健康を保ち、悔いのない大学生活を送られることを願っています。

滋賀医科大学のスタッフは、質の高い医療を実践し、優れた医学研究を行うことによって医学医療の進歩に貢献するため、日夜頑張っています。それと同時に、滋賀医科大学の学是に「地域に支えられ、地域に貢献し、世界に羽ばたく」とあるように、本学は滋賀県を中心とした「地域」の医療を担うという大きな使命をもっています。わが国では急速に高齢化が進んでおり、今後10〜20年の間に日本の医療も大きく様変わりすることは想像に難くありません。「地域包括ケアシステム」を中心として、地域の医療機関や行政が一体となって、病人や高齢者を支えていくことになります。医師の仕事も今後は多様化し、病院、診療所、在宅診療など、活動の場が増えていきます。皆さんには、専門医としての高い能力とジェネラリストの能力が共に要求されることになるでしょう。これから4年半の勉学によってプロフェッショナルとしての確固たる能力を修得すると共に、医学以外の広い教養も身につけて、豊かな人間性と高い倫理観をもった医師となってください。

次に、平成29年度秋季大学院医学研究科博士課程に進学された7名と修士課程看護学専攻に入学された2名の皆さん、ご入学おめでとうございます。この中には、「先端医学研究者コース」に1名、博士課程教育リーディングプログラム「アジア非感染性疾患(NCD)超克プロジェクト」に3名の外国人の方が入学されました。本学の国際化にとって大変うれしいことであります。
大学院に進学された皆さんは、これからの2年間または4年間、看護学と医学のそれぞれの分野で研究を行うことになります。ぜひ自ら興味のある研究テーマを見つけ、すばらしい研究成果を挙げてください。医学医療が加速度的に進歩し、これまで不明であった疾患のメカニズムが解明されたり、画期的な医薬品や機器が開発されたという報告が続いています。その一方で、まだまだ未解明の課題が沢山残っています。皆さんにはぜひ大きな課題に挑戦して、医学と看護学の発展に寄与していただきたいと願っています。
また、わが国では高齢化が急速に進展し、アジア各国などでもがん・脳卒中・心臓疾患などの生活習慣病の問題が重要になってきています。そのために、社会医学的研究が大変重要になってきています。今回、バングラデシュとベトナムからの3名の方が加わられる博士課程リーディングプログラム「アジア非感染性疾患(NCD)超克プロジェクト」は、人類がこうした非感染性疾患の課題を克服するためのグローバルリーダーを育成することを目的とした大学院コースです。
そのほか、滋賀医科大学では、アルツハイマー病を中心とした神経難病研究、サルを用いた医学生物学的研究、癌治療研究などを重点研究の柱として推進すると共に、各研究者の発想に基づく多様な研究を推進しています。大学院の数年間は、自らの興味とアイデアに基づいて自由に発想し、研究に集中できる貴重な時間です。その中で研究者としての素養と能力を修得するとともに、正しい研究態度、高い倫理観を身につけてください。
皆さんの大学院生活が充実して実り多いものになることを心から願っています。

本日の滋賀医科大学へのご入学を心からお祝いし、すべての皆さんのご健康と今後のご活躍を祈念して、式辞といたします。