「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」にかかる不適合事案のご報告等

 この度、本学で実施された医学系研究において、国が定める「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(以下「倫理指針」という。)における重大な 不適合事案が2件発生しましたことから、倫理指針に基づき当該事案を公表いたします。なお、倫理指針に基づく文部科学大臣及び厚生労働大臣への報告は、別添(最後 尾)のとおり行っております。
 本学の臨床研究に関する信頼を損なう重大な事案が発生したことを受け、深くお詫び申し上げるとともに、本学教職員への指導と研究に関する各種倫理指針の遵守徹底を行い、再発防止に努めてまいります。

〔事案の概要等〕
事案1
(1) 課題名
 匿名介護情報等を用いた医療的なニーズを伴う終末期要介護高齢者のリロケーションのない看取り達成要因に関する後ろ向き観察研究(大津市)
(2) 概要
 本学教職員が研究代表者となっている臨床研究に関して、倫理指針における【第4の1(2)『倫理審査委員会の審査及び研究機関の長の許可を受けた研究計画書に従った適正な研究の実施』】【第6の2(1)『倫理審査委員会への付議』】【第6の2(3)『研究機関長の許可』】の手続を行わずに研究を実施していました。
 このことから、本学の研究公正委員会において発生要因の分析を行うとともに、再発防止策について検討を行いました。
 本研究は観察研究であったことから健康被害などが生じることはございません。また、滋賀県国保連合から提供されたデータについてはすべて破棄いたしました。

事案2
(1) 課題名
 スギ花粉症舌下免疫療法の効果・安全性の評価
(2) 概要
 本学教職員が研究代表者となっている臨床研究に関して、倫理指針における【第4の1(2)『倫理審査委員会の審査及び研究機関の長の許可を受けた研究計画書に従った適正な研究の実施』】【第4の1(3)『研究を実施するに当たってのインフォームド・コンセントの実施』】【第6の1(2)『研究計画書の作成・変更』】【第6の2(1)『倫理審査委員会への付議』】【第6の2(3)『研究機関長の許可』】【第7の(2)『試料・情報の収集・提供を実施する場合の研究計画書に記載すべき事項』】【第8の1(1)ア『新たに試料・情報を取得して研究を実施する場合のインフォームド・コンセント』】、【第8の1(2)ア『自らの研究機関において保有している既存試料・情報を研究に用いる場合のインフォームド・コンセント』】の手続を行わずに研究を実施していました。
 このことから、本学の研究公正委員会において発生要因の分析を行うとともに、再発防止策について検討を行いました。また、適切なインフォームド・コンセントが実施されていなかった被検者(本学学生)に健康被害がなかったことの確認を行うとともに、収集した試料・情報についてはすべて破棄いたしました。

〔再発防止策〕
 いずれの事案についても研究代表者の認識不足、理解不足によるものではありますが、本学における教職員に対する研究倫理教育体制が不十分であったことも要因の一つであったと考えております。
 よって、本学としましては、いずれの事案におきましても研究代表者に対し指導、注意勧告及び研究倫理にかかる再教育を行うとともに、対面講習会の実施や大学院での研究倫理教育の見直しなどによる全学的な研究倫理教育についての強化、マニュアル等の作成、本学教職員や学生等への定期的な周知の実施など、倫理審査委員会及び研究公正委員会において検討しました再発防止のための取組を実践し、今後、このような事案が発生しないよう、一層の注意をもって取組んでまいります。

〔事案1〕大臣報告書      〔事案2〕大臣報告書

 

令和7年10月31日

国立大学法人滋賀医科大学長  上本 伸二