大変長かった夏も終わりを迎え、湖国にも秋の気配が少しずつ感じられる季節になってまいりました。 
本日、ここに令和8年度秋季滋賀医科大学大学院医学系研究科入学宣誓式を挙行できますことを、心から嬉しく思います。 
大学院医学系研究科医学専攻博士課程に進学された7名の皆さん、看護学専攻博士前期課程に進学された5名の皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。また、昨年からスタートいたしましたマレーシア国民大学と本学との国際連携エイジングサイエンス専攻博士課程にも、双方の大学に1名ずつ、計2名の皆さんが入学されました。本学を代表して皆さんを歓迎し、心からお慶び申し上げます。 

さて、本日入学された皆さんは、これから4年間あるいは2年間、医学・看護学のそれぞれの分野で研究に取り組むこととなります。大学院生活の最初の時期は、研究者としての素養と基本的な研究遂行能力を修得するためのトレーニングの期間ですが、同時に科学者としての心構えと倫理観を身につける重要な時期でもあります。私たちが日々取り組む研究活動は、知の探求であると同時に、社会からの深い信頼のもとに成り立っています。不適切な研究行動は、個人の信用を失墜させるだけでなく、科学界全体への信頼を揺るがし、社会からの期待を損なう深刻な事態を招きかねません。場合によっては、公的研究費の申請資格が停止されるなど、研究者生命を左右する重大な影響が及ぶ可能性もあります。 
自分自身の研究を守り、未来の科学を支えるためにも、研究倫理は重要な防具となります。どうか大学院での学びを通じて、しっかりとした研究倫理を身につけてください。  
そのうえで、看護学専攻博士前期課程の皆さんは、指導教員と共に看護研究の基礎と考え方をしっかり学んでいただきたいと思います。また、医学専攻博士課程、国際連携エイジングサイエンス専攻博士課程の皆さんにおかれましては、自らの構想による独創的な研究を推進し、世界に向けて研究成果を発信できる自立した研究者を目指して励んでください。 

私の長年の研究経験から、本日入学される皆さんに三つの言葉を贈りたいと思います。 
一つ目は、「温故知新」です。自分の研究領域の過去の文献を丁寧に調べ、何が解明されていて、何が未解明なのかを知ることは、研究の揺るぎない基礎になります。 
二つ目は、「議論こそ力なり」です。指導教員はもとより、同僚や他の大学院生、研究者との議論を重ねてください。時には、全く異なる分野の研究者と対話することも極めて重要です。議論を尽くすことで、目の前の壁を打破するヒントを得ることができます。 
三つ目は、「自ら考え、自らなす」です。受け身になるのではなく、広い視野を持って、自分が真に知りたいこと・挑戦したいことを見い出し、主体的に実行してください。「自ら考え、自らなす」は一見、独善に陥りがちと思われるかもしれませんが、「温故知新」と「議論こそ力なり」の実践が伴っていれば、独善に陥ることなく、皆さんを広い視野を持った自立した研究者に導いてくれることでしょう。皆さんが素晴らしい研究成果を上げ、世界に羽ばたかれることを期待しています。 

本日のご入学を重ねてお祝い申し上げますとともに、皆さんの今後のご活躍と実り多き学生生活を心から祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。               

令和8年10月1日
国立大学法人滋賀医科大学長  遠山 育夫